【JBJJF】東京国際 カルペディエム石川祐樹代表<02>「結果として気になるのは、相対評価」
18日(日)、東京・墨田区総合体育館で日本ブラジリアン柔術連盟(JBJJF)主催の『東京国際柔術選手権』が開催される。
Text by Takao Matsui
同選手権に26名が参加するカルペディエムの石川祐樹代表インタビュー後編も、その道場論&柔術論──つまり石川祐樹の人間論が話題の中心となってしまった。
<石川祐樹インタビューPart.01はコチラから>
――どのような試合を期待しますか。
「ケガをしなければ、それでいいです。もちろん優勝はしてほしいですが、一般会員さんには無理に試合をすることだけはやめてほしいです。
インストラクターには、試合に出ろという圧力をかけ過ぎないように注意しています。
本音を言えば、一度くらいは試合をしてほしいですが、人に言われて無理に試合をしても面白くないですからね」
――石川代表は、あまり会場に顔を出さないと聞きました。
「土・日は、練習を楽しみにしている会員さんも多いので、大会があるからといって道場を閉めるわけにはいきません。
土・日に休むフィットネスジムはないですよね? 年末年始も大晦日と元旦のみ休みで、1月2・3・4日は広尾道場を開けています」
――ご家族で過ごす時間は限られてしまいます。
「ずっと、そうしてきましたから仕方がないです」
――娘さんと過ごす時間が……。
「でも、逆に普段の日に休めることもありますから」
――ケガがあるかないか以外に、大会は気にならないのでしょうか。
「一般会員さんの結果として気になるのは、相対評価ですね」
――相対評価?
「つまり、大会に参加している青帯が全員試合ですぐに負けてしまったとしたら、少し昇級が早かったという基準ができます。
逆の結果が出れば、遅れているという判断になります。帯の昇級については、僕らは認定試験という制度を取り入れていませんので、そうしたことも判断基準になりますね」
――それは、逆に分かりやすいかもしれませんね。カルペディエムには、玉木強選手、岩﨑正寛選手、橋本和之選手、渡辺和樹選手……錚々たる面々が揃っています。
「私の中でスタッフと一般会員さんは、完全に分けています。彼らはフルタイム柔術家ですからね。常に結果を求められてプレッシャーになっていると思いますが、野球、サッカーでも一流と言われる選手は、みんなそうした環境で戦い、生き残っています。
見切り発車で、そうした環境をつくりましたが、正直羨ましいんですよ。私は1秒たりともフルタイム柔術家が実現できなかったので」
――柔術のみで生計を立てるプロ柔術家ですね。
「そんなに生活を楽にできるほどはあげられないんですけど、みんな結果を残そうとがんばっています。
橋本なんて、あと1年で大学を卒業できたのに中退してまで上京しましたからね。卒業してからでもいいのに……という声もありましたが、あそこで1年待っていたら『いらない』と思っていました」
――なぜですか。
「あの年齢の1年は、年をとってからの3、4年に匹敵するくらいの経験を得ることができるからです。それにそこまでの情熱がなければ、トップへ行くことはできません。そこは評価しています」
――ロジカルで指導も上手なイメージがあります。
「そこは……、事務的なミスが多いんですよね。僕に事務的なミスのことでガツンと怒られた日の夜でも、Twitterで映画観て感動したというような書き込みをしていたんです。
自分だったら、しばらく凹んでいると思うんですけど、ちょっと驚きましたね(苦笑)」
――いい意味でも悪い意味でもマイペースなのですね(笑)。岩﨑選手も、指導が上手いという話しを聞きます。
「もう少し、目端が利くといいんですけどね。いろいろな会員さんがいるわけだから、控え目な人にも声をかけられるようになってほしいです。
ただ、アカデミーを背負っている責任感を持っていますし、トップを狙う意識も高いですね」
――まだまだ話は尽きませんが、最後にどのような道場を目指しているのか。理想を聞かせてください。
「みんなで柔術を楽しめる空間をつくっていきたいです。インストラクターには厳しいことを言いますが、みんな柔術が好きで入って来たわけですからね。
試合に出たい人は挑戦すればいいし、趣味として楽しみたい人は一定の距離を保てばいい。それぞれの柔術ライフを送ってもらえるのが理想です。
私はプロ野球の山本昌(元)投手のような存在となり、手が足りなくなったらスーパーサブとなって指導していきますよ(笑)」