【Lion Fight14】バースに男前な完敗、クリス・サイボーグ
【写真】5Rの激闘を繰り広げたヨリーナ・バース、クリス・サイボーグ。バースがLion Fight ウェルター級の王座防衛に成功した(C)MMAPLANET
28日(金・現地時間)にネバダ州ラスベガスのハードロックホテル&カジノ内ザ・ジョイントで開催されたLion Fight 14。アマチュア6試合、プロ5試合が組まれたラスベガス発のムエタイ・イベント。
首相撲&ヒジ打ち有りだが、MMA同様に直角に落すエルボーを認められないなど、ステート・アスレチック・コミッションの意向が反映されている面もある同プロモーションのフルムエタイ・ルール。そんなライオン・ファイト14のセミファイナルで、クリス・サイボーグがキャリア3戦目ながら35勝0敗3分で、世界2冠のヨリーナ・バースと同プロモーションの女子ウェルター級王座を賭けて戦った。
<Lion Fight女子ウェルター級王座決定戦/3分5R>
ヨリーナ・バース(オランダ)
Def.3-0:49-44,49-45,48-45
クリス・サイボーグ(ブラジル)
セコンドにティト・オーティズを帯同したサイボーグは試合開始早々、コーナーに詰まったバースの左前蹴りをモロに受け体が前方に体が崩れ落ちる。そのまま組みつくと、レフェリーはカウントを取らないという、いきなりのミスジャッジ。それでもダメージが残るサイボーグは、右ハイキックを受けてダウンを喫する。組みでも遅れを取ったサイボーグ、バースのビッグラウンドとなった。2R、足を使って回りながら鋭いローを蹴り込むバースは、さらに下がりながら左ジャブをヒットする。サイボーグも左に回りながら試合を進めるようになったが、下がりながら相手を誘って打ち込む打撃はない。
3R、とにかく前に出るサイボーグは、右フックをヒットさせる。ただし、積極的な姿勢が裏目に出てしまい、踏み込むパンチ主体のファイトでは、その分ローで前足を削られてしまう。結果、さらにパンチが大きくなったサイボーグ。右フックを振るったところで、バースの右ヒザが顔面を直撃し、後方に尻餅をつく。ここでもレフェリーはダウンを取らない不可解な判断。勝利するために前に出続けるサイボーグは、バースの右ハイにスーパーマンパンチを合わせようとするダイナミックな動きも見せた。4R、倒れても、殴られても心が折れず、スタミナの残っているサイボーグは前に出てパンチ、そして組んで倒していく。
そんな攻撃にバースが削られたのか、疲弊した様子が見えてくる。首相撲で崩されるシーンも出てきたバースは、右フックを被弾して動きが止まる場面も。ラウンド終了間際にもバースの右ヒザに対し、サイボーグは右のスーパーマンパンチを決め、初めて明確にラウンドを取った。最終回、逆転KOの期待も残すサイボーグが、開始直後に前に出ていく。バースは回りきれず、前蹴りもスピードに欠け、体重も乗らなくなっていたが、ここで右の後回し蹴りを見せる。バラウンスを崩したサイボーグ、何とレフェリーはこれをダウンと宣言する。
いずれにせよ、サイボーグが逆転するにはKOするしかない状況は変わらず、パンチを振るいながら前進を続ける。回るバースも、接近戦で正面を取られるとすかさずパンチを打ち返すなど、キックの女王はサイボーグのプレッシャーにも飲みこまれない。勢いではややサイボーグのラウンドではあったが、ダウンもありポイント的には劣勢のまま試合はタイムアップへ。
結果、勝者は当然のようにバースの名前が呼ばれた。レフェリーが最後のダウンを取っていなかったという仮定も、逆にいえば2つ多くダウンを奪われており、ポイント差は大きくなっていたので言及すべきではない。試合的にはバースの完勝だった。ただし、本職の世界王者、敵無しで3年も試合がなかったキックの女王に対し、最後まで立ち続け、フィジカル&ハートの強さを見せつけたサイボーグ、MMA王者にしてADCCやムエタイに挑む貪欲な姿勢が見る者に伝わった完敗劇だった。
■Lion Fight 14 試合結果
163 ポンド契約/3分5R | ||
○グレゴワー・ショプラン (フランス) |
5R終了 判定 |
マルコ・ピケ× (オランダ) |
Lion Fight女子ウェルター級王座決定戦/3分5R | ||
○ヨリーナ・バース (オランダ) |
5R終了 判定 |
クリス・サイボーグ× (ブラジル) |
145ポンド契約/3分5R | ||
○シェーン・オブロンスキー (米国) |
5R終了 判定 |
マライペット・サシプラパー× (タイ) |
154ポンド契約/3分5R | ||
○エディ・アバソロ (米国) |
5R終了 判定 |
ジョナソン・ワイダーコ× (米国) |
122ポンド契約/3分5R | ||
○ヴィクトー・サライーバ (米国) |
3R2分43秒 TKO |
アンソニー・カストレオジョン× (米国) |
142ポンド契約/3分5R | ||
○ガストン・ボラノス (米国) |
4R1分57秒 TKO |
ブライアン・デルロサリオ× (米国) |