【HEAT38】フライ級チャンピオン春日井健士を襲った悲劇とは? 「全てを吹っ切ったんです」
【写真】思わぬアクシデントが起きた要因、そこからの頭の切り替えと減量。全てにおいて春日井らしい(C)MMAPLANET
25日(日)、HEAT38でキム・キュソンと初代HEAT総合ルールフライ級王座を賭けて戦い、92秒RNCで一本勝ちしその腰にベルトを巻いた春日井健士。
神はどこまで彼に試練を与えれば良いのか。試合の2週間前に春日井はとんでもない事態に追い込まれ、全てを吹っ切りタイトル戦に集中してきたことが、ベルト奪取直後のインタビューで明らかとなった。
──92秒で一気に一本を取りました。
「ワンチャンスをモノにできた点は自分を評価したいです。ソン・ミンジョンと戦った時にそれができなかったので、あの場面でフィニッシュできたことに関して、少しは成長したのかと思います」──バックを取ってから、すぐに極めるというわけでなく、殴ってセットアップしなおして極めました。
「テイクダウンを取った時、ワキを差されていて逆にバックを取られそうな場面でもあったんです。そこをまず落ち着いて対処できたことがあります。
バックマウントに入ってからも以前のように焦ることなく、落ち着いて戦えました。チャンスがあったら極めることができる。しっかりとワンフックで固めて、襷掛けをして一呼吸つきました。そこから極める自信はあるので」
──時間的にも余裕がありました。
「そうですね。だからこそ、フィニッシュしようと思っていました。今日は5R戦うのは、メンタル的にも厳しいかというのがあって……。ちょっと試合前に色々とあったので……」
──何か問題でも?
「実は2週間前に空き巣に入られて……(苦笑)」
──……。
「ファイトマネーとかスポンサーマネーの現金で頂いた分は箪笥貯金していたのですが、全部盗まれてしまいました」
──エッ? ちなみに額としては?
「えぇとピー万円ぐらいです。封筒に入れて置いていた分、全部ですからねぇ……。警察に被害届けを出したのですが、もうその日は練習できなかったです。落とし物が還ってこなくてもショックなのに、盗まれたって言うのは……。
もうちょっと、気持ちを切り替えようと思って。それで今日、ベルトを獲れたので僕のメンタル、凄くないですかぁ(笑)。ホント、メンタル強いですよねっ!!」
──メンタルが凄いというか、なぜ銀行に入れていなかったのですか。今さらながらですが。
「もう僕は銀行に行きますッ!!。これから僕は銀行に貯金します。ほんと、箪笥貯金している人、銀行に今すぐ行ってください。振り込んでくれるスポンサーさんもいるのですが、結構現金で貰う事が多くて。ファイトマネーも一度、ジムに振り込まれてから現金でいただくことになっていて」
──なるほど。海外の試合なんかも、一部以外は取っ払いのところもありますしね。
「もう銀行に入れます。ホント、吹っ切るしかなかったです」
──ところで今回はセコンドにクレベル・コイケ選手が就いていました。
「はい、練習をしてアドバイスもしてもらっていたので、志村館長も寝技はクレベルに指示しておらおうっていうことになって。相手の映像もチェックしてくれたし、下からの仕掛けの防ぎ方も教えてもらいました」
──試合以前のことですが、計量も見せて頂いたのですが、あれほどまで絞っているのですね。驚きました。
「今回は色々とやり方を変えたんです。金曜日の夕方まで水を1日に6リットル飲むようにしていて、計量前日で64キロあったんです。そこから一気に落とすという減量方法にしました」──ということは一晩で8キロ落とすということですか。落とし幅が半端なく大きくないですか。
「朝になると59.5キロになっていて、そこからドライアウトです。サウナスーツを着て、岩盤浴に入って『俺は絶対に負けない』って500回唱えるまで出ないようにして(苦笑)、汗も300適垂れるまで頑張る。
それを2度繰り返しました。これを乗り越えたら根性で勝てるって思って」
──うわぁ、正直なところその場にいたら引いてしまいそうですね(苦笑)。体重は戻ったとしても、体調も戻るのでしょうか。
「大丈夫です。徐々に戻していくので。それでも食べ過ぎたぐらいで。でも、体調は問題なかったです。今回は空き巣があって、その日にやけ食いしてしまって……」
──全てにおいて春日井選手らしいというか。
「やけになっちゃって……。でも、もう僕はお金は要らない、ベルトを獲るんだって吹っ切ったんです」
<この項、続く>