この星の格闘技を追いかける

【Special】月刊、青木真也のこの一番:1月─その壱─ローリー・マクドナルト×ドゥグラス・リマ

MacDonald vs Lima【写真】ローの痛みに勝利して王座を手にしたロリマクに対し、青木の見立ては圧力が下がったということだった (C)MMAPLANET

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ1月の一戦=その壱は1月20日、Bellator192からローリー・マクドナルド×ドゥグラス・リマ戦を語らおう。


──2018年度1月の青木真也が選ぶ、この一番。まずはどの試合になりますか?

「ロリマク×ドゥグラス・リマですね。ロリマクは一番完成度の高いファイターだと思っていたので、あそこまで競り合いになってしまったのかという試合でした。良い時期を逃したのかというのを少し感じました。そこですね、良い時期を逃したというのが一番思うところでした」

──ローを効かされたことで、ポイントで優位に立っていても4R以降はいつ終わってもおかしくないところを勝ちきった試合でもありました。

「あのローが効かされたのは、5R制の成せる技ですよね。3Rだとあんなに効かない」

──なぜ、リマがあのままローを蹴らなかったのか……という意見もありますが、蹴ることができなかったという憶測も成り立ちます。

01「蹴っている場所がスネだったから。自分の足もやられている可能性もあるし、そういう点でもスネへのローはそれほど流行らないと思います。

僕自身蹴ろうと思わないです。だって、ミドルでブロックしてきた腕を蹴るのだって痛いですから。蹴ったこっちが腫れますからね。だから、リマだって蹴られなくなったんじゃないですかね。

ジュカォンがリマのミットを持っているのが挙がっていたのですが、全部対角線。オランダ・スタイルでした」

──ブラジルのストライカーはチャクリキ時代もそうだし、オランダにキックを習いに行くことは少なくなかったです。

「だからパンチ&ローだと。つまりキックボクシング、ムエタイじゃないです。彼らのいうムエタイはキックボクシング。ムエタイは賭けと密接にリンクしているから、異様にミドルのレベルが上がった。腕でブロックする選手は減点になるから。

ただし、対角線のダッチ・キックボクシングはMMAと相性は良いです。それなのに圧倒的に距離の支配力を持っていたロリマクも、力が落ちてくるとそうでなくなりローを蹴られた。

BJ・ペン、タイロン・ウッドリーと戦った頃だと蹴られることはなかったはずです。ウッドリーを左ジャブと前蹴りだけで圧倒していたのに、スティーブン・トンプソンには圧力で完全に負けてしまうようになった。自分の距離があるということは圧力が掛かっている。それはどこにいるということではなくて、圧力を掛けることができていた。その圧力がなくなってしまったのでしょうね」

──テイクダウンはできても、圧力は以前ほどではない?

「圧力を掛けることはできています。でも、以前ほどではない。ロリマクはムエタイでいうフィームー、距離の権化でアンデウソン・シウバと双璧でした。距離間が絶妙で、力があって、倒すことができても倒さない。ムエタイの凄い選手は倒せるけど、距離だけで勝つ。そういう部分での強さが、落ちてしまったのでしょう。ローがどうのこうのというよりも、ローを貰うようになってしまったロリマクの問題だと感じました。

MMAなので距離間は打撃だけでなく、組み技にも関係してきます。僕らグラップラーは組む能力で、相手に圧力を掛ける。相手が気圧されるのかどうか。ロリマクは打撃でそれができて、組みにつなげていた。そこが弱くなった……けど、僕よりは全然強いですよ(笑)。

だから弱くなったとは言い辛いですね、俺より強いのに。良い時よりも落ちたということにしてください(笑)」

──そのロリマクが頂点に立ったベラトールのウェルター級戦線は今後どのようになると予測しますか。

「ゴメンさない。そういう見方はしていないです。ベラトールはタレントだけの舞台だから、ウェルター級という階級の行方がどうなるかとかそんなに興味はないです。そういうMMAではなくて、タレントが立つ舞台。どっちに買って欲しいのか、明白なことをやってくるプロモーションですよ。

ライト級ですが、今度のマイケル・チャンドラーの挑戦試合のように。輪の中で争いがあるのでなく、一人一人のタレントで興行として勝負している。ベラトールはそういうもんだと思っているので、輪の中でのストーリーに興味を持つということになれば、それはUFCになってしまいます」

PR
PR

関連記事

Movie

JBJJF