【PXC44】PXCウェルター級王者カデスタム 「防衛を重ねていく」
【写真】キャリア6勝1敗とし、新PXCウェルター級王者となったゼバスチャン・カデスタム。TUFチャイナ勢より、よほど実力は上に感じられるが……(C)MMAPLANET
6月27日(金・現地時間)にグアムのUOGフィールドハウスで開催されPXC44でPXCウェルター級王者に輝いたゼバスチャン・カデスタム。5Rに渡り、ローを蹴り込み地元で王座奪取を目論むジョシュ・カルボに圧勝した。
試合後、控え室に戻ったばかりの新チャンピオンにインタビューを試みると、なぜかゼバスチャン・カデスタムは「I’m Sorry」という言葉を口にした。
──ベルト奪取、おめでとうございます。試合の印象を聞かせてもらって良いですか。
「その前に計量の時から、君のことを見かけてずっと謝りたいと思っていたんだ。本当にあの時は申し訳なかった」
──???? 何のことでしょうか。
「以前、マカオで……」
──アッ、あの時の……。
「そうなんだ。本当にあの時は悪かったとずっと謝りたかったけど、僕が起きたらもう部屋にいなかったから……」
──ハハハハ、髪の毛を切ったのでは全く分からなかったです。
※2012年の2月にマカオで開催されたLFCを取材した際、当時プーケットトップチームで指導していたボーン・アンダーソンと筆者はルームシャアをした。その際、彼の教えを受けていたブロンドの長髪をなびかせていた若いスウェーデン人選手が、部屋が無いということでイベント終了後に、我々の部屋に転がり込んできた。朝までに済まさないといけない仕事を抱えていた筆者を余所に、その青年は冷蔵庫のビールを飲みあさり、大声で延々と話しかけ続け、極めつけは禁煙ルームでの寝たばこ。筆者は我慢の限界を越え、彼を大声で怒鳴りつけたことがあった……。
「いやぁ……」
──ともあれ、PXCウェルター級のベルト獲得おめでとうございます。
「本当に素晴らしい気分だよ。凄く試合も楽しかった」
──かなりローキックを効かせていましたが、どのような作戦だったのですか。
【写真】初回からカルボは、カデスタムのローで体がよれていた(C)MMAPLANET
「ああいう風にローを当てることだよ。プラン通り、実行できた。ただ、作戦ではもう少しコンビネーションを増やして、力の入ったパンチを打ち込む予定だったんだけどね……。力任せに打ったってことはないけど、コンビネーションはワンツーまでだったね。もっと色々な攻撃を見せたかったよ」
──この試合のキーポイントはカルボのローのディフェンス、そしてゼバスチャンのテイクダウン・ディフェンスだと予想されていました。
「そして僕は彼のテイクダウンを防ぐことができ、カルボは僕のレッグキックをディフェンスできなかった。それが僕の勝因になったね。毎日、オーレ・ローセンとこの試合のために練習してきたんだ。彼はメインコーチでもあり、メインのスパーリングパートナーでもあるんだ」
【写真】カルボのテイクダウン狙いを5Rに渡り、ほぼ完ぺきに防御。一度だけ尻餅をつかされるシーンがあったが、すぐに立ち上がった(C)MMAPLANET
──今でもレガシージムに所属しているのですね。
「そうだね、フィリピンのボラカイとタイにある2つのレガシージムでトレーニングしている」
──UFCの登竜門といえるPXCのチャンピオンになりました。次の目標を教えてください。
「与えられた相手と戦っていく――って言いたいけど、何か所かケガがあるから、手術をして暫く休まないといけなくなるだろうね。実は4週間前に右ヒザを脱臼しかけて、その週はほとんど歩くこともできなかったんだ。靭帯が伸びていると思うから、一度、しっかりとドクターに診てもらおうと思う。あと、この試合で右の拳と右足の甲も骨に異常が出た」
──そうだったのですか。コンビネーションで攻めることができなかったのも致し方ないです。
「そうだね……。きっと手術することになると思う。でも、しっかりと直して年内にカムバックしたい。UFCかぁ、もちろん僕の夢はUFCで戦うことだよ。でも、まぁPXCのチャンピオンがUFCと契約できるのは、彼らがアジア人だからだ。僕はスウェーデン人、アジア人じゃないからね……。スウェーデンでも、アジアでも有名なわけじゃない。UFCから声が掛かれば最高なんだけどね」
──シンガポール大会にウィーン在住のロシア人ファイターも出場していますし、スコックホルムは定期的にUFCが開催されている。チャンスはあるのではないですか。
「そうなって欲しいね。いずれにせよ、PXCのチャンピオンになれて今は凄くハッピーだし、ここから道が開けるためにもPXCで王座防衛を重ねていくつもりだよ」
──期待しています。試合後のお疲れのところありがとうございました。
「ホント、マカオでのことは悪いと思っているんだ」
──もう、全く気にしていないですから(笑)。UFC目指して頑張ってください。
「ありがとう」