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【ONE106】三浦彩佳と対戦、マイア・マザール「柔道家はパワフル。抑え込みはバックに回れない」

Mira Mazar【写真】色々経験してきたうえで、明るく前向きなんだろうなぁという雰囲気を持つ人だった (C)MMAPLANET

10日(金・現地時間)にタイはバンコクのインパクト・アリーナで開催されるONE106「A New Tomorrow」で、三浦彩佳と対戦するマイラ・マザール。

今年中に女子ストロー級王座挑戦を公言する三浦に対し、マザールはキャリア6勝2敗で1年11カ月振りの実戦となる。

急激なガスアウトで敗れたはしたものの現UFC世界女子ストロー級王者ジャン・ウェイリと真っ向勝負を繰り広げたこともあるマザールは、この間一昨年11月にEvolve MMAのトライアウトに合格し、格闘技を練習することで生活できる環境にあった。

打撃の威力、寝技の安定度と三浦にとっては、あのヴィヴィアニ・アロージョに匹敵するキャリア最強の相手となって過言でないマザールをインタビュー──チームメイトの澤田龍人のコメントと共に紹介したい。


──ONEデビュー戦で三浦選手と戦います。今の気持ちを聞かせてください。

「自信はあるわ。彼女と戦うために十分に準備をしてきたから、凄く試合が楽しみよ」

──ONEチャンピオンシップで戦うことは、どのような意味があるのですか。

「これまでで一番大切な試合よ。これまでONEのような大きな舞台で戦うことはなかったから。この試合を経て、これからもっと重要な試合が増えることを願っているわ」

──マイラはこの試合の準備をどこでしてきたのでしょうか。

「イヴォルブMMAよ」

トライアウト時に澤田とスパーをするマイラ

トライアウト時に澤田とスパーをするマイラ

──あっ、ひょっとしてマイラは2018年11月のイヴォルブのトライアウトを受けていて合格した選手ですか。

「そうよ。女子では私1人だけが合格したの」

──あぁ……。

「日本のテレビと一緒に取材に来ていたでしょ!!」

──ハイ。スミマセン、すっかり失念していました。では澤田龍人選手と同期でチームメイトですね。

トライアウトに合格した時の両者。 ■澤田龍人に聞いた、マイラ・マザール 「普通に強いと思います。打撃も出来るし寝技も上手いです。三浦選手の投げを防ぐことができるかどうかは……練習で僕が投げ技をかけても食らわない時があるので、ある程度の対処は出来ると思います」

トライアウトに合格した時の両者。
■澤田龍人に聞いた、マイラ・マザール
「普通に強いと思います。打撃も出来るし寝技も上手いです。三浦選手の投げを防ぐことができるかどうかは……練習で僕が投げ技をかけても食らわない時があるので、ある程度の対処は出来ると思います」

「リュウトは私にとって日本の弟よ。凄く良い子だし、私とは同じ体重で、良い練習パートナーよ。まだ若いけど、リュウトは凄く経験豊かなファイターだから。

彼はよく私を助けてくれているわ。アイ・ラブ・リュウトよ(笑)」

──ところでマイラは鋭い打撃の持ち主ですが、ベースは何になるのでしょうか。

「散打よ」

──ブラジル人で散打とは凄く珍しいですね。

「本当に稀なケースよね(笑)。散打のジムを見つけるのも困難だから。私は18年前にサンパウロ州サンジョゼ・ドス・カンポスという街で、たまたまジムの前を通りかかったの。たくさんの人が何か練習しているから、何なのかを尋ねて『中国式ボクシングだよ』って言われ、凄く興味を持ったの」

──どこにそれほどまでに惹かれたのでしょうか。

「顔にパンチを入れていたから(笑)。一度、やってみたかったの。そして、試しに殴らせてもらって──もう病みつきになったわ(笑)。そのまま練習を続けて、ブラジルのナショナルチームの一員にもなることもできたわ」

──MMAに転じたのは?

「ロンダ・ラウジーやミーシャ・テイトがMMAで活躍するのを見て、私もできるって思ったの。何よりトライしてみたいと思った。そして散打と違い、MMAでプロになればお金を得ることができるから。だから、本音を言えばMMAを始めたのはお金のためよ。でも、すぐ大好きになったわ」

──MMAを始めたのは、どこのジムですか。

「最初は散打も続けていたから、自分の街にあるジムでMMAの練習をするようになり、デビュー戦で負けたの。二足の草鞋を履いているとMMAで勝てないと分かったから、生まれ故郷のサンパウロに戻り、エリアス・シュシュ・シルヴェリオのところでMMAのトレーニングを始め、イヴォルブのトライアウト前まではデミアン・マイアのヴィラ・ダ・ルタで練習していたわ」

──打撃がベースですが、グラウンドも自信があるということですね。三浦選手は投げが強力な選手です。

「私のコーチは柔道の黒帯でもあるから、今回はしっかりと対策を練ることができたわ。仮に彼女にテイクダウンを奪われたとしても、私は自分の柔術で戦うだけだし。ただし、投げられないよう対策を練ってきたから。

これまで彼女と戦ってきた選手は、投げられてもバックを取れるという感じで、しっかりと防御もしていなかった。だからこそ、彼女は簡単に投げることができたの。これまでのアヤカの対戦相手と同じようなミスを私は犯さないわ。

あれだけ投げていて、バックを取られてない。彼女はそこが分かっているのね。柔道家のあの抑え込むは、簡単にバックに回れるものじゃない。柔術家と違って、柔道家はパワフルだということを忘れていけないわけよ」

──そんな三浦選手に対して、マイラのアドバンテージはどこだと考えていますか?

「私の方が動きが多いし、速い。そして、動きを止めないで戦い続けることができるよう練習してきたわ。彼女が組んで私を止めることは難しいでしょうね。パンチ力にも自信があるし、これまでのKO勝ちと同様に動いて殴る、動いて殴るという攻撃を繰り返して勝利を手にする。それにグラウンドに持ち込まれても、私には柔術があるから」

──3年前に現UFC世界女子ストロー級王者ジャン・ウェイリとクンルンファイトで戦ったときも、真っ向勝負で負けていなかったですね。

「あの試合は問題だらけだったの。それも試合だけでなく、その前から山積みで。2週間前のオファーでコーチはビザが取れなくて、友達が私をサポートしてくれただけ。そんな助教で中国へ行き、時差もあったし、ホテルにはサウナもなく、バスタブもなかった。でも、ジャン・ウェイリには全てが与えられていたの」

──OMG。

「試合前からもう精神的に追い詰められていたし、試合中もパンチを1発被弾してパニックに陥ってしまったわ。テイクダウンを奪っても、集中力が戻ることはなかった。彼女がスマートなファイターだということは認めているけど、あの時の私は今回のように万全ではなかったわ。

約2年振りの試合……、シンガポールで私は生まれ変わった。上手く言葉にできないけど、凄くエキサイトしている。でも試合になったら、冷静に戦えるわ。イヴォルブMMAで練習するようになり1年、シンガポールは過ごしやすいし、安全でとにかく練習に集中できる生活を手にした。この期間に得られたモノ──全てを試合でぶつけるわ」

──この試合後のキャリアアップについて、考えることはありますか。

「今はアヤカ・ミウラに勝つことが優先よ。そのうえで、これから先をどうするのか、それは私も分かっていないわ。もちろんチャンピオンになることが夢だけど、ミッシェル・ニコリニはヴィラ・ダ・ルタでの練習仲間だったし、シィォン・ヂィンナンはイヴォルブMMAに加わった。ストロー級がどんな風に展開していくのか、私にも分からないけどONEが用意してくれる相手に勝っていくだけ。この試合が、そのまず第一歩よ」

■ONE106対戦カード

<ONE Super Seriesムエタイ世界フライ級選手権試合/3分5R>
[王者]ロッタン・シットムアンノン(タイ)
[挑戦者]ジョナサン・ハガディ(英国)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
スタンプ・フェアテックス(タイ)
プジャ・トマール(インド)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
センマニー・サティアンムエタイ(タイ)
山田健太(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
タン・リー(米国)
高橋遼伍(日本)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
リアム・ハリソン(英国)
モハメド・ビン・マムード(マレーシア)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ムエンタイP.K.センチャイムエタイジム(タイ)
ブライス・デルヴァル(アルジェリア)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
ライモンド・マゴメダリエフ(ロシア)
ジョーイ・ピエロッティ(米国)

<キックボクシング・バンタム級/3分3R>
ヴィクトー・ピント(フランス)
アダム・ノイ(アルジェリア)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
マー・ジャワン(中国)
シネチャグタガ・ゾルツェツェグ(モンゴル)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ハン・ズーハオ(中国)
メヂ・ザッツプッツ(アルジェリア)

<女子ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
マイラ・マザール(ブラジル)
三浦彩佳(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
ヨハン・ムリア・レゴウォ(インドネシア)
ロエル・ロサウロ(フィリピン)

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