【Deep Cage】バンタム級選手権試合で惜敗──石司晃一─02─「このやり方を貫く」
【写真】爽やか笑顔の青年は自己の固まりだった(笑) (C)MMAPLANT
13日、DEEP CAGE IMPACT2017のメインでDEEPバンタム級チャンピオン大塚隆史に挑戦し、激闘の末2-3で判定負けを喫した石司晃一インタビュー第2弾。
キックの道を諦め、MMAを楽しもうと思って始めた石司が無敗街道を歩むプロファイターになったきっかけ、その裏にある苦悩。そして、全て自己流という石司のMMAファイターとしての足跡を語ってもらった。
<石司晃二インタビューPart.01はコチラから>
【今の自分があるのは門馬さんのおかげ】
──プロになるつもりはなかったということですか。
「ハイ。少しMMAをやって格闘技を辞めようと思っていました。23歳になる頃です。最初に教わったのが門馬(秀貴)さんじゃなかったら、今の自分はなかったと思います。本当に楽しく、丁寧に寝技を教えてくれました。プロになって勝つことができたのは、門馬さんが創ってくれた空間が良かったからなんです」
──そしてプロになろうと考えが変わった?
「まず寝技が凄く楽しかったです。どんどん上達しているのも分かったし。3、4カ月ぐらい練習した時にアマチュアDEEPに出てみないかって門馬さんに言われて。アマの試合に出るようになり勝てたことで、プロになろうという気持ちになっていきました。
でも、ブライトネスがプロ選手の多いガツガツやるところだと楽しくなくて、やられてばっかりで試合に出ることもなかったかと思います。プロ選手が全くいなくて、アマの頃から練習相手はいませんでした。だから、教わったことがどんどん極まって。練習のたびに成長が分かる。そして楽しくてしょうがなかった」
──プロを目指す、プロとしてやっていく。楽しいばかりじゃない境遇でやっていくようになり、練習相手がいないとそれはそれで問題になりませんでしたか。
「プロを目指すようになってからは、出稽古をするようになりました。パラエストラ松戸、あとはナチュラル9、トイカツ道場とか門馬さんつながりで慧舟會系の道場が多かったです。
もうその頃にはMMAでやっていくこと、MMAで日本一の選手になることに生活の全てを賭けるようになっていました」
──その間、試合では連戦連勝だったのですが、ブランクも同時に長く、複数回ありました。
「ハイ、一番大きなケガは前十字靭帯をやってしまったことでした。前十字は右も左もやりましたし、腰の負傷が何カ月も続いて長期欠場を経験しています」
──それだけケガが多かった原因は判明していますか。
「ハイ。オーバーワークです。どれだけ練習できるのかが勝負みたいなところがありました。疲れていても、練習を続ける。ハードな練習をできるかどうかが、勝負だと考えていました。ケガあっても気持ちで乗り切るような感じで。
MMAを始めたのは遅かったですが、追いつけたのはその取り組みがあったからだと自分では思っています。その反動でケガが多く、去年は内臓まで機能が落ちてハードな練習ができなくなってしまったんです。
もうダメかなって落ち込んで、行き詰ってしまいました。でも、このままじゃ終われないという気持ちはあったので環境を変えてやってみようと思い直したんです。
その時、自分のジムでプロが複数所属していて、一つの場所で練習することに憧れを持っていました。でも、東京だと出稽古ばかりで、所属ジムはあってないような感じだったので名古屋に引っ越して、ALIVEの所属になりました。
ブライトネスを離れたかったわけでは決してないです。ただ、現状を打開したくて名古屋へ行きました。結局、母親が体調を崩し、夏から年内までしかいることができなかったですが……」
【東京での自由さが僕には合っている】
──短期間ですが、学べたことはありましたか。
「東京とは違う良い部分は感じられました。ただ、フライ級とかストロー級の選手が多くて。あとは久米(鷹介)さんのようにライト級の大きな人になって。日沖(発)さんがちょうど、手術のあとで一緒に練習する機会を持てなかったんです。
ALIVEを選んだ大きな理由が日沖さんと久米さんが所属しているからだったので、そこは残念でした。そして、自分より体格的に小さな選手と一つのところでずっと練習していると、逆に東京は自由だと感じるようになったんです。その自由さが、僕は合っているなって」
──ハハハ。セコンドの言うことは聞かない、練習内容も自分で決めるという性格だと、チームというのは無い物ねだりだったのではないでしょうか(笑)。
「去年は悩んで迷走していたんです(笑)。その迷走の時期を抜け、ALIVEで経験させてもらったこともあって、また成長期に戻ることができました」
──今回、大切な試合で敗北を喫しました。人の言うことを聞かない自分を変えようという気持ちには?
「それは全くないです(笑)。自分のやり方で……、このやり方を貫こうと思っています」
──あれだけ切れる打撃も、指導を受けるということはないのですか。
「全部、自己流です。キックをやっている時から、全て自分の感覚で判断してやってきました。MMAを始めてからも、誰かに打撃を習うことはなかったです。ミットを持ってもらうことも一切ないですし」
──パッディングすらない?
「ハイ、シャドーをやってサンドバッグを蹴って、対人練習をやるだけです」
<この項、続く>