この星の格闘技を追いかける

【Deep Cage】バンタム級選手権試合で惜敗──石司晃一─01─「自分は誰の言うことも従わない」

Koichi Ishizuka【写真】西新井、東武スカイツリーラインを背景に。右目に縫い後が残る石司(C)MMAPLANT

13日、DEEP CAGE IMPACT2017のメインでDEEPバンタム級チャンピオン大塚隆史に挑戦した石司晃一。序盤に猛攻を仕掛けたものの2Rから流れが変わり、大激闘の末2-3で王座奪取とはならなかった。

王者・大塚はRIZINバンタム級GP出場へ、榊原実行委員長とケージの下で握手を交わした。残酷なまでも勝者と敗者のコントラスト──しかし、大塚の勝利が劇的になったのは石司とチャレンジャーが存在したからだ。

大塚を絶対的絶命まで追い込んだ石塚をただの敗者として扱って良いのだろうか。MMAPLANETでは、敗れて強さを見せつけた石司に初インタビューを試みた。


【力の差があると思っていたし、1Rで余裕を持ってしまった】

──大塚選手と大激闘の末、惜しくも判定負けでタイトル獲得となりませんでした。あれから5日が過ぎましたが(※取材は5月18日)、今はどのような気持ちでしょうか。

Ishizuka jus ight after fight「試合後はやはり落ち込んでいたのですが、2日後ぐらいから気持ちを切り替えました。ダメージもなかったので、練習も再開しています。今は……そうですね、あの試合を僅差で勝っていたとしても、競って勝つぐらいじゃ全然ダメですし、実力が足らなかったと思います。

もう少しやれるかと思っていたのですが、練習で落ち着いてできることが試合になるとできなかった。課題も色々と見えました。今のままではダメだということですね」

──初黒星です。

「ハイ、プロになってからは初めてです。アマチュアの時に1度負けていますけど。ホントに普通に勝てると思っていたんです。力の差があると思っていたし、1Rを終えた時点で『まぁまぁ差があるな』って感じて。そこで余裕を持ってしまいました」

──2Rに失速したのは?

「あれは失速というか、壁際でバックを取られている時も大塚選手の息が凄く上がっていて、多少攻めさせても良いのかって油断しました。そうしたら寝技に持ち込まれて、逃げ際に腕十字の態勢まで入られ……あそこまで攻められたのは予想外ですし、本当に甘かったです」

──1Rに打撃で圧倒して、そこから寝技の展開になりました。攻め疲れでもしたのかと思いました。

「それは全くなかったです。バックから逃げる攻防は、練習でも得意にしているので問題ないという感覚で。でも、あそこから腕十字を仕掛けられるまで悪い態勢になるのは想定外でした。練習ではあっても、試合であの展開になることがなかったので……そういう部分で経験不足ですし、練習と試合の違いを凄く感じました。試合だとミスを恐れて慎重になってしまう。特に経験していないポジションは、動くことに躊躇してしまっていましたね」

──それは練習で自信があり過ぎ症候群の選手に多いケースですね(笑)。

「あると思います(笑)。それは確実に。練習だと逃げられるので問題ない。でも、試合だと思っていた以上にミスすることを怖がって慎重になってしまいました」

──しかし、石司選手の気持ちの余裕が、心が折れかかっていた大塚選手を生き返らせたのは、痛恨の極みですね。

「それが今の自分の実力です。勝っていたと言ってくれる人もいますが、力が足らなかった僕の負けです。あの状況から立て直すことができるのが、逆に大塚選手の強さで」

──3Rに立て直すチャンスはあったところ、最初にテイクダウンを取られて終盤のRNCまでペースを握られました。3Rの入り方はどのような感じだったのですか。

「大塚選手の技術が上回ったというコトだと思います。シングルレッグが僕を上回った。初回はダブルレッグで来て、防ぐことができたのですが、それからは打撃を織り交ぜてシングルレッグに切り替えてきたんです。

大塚選手がああいうことをできたのも、これまで厳しい試合を経験してきたからだと思います。試合中にアジャストできて、僕はできなかった」

──それでも、あの大塚選手を圧倒した1Rは驚異的でした。寝技に移行したのも、それだけ自信があったということなのですね。

Ishizuka taking back「打撃で攻め続ければ勝てたかもしれないというのも、やはり言ってくれる人はいます。でも、自分はチャンスでポジションを取って攻めていくことにも自信を持っているので。そうですね、自信はありました。寝技勝負でも負けると思っていなかったです」

【自分の意思で、自分で管理して、自分で考えてやっている】

──ならば2Rにセコンドから、攻めさせ過ぎなどいう声があればまた局面は変っていたかもしれないですね。

「自分はセコンドの声を聞かないので(笑)。ホントに練習にしても誰の言うことにも従わないです。全部、自分の意思で、自分で管理して、自分で考えてやっているんです。それで伸びてきたんです。

キックボクシングをやっている時はトレーナーに練習メニュー、戦い方も決められて。それが嫌でしょうがなくて、練習に行かなくなってジムを辞めることになりました」

──石司選手は言葉こそ凄く丁寧ですが、性格的にはオラオラだったのですね(笑)。

「だからキックでは全く結果を残せていないんです。プロになる頃にはやる気がなくなってしまっていて。怒られてジムに行って。でもジムに行っても練習する気になれなくて。アマからプロになる時に、強くなるために選ばせてもらったジムだったのですが、自分には合っていなかった。もう8年も前の話です」

──キックを辞めてからMMAを始めようと思ったのは?

「キックからMMAに転向という言い方をされるのですが、そういうつもりはなかったです。キックボクシングに人生を賭けるつもりだったが、辞めることになって。その頃からMMAに憧れは持っていました。世界的にもMMAが広まって、格闘技の主流になっていたので。

でも、空手とキックボクシングしかやっていなかったのでMMAをやるのは怖かったです。20歳も超えてからMMAを始めても組み技も寝技も一切経験がなかったし、小さな頃から柔道やレスリングをやっている人に勝てるわけがないと思っていました。

なのでMMAでプロになろうという意識は全くなかったです。ただ単にキックを辞めて、何も目標がなくなったから、最後に憧れていたMMAの練習を少しやってみたいなって思っただけで。ちょうどブライトネス門馬道場がオープンしたばかりだったので、入門したんです。あくまでも最後にちょっとだけMMAをやってみようという気持ちでした」

<この項、続く>

PR
PR

関連記事

Movie