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【Grandslam07】佐藤天と対戦、濱岸正幸─01─「怖いですが、佐藤選手と戦うと絶対に成長できる」

Masayuki Hamagishi【写真】生真面目、人の良さが伺える濱岸 (C)MMAPLANET

25日(日)、東京都江東区のディファ有明で開催されるGrandslam07のメインで、佐藤天と対戦する濱岸正幸。

元ZSTウェルター級王者は1年以上のブランクの後、ロシアでの戦いを経て昨年10月にグランドスラム初出場を果たした。そして、劣性のなかGladiatorウェルター級王者レッツ豪太からRNCで逆転勝ちを収め、今回の佐藤戦を戦うこととなった。

その佐藤戦に関して、「怖い」と断言する濱岸。実直な人柄で知られる、彼のMMAファイター人生と佐藤戦について尋ねた。


──佐藤選手との一戦が近づいてきましたが、今のコンディションはいかがですか。

「いつも通り良いのですが、緊張感が凄いです」

──緊張感ですか。

「ハイ」

──それはどういう部分で緊張しているのでしょうか。

「佐藤選手は強いので、プレッシャーを感じています。僕は凄く緊張しいで試合の前の日から緊張してしまうタイプなのですが、それがもうずっとある感じです」

──試合まで10日ほどあるのですが、そんな風になって大丈夫ですか(※取材は3月16日に行われた)。

「最近は試合の直前になって開放される感じで、それまで緊張しています。普通の試合でも、そうだったのに佐藤選手ですから余計ですね……」

──それでもオファーを受けると。

「ハイ。佐藤選手と戦うことで、絶対に僕は成長できます。試合前のプレッシャーも含めて、自分の成長につながることは確かです。だから、そういう部分も全て受け止めて佐藤選手に当たっていきたいです。この試合の話を頂いた時も全く迷いはなかったです。ただし、それとは別に怖さは物凄くあります。今もそうです」

──その恐怖を克服して、人前で28試合も戦ってきたのですね。

「試合に勝った時の喜びを知ってしまうと……他に変えられない充実感ですし、自分の成長を感じさせてくれるのが試合なので、戦い続けたくなります」

──何モノにも変えられないという部分では、昨年10月のレッツ豪太戦の一本勝ちの後の喜びは、それこそ凄まじいモノだったのではないですか。

Hamagishi vs Let's「凄かったです(笑)。試合内容自体も凄く危なかったですし、あそこで諦めないでいられたことが自分でも良かったと思っています。技術面の課題などは、たくさん残っているのですが……。それと回りの反応も凄くて、周囲に喜んでもらえることも、僕にとっては達成感になります」

──初回にパンチを被弾して、試合が終わっていてもおかしくない状況でした。

週一のガチスパー、安藤の強烈なプレッシャーを受け、気持ちを創り上げていく

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「ハイ。ネバークイットでの練習が凄く生きたと思います。ダメージを受けても諦めないでいられたのは、ここで安藤(晃司)選手たちとスパーをさせてもらっているお陰です。本当にここでのスパーとソックリな状況でした(苦笑)。三半規管の感覚とかが、ソックリでクラクラきていました」

──レッツ選手が拳を折ったにしても、最大の勝因はそこではなく濱岸選手の諦めなかった気持ちだと思いました。

「ここでやっているからこそ、自然と立ち向かっていけたんだと思います」

──そんな濱岸選手ですが、ZSTというリング使用の大会でウェルター級王者にもなっているのですが、MMAPLANETは国内はケージ大会のみの掲載というコトもあり、その人となりなど全く存じ上げなかったのです。今回はその辺りも伺わせてください。

「アッ、ハイ」

──そもそもMMAの練習を始めたのは?

「大学まで柔道をやっていたのですが、就職して運動不足になった時に、職場の先輩がU-FILE CAMPに通っていて紹介してもらいました。また体を動かそうと」

──大学卒業の頃といえば13年ほど前、日本の格闘技界が絶頂にあった時ですね。

「TVで放送しているのは見ていましたね。当時のブームに乗っかって楽しんでいるような感じで」

──運動不足ということは、大学卒業と同時に柔道を辞めていたということですか。

「そうですね。もう大学では選手にも選ばれなかったですし」

──高校時代は?

「福井県出身なのですが、一応はインターハイには出場しています。でも、全然大したことないですし、Uファイルキャンプで練習を始めた時も、選手になるなんて気持ちは一切なかったです」

──それがなぜ、キャリア30戦近く戦い35歳になっても試合に出続けるになるとは思いもしていなかったのですね。

「明確に選手になろうと決心したというようなこともなく、最初はUファイルキャンプ内の会員さん同士のグラップリング大会で優勝し、そこでMMAもやってみようかということになりアマチュアのZSTに出ることになったんです」

──そしてSWAT、本戦と進んでいったのですね。

「いえアマZST、プレステージでは全然勝てなくて。試合は怖いんのですが、チャレンジすることが好きで……怖さの先になる達成感を求めて、戦い続けて来た感じです。そしてSWATの話が来た時に本戦に出たい。プロとして自分もやってみたいと思うようになったんです」

──ずっとUファイルキャンプ所属で出稽古も行っているという状況なのですか。

「山田哲也選手とZSTのウェルター級王座を賭けて戦い、負けた時から出稽古を始め、最初に来たのがネバークイットの前身の慧舟會東京道場でした。元Uファイルの水野(竜也)さんが練習していて、紹介してもらいました。

田村(潔司)代表も『濱岸君のやりやすいようにすれば良いから』と凄く理解のある方針で、出稽古はOKな方ですし、以来ずっと練習させてもらっています。

僕は週に一度ですが、ネバークイットからもプロ選手が育っていますし、安藤さん、江藤(公洋)さん、ISAO選手たちと本当に良い練習させてもらっています」

──ZSTウェルター級王者でしたが、その後主戦場がなくなった形で1年ほどブランクが空き、巌流島、ロシア、そして昨年10月にグランドスラムで初めて戦いました。

「そうですね。当時のZSTの方と、自分が挑戦したい場で戦うということで調整がつかず、当時は我を通したかったのでトラブルになってしまいました。試合ができていなかった時から相原代表は心配してくれて……これからどの大会で戦おうかと考えている時でも『ウチはいつでも、戦いたい時に言ってくれれば良いから』と言ってくださって。

グランドスラムは選手目線で試合を組んでくれる大会ですし、提示してくれたカードも僕にとってはメリットしかない試合でした。本当に感謝しています」

<この項、続く

■ Grandslam07 対戦カード

<ウェルター級/5分3R>
佐藤天(日本)
濱岸正幸(日本)

<ウェルター級/5分3R>
森興二(日本)
赤沢幸典(日本)

<フェザー級/5分3R>
鈴木琢仁(日本)
工藤諒司(日本)

<フェザー級/5分2R>
門脇英基(日本)
稲葉聡(日本)

<女子フライ級/5分2R>
ライカ(日本)
ジョン・スルギ(韓国)

<72キロ契約/5分2R>
鈴木一史(日本)
石浦良平(日本)

<バンタム級/5分2R>
萩原一貴(日本)
平田純一(日本)

<無差別級/5分2R>
二ツ森敬浩(日本)
YOSUKE(日本)

<ウェルター級/5分2R>
悠輝平(日本)
伊藤夏海(日本)

■GRANDSLAM SUVIVOR

<ライト級/5分2R>
柳優一廊(日本)
泉田泰徳(日本)

<フェザー級/5分2R>
透暉鷹(日本)
猿山千里(日本)

<ストロー級/5分2R>
小川竜輔(日本)
松岡渉(日本)

<バンタム級/5分2R>
山内雄輔(日本)
吉崎塁(日本)

<フェザー級/5分2R>
川邊侑也(日本)
中山拓哉(日本)

<フライ級/5分2R>
中原大輔(日本)
辻井啓喜(日本)

<フェザー級/5分2R>
オームラン(日本)
本田壮一(日本)

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