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【Shooto2020#03】世界フェザー級王者・斎藤裕「短期決戦で勝負を賭けてくるなら、すぐに終わる」

Yutaka Saito【写真】とにかくケージのなかでは、無心になるだけ (C)MMAPLANET

29日(日)、東京都文京区の後楽園ホールでプロ修斗公式戦が開催されメインで修斗世界フェザー級王者・斎藤裕が、内藤太尊を相手に防衛戦を行う。

当初の予定ではオランダのデュアン・ヴァンヘルフォートの挑戦を受けるはずだった斎藤だが、新型コロナウィルス拡大の余波でヴァンヘルフォートが来日できなくなり急遽、代役の内藤の挑戦を受けることとなった。

今、格闘技大会を開くことに世間の目は厳しい。選手もまた、過去にない心境に試合に臨むことになる。そんな信条も踏まえ、試合に向けての気持ちを尋ねた。


──色々なことが起こった防衛戦となりました。

「タイミングなのですが、2週間ぐらい前だとヨーロッパはここまでの状態じゃなくて、逆に日本は大丈夫かと思われていたみたいですけど……。事態は急変してしまいましたね。1週間でまるで状況が変わってしまって」

──対戦相手の変更以前に、新型コロナウィルス感染拡大の余波で調整に関してもこれまでと同じような状況ではなかったと思われます。

「実際にウチの道場も1週間、休館されましたしね。いつも使っている施設も3月いっぱいは閉鎖されたり、なかなか思うように進まないところは正直なところありました。そのなかでも連絡を取り合って、時間や場所を代えて練習できた場合もありますけど、なかなか世間の自粛ムードもありますし……」

──私どもも大会取材や、選手と会って取材する場合でも自分に自覚症状がなくても、感染しているリスクがあるということが頭から離れないです。

「それは練習をしていても、お互いにあると思います。ただ試合が決まったのは早かったので、1月から準備をしてきましたし、3月の第2週に1週間練習ができてなくても、支障をきたすことはないと思っています。

僕は過去にも直前で対戦相手が代わったり、ギリギリまで決まることがないということが他の選手より多い方で、そういう試合も勝ってきたので気持ちは切り替えられています」

──もともと対戦相手が代わるかもしれないという危惧は?

「3月末までは大丈夫だろうと思っていました。なので……やっぱり気持ちはガクッと落ちましたね」

──昨年5月に同じオランダのアギー・サルダリに斎藤選手が敗れた時よりも、オランダ勢全体の強さが認識されたなかでのヴェンヘルフォート戦でした。

「実際に強いですし、やりがいのある試合でした」

──そこで内藤太尊選手が挑戦者になったのは、それはそれで意外でした。同じ大会で2回戦に出場予定だったので。

「全く予期していなかったです。上位ランカーというわけでもないですからね。内藤選手のことを悪くいうつもりはないですが、そこはそこで事実ですし。

ヴァンヘルフォートが来日できなくなり、賛否両論はあるでしょうけど戦うと決めたので、やり抜くだけです。やはり1月からヴァンヘルフォートに勝つために練習をしてきましたし、大会が中止になったわけでもないし。試合があるなら、やはり選手としては戦いたいという気持ちでした。正直なところ」

──それを言葉にするのが憚られる空気がありますが、戦いたいというのも個人の選択で、法を犯しているわけでもない。自覚症状があって外出するのとは違いますし。K-1の開催に関しても、当事者にとっては興行だからといって不要不急と決めつけられるのは違うだろうという気持ちはありました。

「風当りが強かったですよね。報道の仕方も悪意があるように感じますし、僕ら選手側からすると」

──K-1が開かれたことをネガティブに報じて、行列のできるお店とかやるなよって。行政にも報道にも一貫性がないです。

「先が見えないのは、皆が辛いですよね。できるだけの予防をしても、自分も感染するリスクはあるわけで……」

──本当に申し訳ないです、試合前なのにこういう話になってばかりで。タイトル防衛戦ですが、内藤選手は2Rを戦うつもりで調整をしていたのが、急遽5回戦に挑むことになります。この点については?

「もともと彼は5回戦の経験がないですからね。実際にどのように攻めてくるのか、当日向き合ってみないと分からないです。ただ試合が決まった時期も時期ですし、当然のように5Rに対応できる練習なんてできなかったはずです。

だからといって彼が短期決戦で勝負を賭けてくるなら、すぐに終わると思います。これまでの試合も見ていますし、どのように攻めてきても対応できます。その心積もりはできています。

もちろん過去の戦績も関係なく、試合は1✖1の戦いですから、その時に勝った方が強い。そして、この状況で試合をするにあたって向うは失うモノがない状況で、負けて失うモノが多いのは僕の方なのは間違いないです。

負けられないのは僕の方。落とせないです。彼がどう出てくるのかではなくて……何をやってきても自分の距離、自分のタイミング、自分の戦いをするだけです。良い勝ち方、良い内容でしっかりと勝ちたいです。負けられないです、絶対に」

──では最後にファンに一言お願いします。

「今はそこが一番難しいですよね。本音をいえば格闘技は会場で見てもらうのが一番ですが、状況が状況ですし。会場に足を運ぶことを躊躇してしまうファンがいることも理解しています。これは……コメントするのは難しいです。とにかく自分のできること、全力を出すだけです」


             
■Shooto2020#03対戦カード

<修斗世界フェザー級選手権試合/5分5R>
斎藤裕(日本)
内藤太尊(日本)

<フライ級/5分3R>
清水清隆(日本)
平良達郎(日本)

<バンタム級/5分3R>
手塚基伸(日本)
安藤達也(日本)

<ストロー級/5分3R>
木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅(日本)
黒澤亮平(日本)

<修斗女子スーパーアトム級王座決定T準決勝/5分3R>
黒部三奈(日本)
大島沙緒里(日本)

<修斗女子スーパーアトム級王座決定T準決勝/5分3R>
杉本恵(日本)
中村未来(日本)

<フェザー級/5分2R>
野瀬翔平(日本)
小林孝秀(日本)

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