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【Pancrase294】堀江圭功に勝利、田村一聖─01─「勝つためには、足利まで行って空手を習う必要がある」

Issei Tamura【写真】田村にとっては若手のホープも、ベテランの元エースも対戦相手に変わりはないのかもしれない (C)PANCRASE

11日(日)、東京都江東区の新木場スタジオコーストで開催されたPancrase294で期待の若手=堀江圭功を2Rで仕留めた田村一聖。

打撃が売りの堀江に対し、右を当て続けてTKO勝ちした田村は勝利のマイクで「クソ強いチームメイトと、日々トレーニングしているので当たり前にこれぐらいできないといけない」と話した。

元修斗環太平洋王者、元UFCファイター、そして元フェザーKOPはネオブラッドトーナメントMVPの新鋭と戦う、どのような胸中だったのかを話してくれた。


──あのマイクを聞く限り、色々と思うところもある一戦だったのかという気がしました。

「本当ですよ、試合前の取材もなかったですしね(笑)」

──アハハ、それが世の中の流れなのです。そして、その流れを田村選手は断ち切ったのです。ところで、堀江選手とのオファーが来た時はどのような気持ちだったのですか。

「何も思うところはなかったです。僕にも生活があります。だから、パンクラスさんとはファイトマネーの件についても交渉させてもらって、そこを飲んでもらったのだから、誰が相手でも絶対に戦うつもりでしたから。

納得いく条件を提示してくれなければ誰とも戦いませんが、受け入れてくれたので誰とだって戦います。そういうつもりだったので、堀江選手とのオファーに対してもただ戦うだけでした」

──なるほど、そういう背景がありベテラン潰しのカードが生まれたわけですね(笑)。

「また人聞きの悪い(笑)。ちゃんと自分のことを尊重してくれたと僕は感謝していますよ。それによって潰しのマッチメイクが来ても、簡単には潰されないですから(笑)」

──そうはいっても堀江選手の勢いの前に、田村選手の気持ちが萎縮して危ない試合になることも十分に考えられました。

「確かに堀江選手は可能性のあるファイターです。でも、この歳(※33歳)で彼の勢いに飲み込まれるようなことがあったら、もう終わりです。そうなったらヤバイです。試合なので萎縮するのではなくて、ガツンとやられることはあったかもしれないですけど、気持ちが縮こまることはもうないです。

技術の無さで負けるなら仕方ないですけど、気持ちで負けているようなら、この歳になってダラダラとMMAを続けることはできないです」

──なるほど。その通りですね。鈴木琢仁選手に続き、堀江選手と若手の代表との試合が続きました。

「鈴木選手にはどうしても勝ちたくて、ああいう試合をしてしまったのですが……」

──いや、鈴木選手の得意な展開にさせなかった完勝だと思います。鈴木選手に柔術をさせなかったのは評価されて然りではないですか。

「まぁ、そんな風に言ってくれる人はほとんどいないですけどね(笑)。勝つためには、そういう鈴木選手の良さを潰す必要があったことは確かです」

──ハイ、勝つためです。ところで堀江選手との試合では、初回に右をあまり届かない距離で振っていたのは、何かの伏線だったのでしょうか。

「距離に入ったら、どんどん前に出ていこうという気持ちがあったのと、返しは俺の方が速ぇぞと。最近は一概に踏み込みが早いから、それで優位に立てるモノでもないと思うようになったんです」

──というのは?

「レベルは全然違うんですけど、ジョシュ・エメット×ジェレミー・スティーブンスだとか、エメットが距離を取り、そこから右ストレートで入ると、スティーブンスはそれを受けて、バコンバコンって返しているんです」

──そこで返しが自分の方が早いという部分に通じるのですね。入るのは空手の間合いでも、近づくとボクシングだって使うと。

「そうですね、入り方にしても自分になり落としこむことができるようになりました。踏み込まないでパンチの連打で前に出ると、相手も反応ができない。と同時に、普通のリズムで戦っても一つフェイントを混ぜただけで、反応ができなくなることもあります」

──今日の試合でも、堀江選手の反応がなかったわけではなかったように見えました。

Tamura vs Horie「でも正直にいって僕の方が反応は少し早かったです(笑)。堀江選手も空手をやっていたようですが、今、彼がどのレベルで空手の練習をしているのか僕には分からないです。そして僕の方が高いレベルで空手の稽古を続けているという気持ちはあります」

──それは堀口恭司選手が育った栃木県の一期倶楽部での稽古が、それだけ高いレベルだということですね。

「そうです。空手という側面を取り上げると、いくら堀江選手が子供の頃から、何年間も空手の稽古をしていても、最近はMMAファイターとの練習だけになっていると思います。

そうなると、反応なんかは絶対に落ちてくるはずです。空手はやっていないと、感覚が落ちます。僕は世界大会3位だとか、空手のトップどころに触れていますから。より高い環境で空手を練習してきました。

堀江選手は空手の経験が豊富だとしても、現時点では僕の方が空手の稽古ができているので、分があると考えていました」

──今も栃木の足利市まで毎週、足を運んでいるのですか。

「ハイ、週に2度通っています」

──都内から週に2度も……。半端な気持ちでは、できないですね。

「正直、色んな意味でカツカツです(笑)。でも、やるしかないじゃないですか」

──……そういうことになるのですね。

「僕の体形で、力はあってもリーチとか考えると、どうやって戦わないといけないのか自ずと見えて来るものなので。距離を常に詰めようという戦い方だと、リーチの長い相手にはジャブの差し合いでやられてしまいますから。

そうなったら、もう足を使うしかない。逆に組みは自信があります。踏み込みにスポッとテイクダウンに入られたとしても立てます。そうですね……この歳になって本当に自分なりの戦い方が、ようやく分かってきた。試合で勝つためには、足利まで行って空手を習う必要があるんです」

<この項、続く>

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