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【Road to ONE03】青木真也に訊いた──さいたま発言の真意「そんなの出るわけねぇじゃん。話題創りです」

【写真】試合後、興奮状態にあるようでいて──さいたま発言の真意からも、感情的な本音の連続だったように感じられた (C)MMAPLANET

10日(木)、東京都渋谷区のO-Eastで開催されたROAD TO ONE 3rd :TOKYO FIGHT NIGHT。同大会のメインで青木真也が江藤公洋を3R判定で下した。

3R、15分ほぼバックを制して勝利が確定的だった青木は、勝ち名乗りを受けるまでにグローブを叩きつけ、江藤のコーナーである大沢ケンジを罵倒し、ウィナーコール後もONE JAPAN 秦英之代表に厳しい表情で何やら言い放っていた。

そしてマイクを握って、「5年振りにさいたまスーパーアリーナで戦いたい」と発言した青木に控室で、その真意を尋ねた。


──かなりお怒りモードの試合後でしたね。

「だって勝負する気ないじゃん。あんなに動かないんだったら、試合にならないッスね。分かります? 俺の気持ち!!」

──青木選手の気持ちは分かるとはいえないですが……。

「ハイ」

──ただONEはラウンドマストではないし、3Rは逆転を賭けた動きをしてほしかったですね。でも、最後の方に青木選手も隙を与えて動かそうとしてしましたが。

「そう……でも、ぜんっぜん動かない。大沢もクソ。偉そうなこと言いやがって。大沢はね、俺に五分の口を聞ける格じゃないッスよ。分かりますよね? この俺の言っていることは。ABEMAの意向もあるんだろうけど、生意気いうじゃねぇよって。

『勝てるかも知れない』とかってお前、何言ってんだよ。誰に口きいてんだよって、ずっとムカついていました」

──いや、それは言うのではないですか。

「ふざけんなよ、テメェバカ野郎。〇してやるぞ、お前って」

──いやいやいや、試合前の対戦相手のチームの指導者ですよ。それは言いますよ。

「ふざけんじゃないって、この野郎」

──いや、大沢さんの立場でそう言わないわけがないではないですか。なのに、その言いようは大沢さんが気の毒ですよ。

「まぁ、そうですけどね……。ハッキリいえば、それぐらいのテンションになっていたってことなんです、俺は。ふざけんじゃねぇよ、この野郎っていう。それだけ俺も必死だったということですよね……俺も必死だった」

──試合の流れとしてバックを制して、仕留め切れない。良い流れではなかったです。

「あれでしょ、青木の負けパターンですよね。だから1Rが終わった時点で、変な話……山は創ったじゃないですか。2Rはテイクダウンしたら、3Rはこれで良いと思っていたので。フィームーで逃げるみたいな。お前がそんなんやるなら、これで良いよってなりましたね」

──何かしないといけないけど、それができなかったのでしょうね。

「それでも、ないです。アレはない」

──ところで、そんなにイライラしていて戦えるものなのですね。

「いや、試合中は逆に凄く冷静です。ふざけんじゃねぇって。でも、俺だってレフェリーが注意できないレベルで汚いこともしていましたよ。それぐらい必死だったし。それだけ勝ちたかった」

──江藤選手が最後まで勝ちに来なかったことに関しては。

「それは俺の都合じゃないですよね。取れるなら、取れるし」

──ところで、試合中はセコンドの北岡選手の声が凄く良かったように見えました。

「力使うなってね、北岡さんが。だから、全く息があがることなかったです」

──そして、試合後に一気に怒りが出たわけですか。それにしても、記念撮影の時も秦社長に険しい表情で何か言っていましたね。

「俺が何で、この試合をしたのか分かっているよねって伝えただけです。だって俺以外、みんな満額ですよ。で、俺の残りカス食って。いや、この大会があって、ここまで創ってくれたことには凄く感謝しています。本当に多くの人に……皆に感謝しています。

そりゃさ、俺は那須川天心みたいに全てを仕上げることはできないですよ。堀口恭司とか武尊とかみたいに……残念ながら。それはこれまでの歴史を見れば分かることじゃないですか。でも俺、精いっぱい自分の可能性以上に背伸びしています。

俺は……自分のできること精いっぱい背伸びしていますよ。これ以上できないくらい。これ以上、誰にも文句言われないぐらい格闘技が好きで。格闘技好きとか、愛しているとか皆が言うけど、俺はその気持ちだけでもっているから。だから、分かっているなんて思われると……嫌な気持ちにはなります」

──そのなかでONEの日本人選手は、ここでなくシンガポールを見ているという部分でも苛立ちはありましたか。

「10月を待っているでしょ? じゃぁ、これで俺はケガがないから10月に試合ができますって言うじゃないですか。これで俺を使わないなら嘘になりますよね」

──その気持ちが、最後のマイクの発言になったのでしょうか。

「あっ、さいたまですか? あんなの見出しに決まっているじゃないですか(笑)。一番インターネットがザワザワするでしょうし(笑)」

──人が悪い。乗らされてしまいましたよ(笑)。

「だって……そんなの出るわけねぇじゃん。ふざけんじゃねぇよって(笑)。話題創りですよ。日本ではONEよりRIZINの方が大きいから、話題になるでしょ。食いついてもらって。確かに猿田✖のび太とか、凄く良い試合でした。のび太が凄く頑張って、良かった。でも、それ以上の話題にするには……それぐらいニュースになって、形に残って、自分の物語にするのに必死ですよ。

皆が言うほど俺、余裕ないッスよ。本当に15年とか、ずうっとドロドロのことをしていますよね。辛かったです。今日も昨日も辛かった。でも明日も明後日も辛いんでしょうね」

──そういう真意があっての発言というか、次はつまり……。

「10月、やりますよ。俺が10月に使われないなら、言っちゃうと要らないってことになるし(笑)」

──ONEのスマートさと、青木選手のドロドロさは少し平行線のように感じます。青木選手のやり方が理解できると日本定着に通じると思うのですが。

「まぁ本音と建て前ってのが、ありますからね(笑)」

──我々の国は(笑)。青木選手はジャパニーズMMAですからね。もう今や1人ジャパニーズMMAです。これが他の国の人に理解してもらうのは困難かもしれないですが。

「アレなんだよ。佐藤大輔に人生狂わされましたよ。あれを5、6年やりましたから。いっつもですよ、『青木、今回はヒールね。今回、ベビーね』って(笑)。俺、そんなに人格ないんですけどねって……」

──ただし、今や若い選手から相当に尊敬されているじゃないですか。

「あっ、あのABEMAの映像?」

──ハイ。

「アレは……若い人たちは……名須川那須川さんは僕よりも大きなことをやっているけど、平田の言葉とか、アレは涙が出ないぐらい響いた。『ありがとう』って。本当に響いた。ありがとう、感謝している。本当に皆に感謝しています──ありがとうって」

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