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【TUF11】第10週 ティトに非情通告、まさかの途中降板

ジ・アルティメット・ファイター(TUF)シーズン11も残すところあと2週。クリス・マクレイ&反則勝利のブラッド・タバレスがベスト4進出を決め、残る準々決勝戦は、ジェイミー・イェイガー×ジョシュ・ブライアントの一試合だ。

【写真】多彩な蹴り技を持つイェイガー。だが、ブライアントが一気に距離を詰めてパンチを放っていくと、ディフェンスできずに被弾する場面が幾度か見られた (C) ZUFFA

しかし、TUFシーズン11ではもう一つの前例なきストーリーが進行していた。コーチのティト・オーティズが首の痛みを訴え、UFC115のチャック・リデル戦をキャンセルしたいという意思表示をした。

加えて、先週行われたマシンスキーとタバレスの試合で、(本人は謝ったが)マシンスキーが放ったグラウンド状態での顔面サッカーボールキックを「胸部を狙った」と一人で主張。これが、リデルの怒りのかい、今週の放送では、リデルがダナに怒りをぶつけるシーンからはじまった。


「これだから、始めからやりたくなかったんだ。ショーはやりたくなかったし、唯一の報酬はあいつをぶん殴れることだった」というリデルに、ダナは「ショーが終わって戦うことに変わりはない」と説得しながらも、違う選手との対戦を示唆。カメラの前では「ティトからメールをもらった、『俺は試合ができない。手術が必要なんだ』ってね。こんな事態は初めてだ。ショーが終わっても、お互いが戦えないのは」と語った。

そして、ベスト4残る一枠を懸けた、チーム・リデルのブライアントとチーム・ティトのイェイガーによる一戦が始まろうとしていた。

「イェイガーには全幅の信頼をおいている。このショーにいる全ての相手に勝てると思っているよ」というティトは、イェイガーの勝利を信じ、当の本人も「コーチが、ジョシュは俺ほどのスピードとダイナミックさを持った相手と戦ったことはないといっていた。ジョシュはきっと俺とスタンドで打ち合いたくないと思っている。フライングニーでも右オーバーヘッドでも、一瞬で仕留めてやるよ」と自信を漲らせる。

その一方で、対戦相手のブライアントは「小柄なのが有利になるだろう。テイクダウンを狙うが、それはパンチを見舞ってからだ。イージーファイトだと思ったら痛い目を見る」と必勝を誓った。

試合では、頭一つ背の高いイェイガーが、ワンツーからスーパーマンパンチを狙ったところ、冷静に見切ってカウンターのフックを当てていったブライアント。イェイガーは後退しながらも、豪快なハイキックを返したが、この攻撃は空を切り、ブライアントは一気にケージへ押し込んだ。

再びスタンドで向かい合うと、ミドルを放つイェイガーに、鋭い縦のフックを返すブライアント。イェイガーが左のフックから前蹴りを出すと、これがブライアントの急所を直撃して一時中断となった。インローを放つイェイガーは、続いて、ジャンピングハイキック、前蹴りを繰り出すも、ブライアントは上体を揺らし、一気に踏み込んで放った左右のフックがイェイガーの顔面を捉えた。被弾したイェイガーは尻餅をつくようなダウンを喫し、ブライアントが抑えこんだところで1Rが終了した。

2R、前足でのロー、ミドル、そして、右アッパーを単発で繰り出すイェイガー。今度はブライアントの蹴りがイェイガーの急所を直撃したが、すぐに再開する。再び飛び込むようなフックを見せたブライアントに、イェイガーは後退しながらその場飛びのニー、パンチ、ジャンピングニーを放っていく。

だが、ミドルを放ったものの距離が近く、バランスを崩して倒れ込んだイェイガーに、ブライアントはサイドからパウンドを落とした。すると、イェイガーもシングルレッグから立ち上がると、バックを奪いパンチを入れていく。スタンドに戻ると、前蹴り、スーパーマンパンチを放つが、互いに体力の消耗が激しく、徐々にスピードがなくなっていく。残り1分、バランスを崩したイェイガーを抑え込んだブライアントはガッチリとサイドを奪うとヒジ&パウンドを落としていった。

2Rが終わると、イェイガーは立ち上がることも、顔を上げることもできず、ダナから引き分けにより3R突入が発表されるも、そのままレフェリーが試合終了を宣言した。

これにはダナも驚きを隠せない様子で、「まさかイェイガーがリタイアするとは思ってもいなかった」と語り、リデルは、動けないイェイガーに対し、「お前も辞めるのか。ティトと一緒だな」と皮肉交じりに笑った。

首を痛めたとさるイェイガーは、首を固定された状態で救急車に乗り込み、病院へと運ばれたが、そんなイェイガーの症状よりも、「リタイアはあり得ない。戦い方は教えられるが、ハートは教えられない」と話すティトは、イェイガーのリタイアにショックを受けている様子だ。

しかし、本当の災いはティト本人に降り注いだ。試合後、ダナがティトを呼び出すと、「明日カリフォルニアの医者のアポイントメントを取ってある。今回の症状に関してはアメリカでも一番の名医だ。とにかくその医者のところへ行ってくれ。掛かりつけの医者がいるのもわかるが、セカンドオピニオンも聞いた方がいい」と進言すると、ティトもこれまで見せたことのないような神妙な面持ちで頷いた。

だが、「TUFの歴史上で、コーチがシーズン中にリタイアすることはなかった。これが初めてだ。明日がお前の最後の日だ」とダナが続けると、動揺を隠せないティトは、「どういうことだ?まだ俺は契約が残っている」と反論したが、「わかってるが、これで終わりだ。前例がないことで戸惑うのもわかる。チャックには別の相手を用意した」と答える。

試合キャンセルどころか、TUF11を途中降板することになったティト。「俺はクビだとよ。クビになるのは人生で初めてだよ。受け入れ難いし、一瞬で全てを奪われた気分だ」と心境を語るも、「手術でもなんでもして、必ず戻ってくる。これがティト・オーティズのラストでは決してない」と強がり、チームに挨拶もせず車に乗り込み去っていった。

ダナからティトの一件を聞いたチームの面々は、「別れの言葉もできなかった」、「俺達の知っているティトとは思えない」と力なく話すと、病院からは「致命的な怪我ではなかった」というイェイガーが帰ってきた。

その夜、ティトが別れを伝えに戻ってくると、「絶対に黙って去ったりはしないと思った」と歓迎する選手達に対し、「試合ができないといったら、ダナはクビだといった。俺はとにかくお前たちに申し訳ない」と詫びる。「正直、なんでここを去らないといけないのかわからない。UFCとしてはチャックの相手をここに呼びたいんだろう」と吐き捨てるや、「グッドラック」と言葉を残した。

そして、残った4人による準決勝戦のカードが発表された。試合は、ブラッド・タバレス×コート・マクギー、クリス・マクレイ×ジョシュ・ブライアントの組み合わせだ。さらに、今週のラストシーンでは、チーム・ティトの前に一人の男が現れる。

「ダナから連絡があったんだ。『ティトが怪我でチャックと戦えなくなった。相手が必要だ』ってね。俺はあんたのいうことならなんでも聞くって返したよ」と語り、笑顔を見せたのは“エース”リッチ・フランクリンだった――。

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