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【UFC175】最新装備満載ワイドマン×古の武道で勝負のリョート

Weidman vs Lyoto

【写真】現代MMAで最も勝利を掴みやすい武器を揃えているクリス・ワイドマンと、空手とグレイシー柔術で勝負するリョート・マチダ (C)MMAPLANET

5日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのマンダレイベイ・イベンツセンターで開催されるUFC175 「Weidman vs Machida」。ファンエキスポ、ムエタイのLion Fight、アマMMAのTuff-N-Uff(タフイナフと発音する)、グラップリングのGrapplers Questとベガスが格闘技一色に染まるUFC’s International Fight Weekは、UFCにとって初のマンダレイベイ2日連続興業で締めくくられる。

6日(日・同)にTUF19 フィナーレ大会が行われるものの、どちらといえば後夜祭的なイメージもあり、何と言っても格闘週間のクライマックスは同大会であることは間違いない。そんなUFC175のメインはご存じのようにUFC世界ミドル級王者クリス・ワイドマンにリョート・マチダが挑戦する一戦が用意されている。

キャリア11勝0敗のチャンピオンは、アンデウソン・シウバを2度に渡り倒し、その地位を絶対的なモノとしている。ホウストラ大時代に2度、D-1オールアメリカンレスラーに輝き、MMAファイターの道を目指したワイドマンは、ADCC世界大会などグラップリングも経験し、Ring of CombatではTUF17ウィナーのユライア・ホールを破りミドル級チャンピオンに。2011年3月のUFC on Versus05でハファエル・ナタウの代役として、キャリア5戦目で初めてオクタゴンに足を踏み入れる。

その試合でアレッシオ・サカラに判定勝ちを収めて以来、世界王座奪取と世界王座防衛を合せて、7連勝中のワイドマンはマット・セラ&レイ・ランゴの指導の下、レスリングに柔術&キックボクシングを融合させたコンプリート・ファイター。典型的な現代MMAファイターといえる。

そんなワイドマンに挑戦するリョートは、言わずと知れた元UFC世界ライトヘビー級王者で、空手をベースとした異質なスタイルの持ち主だ。既に7年半に渡りUFCを主戦場としているリョートは14勝4敗の戦績をオクタゴンで残している。

ミドル級転向以来、マーク・ムニョスとゲガール・ムサシに圧勝しているリョートの持ち味は、その空手をベースとした距離と間合い重視のファイトにある。ワイドマンが典型的なウェル・ラウンダー、現代MMAファイターならリョートは全局面に対応していた時代の空手が体の隅々にいき渡ってMMAを戦う武道家といえる。

レスリングベース、その踏み込みの速さが打撃に生きているワイドマンは、右ストレートの伸びは前時代的なフックを振り回すレスラーとは一線を画している。なによりも、左手が前の状態でテイクダウンに移行できるので、左ジャブとシングルレッグの見分けがつかない。特にサウスポーと対したときは、左ジャブを見せておいて反応させると、続く前(右)足へのシングルレッグは、距離も近く百発百中といえるだろう。

リョートは両構えの選手だが、どちらかというとサウスポー主体。ミドル級転向初戦となったムニョス戦では、ワイドマン同様にレスリング能力の高い相手にもサウスポーの構えを取っていたが、ムニョスはワイドマンと違い、左手前の構えからそのまま足を取ることはできない。踏み込んで軸足を変えてから、右手でリョートの足を取りにいっていた。このワンステップがあることで、リョートのヒザの裏を取ることは非常に困難となる。

距離と間合いの達人は、その踏み込みに対して、半歩下がる、いや半歩左へ移動することで、強烈な左のカウンターを対戦相手に叩きこむことも可能だ。ただし、左手前でそのままテイクダウンに入ることができるワイドマンは、ムニョスと比較すれば、シングルレッグ成功率は格段に高くなる。踏み込み鋭い左ジャブ、そのジャブとの見究めが難しいテイクダウンを武器とするワイドマンに対し、リョートがどちらの構えで対峙するか。最初の見所と勝負の鍵となる。

もう一つの見所はワイドマンがテイクダウンに成功した後の攻防だ。リョートとしては、避けたいのは壁レスで疲弊すること。そして5Rの長丁場を考えると、倒されて立つというスクランブルを繰り返すことで体力を削られ、生命線となるスピードを失いたくない。ならばリョートは組まれた際に、どうすれば良いのか。倒れることだ。引き込んでも良いから寝技に入ること。そこで体力温存を図り、ブレイクを待ちたい。もちろん、ワイドマンにはセラやジョン・ダナハーの指導を受けたグラップリングがある。強烈なパウンド、エルボーを織り交ぜた寝技の強さは知れ渡っている。本来ならリョートが、下になることは危険極まりない。

ただし、リョートが2年近くも指導を受けている組技は、グレイシー柔術だ。ブラジリアン柔術ではない。特に彼の自宅のガレージにまで足を運んで、寝技をレクチャーしているのはヘナー・グレイシー、そう護身柔術の権化ホリオン・グレイシーの次男に当たる。長兄ヒーロンとともに数多くのMMAファイターに指導する――彼らの──グレイシー柔術は、現代競技柔術やMMAの根幹となる背中をつけた状態から脱することを目的とする寝技ではない。

まずは相手のパンチを受けない位置を取る。第2に下になった位置以上にポジションを進めさせない。そして3番目の目的が、エスケープ。第1にエスケープを計るMMAとは、フィロソフィーが違っている。相手の動きに合わせて無理に動けば、それだけ隙が増える。もちろん、背中をつけていることで判定では不利になるのは承知の上だ。リョートがワイドマンに勝利するには、組みつかれないことが大前提。組まれて疲れるようでは、勝ち目はなくなる。そして尻餅をつかされた時点で、判定では不利になることも疑いようがない。組まれてグレイシー柔術を駆使するのは、勝利への最短距離である立ち技で勝つ=プランAでなく、プランB、第2の選択となるわけだ。

パンチを受けず、ポジションを進めさせなければ、これはブレイクの対象だ。つまり、体力を温存したままリョートは、勝利を掴むべきポジション=立ち技に戻ることができる。それがプランBだ。劣勢のなかラウンドが進めば、寝技に時間を費やす選択は勿論できない。その場合でも、リョートはグレイシー直伝のギロチン系の技を取られないでエスケープ=立ち上がる術もヘナーから伝授されている。ダースチョークを得意とするワイドマンとの世界戦では、空手で勝負するために、グレイシー柔術の有効活用が欠かせない。

若く、勢いがあり、最新装備を備えたワイドマンと、古の武道で勝利を目指すリョート。2014年MMAも下半期を迎え、いきなりの大一番を迎えることとなる。

■ UFC175 対戦カード

<UFC世界ミドル級選手権試合/5分5R>
[王者] クリス・ワイドマン(米国)
[挑戦者] リョート・マチダ(ブラジル/3位)

<UFC世界女子バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] ロンダ・ラウジー(米国)
[挑戦者] アレクシス・デイヴィス(カナダ/2位)

<ヘビー級/5分3R>
ステファン・シュトルーフ(オランダ/12位)
マット・ミトリオン(米国)

<ミドル級/5分3R>
ユライア・ホール(米国)
チアゴ・サントス(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
マーカス・ブリメージ(米国)
ラッセル・ドーン(米国)

<バンタム級/5分3R>
ユライア・フェイバー(米国/2位)
アレックス・カサレス(米国/11位)

<ウェルター級/5分3R>
ケニー・ロバートソン(米国)
イルデマウ・アルカンタラ(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
クリス・カモージ(米国)
ブルーノ・サントス(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
ジョージ・ループ(米国)
ロブ・フォント(米国)

<ミドル級/5分3R>
ルーク・ザクリッチ(米国)
ギヘルミ・ヴァスコンセーロス(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
ケビン・ケイシー(米国)
ババ・ブッシュ(米国)

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