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【ONE】躍進ONEの裏に、長南亮あり─02─「日本の格闘技界が10年後に全然違う景色が見られるように」

Ryo Chonan【写真】とにかくやり切るだけだという気概が長南氏からは伝わって来る(C)KEISUKE TAKAZAWA

ONE Championshipと日本の結びつけるために、活動してきた長南亮氏インタビュー後編。

過去2年のONEとの関係により、強固となったチャトリ・シットヨートンCEO兼会長の絆。ONEの日本定着の先に長南氏が見ている日本の格闘技界の未来とは。

<長南亮インタビューPart.01はコチラから>


──それほどまでチャトリCEOに惚れ抜いたわけですね。

「そうですね。ただし、チャトリの想いや行動力はまだ一般のファンに届いていないです。自分はこれから始まるモノだと思っています。だからこそ今、ONEと契約している選手たちは頑張って、結果を残して、将来を切り開き、夢を掴んでいって欲しいです」

──日本大会のカード第1弾の発表に際して、MMAPLANETのツイッターのリツイートで『今の日本にここまでやってくれる。ファンも頑張らないといけない』と書いてくれた方がいてくれて。これが本当に嬉しかったです。

「あぁ、それは嬉しいですね。自分がやっていることにも、考えの違う人間が色々と絡んでくるんですが、そういう人達とは別に新しいファンを増やさないといけないですし、古くからのファンが熱を持ってくれるようにしていかなければならないです。

だからこそ、本当に頑張らないといけないのは選手たちなんですよ。ここから先は。練習の強さだったら、日本人選手は負けてない。でも、あの舞台に上がると負けてしまう。下石(康太)君なんて、絶対にあんなもんじゃない。ケガとか不幸も重なったけど力を出し切れていない」

──『あれ、日本人勝てないの?』という空気になっているのも事実です。

「ほんの少し前まで『フィリピン人なんて寝技になったら、何もできない』って言っていたのに、今ではやられるようになってしまった。でも、実力では負けていないんですよ。だから自分も日本の新しい力を見つけて、そういう選手達にONEで戦ってもらいたいと思ってやっています。

今は海外で試合をすることの方が多いですが、日本大会が頻繁にできるようになるまで新しいファンを開拓していく。そこが理想です」

──そうすることで日本の格闘技を再興させたいと?

「本当は我々がやらないといけなかったこと。それをチャトリのようなパワーと情熱を持った人間がやろうとしてくれているんです」

──マニラで長南さんやチャトリCEO、北野プロデューサー、チームMADの面々と食事をさせていただいた時、長南さんのバイタリティに触れることができました。多少のランゲージバリアーがあっても情熱で凌駕していくような。チャトリCEOも日本語を駆使しつつ、通訳を必要としないで意思疎通を行なう。これだな、と。

「何も話せない時にアメリカに行って、練習してきましたからね。その英語も毎週、英会話教室で勉強して新しい言葉を覚えて……それでも最初は英語のやりとりで契約を纏めるとか苦労していました。それが今では6人同時に交渉できるようになってきて(笑)。

ただし、自分はブッキング・マネージャーではないので。誰でも引っ張って、たくさん貰えや──というつもりはありません。ONEというのは今では自分の親でもありますし、周囲とバランスを取るなかで、正当な評価を日本人選手がしてもらえるように交渉をしているので。そういうところで話すと、『だからもう少し、アップしてほしい』という要求にONEも応えてくれるんですよね」

──まず3月の東京大会がありますが、そこはあくまでもONEと日本の関係のスタートです。それ以降はどのようなヴィジョンを持たれていますか。

「自分にはミットを持って、選手を教えるという立場があります。そこにONEでの日本人選手たちの窓口というポジションもできました。

コーチとしての歩みは一度も止めていない。技を研究して、セコンドとして叫び続けます。ONEの人間としては、イベントを成功させること。何はともあれ日本大会を成功させる。それは他人事ではないです。自分たちの力で成功させて、説得力を増していきたいです。

日本の格闘技界が10年後に全然違う景色が見られるようにしたい。そのために毎大会、全力を尽くす。自分らの世代が隠居生活に入ろうかという時に、若い選手が格闘技一本で食っていける社会にしたいです」

──そこが目標だということですね。

「実際、今でも食っていける選手はいますが、もっと増やしたいです。と同時にONEも投資段階なので、キャッシュバックできるようにしないといけない。それこそがチャトリが最初に言ってくれたビジネスということなので」

──チャトリCEOは日本の格闘技の復興とともに、日本の市場、インド市場、チャイナ・マーケットというモノを睨んでいるわけですしね。

「ハイ、その通りです」

──この2年間の付き合いで、チャトリCEOの魅力はどこにあると感じていますか。

「やはり力です。信じる力、自分自身を信じる力を感じます。自分も自信がないわけではないですが、チャトリのように真っ直ぐできるのかというと、やはりビビります。それをチャトリは全て容赦なくいくじゃないですか(笑)」

──ハイ。確かに(笑)。

「凄いパワーだと思います。とにかく、まずは3月の東京大会です。8月に日本大会を開催すると発表した時も、その前も否定的な意見はいくらでも耳にしました。でも、あの本気の対戦カードで風向きを変えることができたと思います。だからこそ、自分も指導者として責任もありますし、日本人選手達の頑張りが必要になります。

そして……ONEはチャトリが主役ではなく。あくまでも戦い、選手が主役ですから。選手達が頑張れる環境を創るという部分で、良い道ができつつあると思います」

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