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【ADCC Asia & Oceania trial】嶋田裕太&関根秀樹、貫禄の優勝。カザフスタン勢強し

Winners【写真】日本、豪州、そして今大会で思わぬ活躍が目立ったカザフスタンから予選優勝者が誕生。カザフスタンは今後、アジア&オセアニア予選の台風の目となってくるか (C)TAKAO MATSUI

5日、東京都墨田区の墨田区総合体育館でADCCアジア&オセアニア予選が開催された。9月22~24日にフィンランドのエスポー・メトロ・アリーナで行われる世界選手権への出場権を巡り、日本、韓国、豪州、カザフスタンの選手が各階級で代表権を争った。
Text by Takao Matsui


【66キロ以下級】
66kg final22名が参加したこの階級は、JBJJF主催の2016年アジア選手権黒帯ライトフェザー級王者の嶋田裕太が優勝候補として注目を集めた。対抗となったのは、ノーギ柔術全日本階級制覇など数々の実績を残した西林浩平、成長著しい佐野貴文、パラエストラ東京の吉竹哲也、アライブの竹本啓哉といった強豪が続いた。

嶋田は初戦でカザフスタンのナリマン・ミンバエフと対戦。パスガードを2回決めて6-0で判定勝ちを収めた。2回戦は豪州のロバート・サバルディンと激突。サバルディンは、2013年のADCC世界選手権に出場経験のある強豪で、今大会の1回戦では中島康輔からエレクトリックチェアーで一本勝ちを奪って勝ち上がった。嶋田はダブルレッグをギロチンのカウンターで返してスイープとパスでポイントを奪い、5-0で勝利。準決勝は、カザフスタンのカルダー・アブディカビルからポイント6-0で勝利を収めて決勝へ進出した。

もう一方のブロックは混戦模様。西林がネイル・キャンベルから7-0で勝利を収め、準決勝で佐野と対戦し、本戦0-0で延長戦へ。互いにスイープを決めて2-2として、レフェリー判定で佐野が西林を破った。

決勝は、嶋田と佐野の顔合わせ。昨年末のRIZIN柔術オープントーナメントの再戦が実現した。初めての対戦は判定で嶋田が勝利を収めたが、今回も好勝負が予想された。トップをキープした嶋田は、佐野のバックを奪うが、フックが甘かったのか逆に奪われる展開に。これを逃れた嶋田が、再びバックを奪うとリアネイキドチョークで一本勝ち。ADCC世界選手権の出場権を手に入れた。

【77キロ以下級】
77 finalこの階級も、18名がエントリーして激戦が目立った。中倉三四郎、鈴木槙吾、新美吉太郎、山脇悠佑といった面々に加え、総合格闘技道場コブラ会の出花崇太郎が出場したことで激戦区へと発展。優勝候補の出花を軸に展開すると思われた。

中倉、鈴木、山脇が順当に勝ち上がるなか、なんと出花が初戦でいきなりリアネイキドチョークを極められて一本負け。勝ったのは、豪州のジャック・ベッカーだった。さらにベッカーは、山脇をリアネイキドチョークで下し準決勝へ進出。このままベッカーが勝ち上がるかと思われたが、カザフスタンのオスマンザン・アシモフが肩車で投げてテイクダウンを奪い2-0で接戦をものにした。

決勝は、アシモフと極めの強さで勝ち上がった鈴木が対戦。この試合も、投げを狙うアシモフと足関節を極めにかかる鈴木の白熱の攻防となる。本戦、延長でも差がつかずに勝負は判定へ。長い協議の結果、アシモフが勝利。鈴木は叫び声をあげてその場に崩れ落ちた。

【88キロ以下級】
88 final元パンクラス王者の和田拓也が、2年前の大会に続き連続参戦。前回優勝の三原秀美との決勝対決が期待されたが、すべては豪州のキット・デイルに持っていかれた。デイルは初戦で大場慎之助からギロチンチョークで一本勝ち。三原戦も3-0で勝利を収め、下馬評通りの活躍を見せた。

決勝では、和田を破って勝ち上がってきたバイキング・ウォンと対戦。ウォンは、ONEグラップリングのエリートヘビーオープンで準優勝という肩書を持つ選手。そのウォンに対してデイルは、パスとスイープを決めて5-0で快勝した。

【99キロ以下級】
99 finalこの階級は、小澤幸康が優勝候補。この1強を誰が崩すのか注目された。小澤は、初戦で前回大会3位のハリー・グレッチと対戦して接戦となる。本戦、延長も0-0と差がつかない。勝負は判定となり、やや優勢に戦った小澤が勝利して決勝へ勝ち上がった。

決勝で小澤と対峙したのは、パラエストラ東大阪の南和良。この試合は、立ち技の攻防が目立ち、両者が譲らない攻防となる。足技で崩しにかかる小澤。しかし本戦、延長と差がつかずに判定へ。積極的に仕掛けた小澤が、世界選手権の出場権を勝ち取った。

【99キロ超級】
+99 final前回大会に続き、関根“シュレック”秀樹が参戦。フリーの日比谷紳助が欠場となったことで、誰が怪物を止めるのか注目を集めた。関根は、初戦でカザフスタンのアントン・アマンバエフを延長4-0で破って決勝へ。韓国のキム・ヒョンウは、マイケル・ウィルソンからヒールで一本勝ちを収め、関根との対戦へ駒を進めた。

決勝戦。JBJJF主催の全日本マスター選手権の直前に負傷した足にテーピングで固め、強行出場する関根。ヒョンウは、その負傷した足を狙いにいく。だが関根は、そこを攻めさせないようにうまく動き、パスガードの3点を奪い、無失点で快勝した。

【女子60キロ以下級】
Women 60kgムンジアル女王の湯浅麗歌子が、断トツの優勝候補。勝ち上がってきたイウィア・グルコワスカに三角絞めを仕掛け、腕十字に移行する。腕のロックを外されないように踏ん張るグルコワスカの上へ乗ると、今度は逆の腕を取って十字固めの体勢へ。完璧な試合運びで一本勝ちを収めて優勝した。

■ADCCアジア&オセアニア予選リザルト

【66キロ以下級】
優勝 嶋田裕太(ネクサセンス)
準優勝 佐野貴文(アクシス)
3位 カルダー・アブディカビル(カザフスタン・トップチーム)

【77キロ以下級】
優勝 オスマンザン・アシモフ(カザフスタン・トップチーム)
準優勝 鈴木槙吾(アライアンス)
3位 ジャック・ベッカー(ノヴァウニオン)

【88キロ以下級】
優勝 キット・デイル(アブソリュート MMA)
準優勝 バイキング・ウォン(イングロリアス・グラップラーズ)

【99キロ以下級】
優勝  小澤幸康(TEAM-KAZE)
準優勝 南和良(パラエストラ大阪)
3位  ハリー・グレッチ(イゴールMMA)

【99キロ超級】
優勝 関根秀樹(ボンサイブルテリア)
準優勝 キム・ヒョンウ(10th プラネット)
3位 アントン・アマンバエフ(カザフスタン・トップチーム)

【女子60キロ以下級】
優勝  湯浅麗歌子 (パラエストラ品川)
準優勝 イウィア・グルコワスカ(アブソリュートMMA)
3位  ピッパ・ショー(モロウブラ・アブソリュートMMA)

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