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【Special】ニューヨークの嶋田裕太に柔術Lifeを聞く予定が……「道場も5月末まで閉まる可能性が高い」

Y Shimada【写真】本来は笑顔でNY柔術ライフを伝えたかったのだが…… もちろん、嶋田が語ったNYとは違った日常があるだろう。ただし、彼は今、このことを日本に伝えたいということだった(C)YUTA SHIMADA

「僕自身が感染する可能性が凄く高くなっている」──嶋田裕太は日本にいる我々とは違う、ナーバスな様子でそう語った。

昨年9月に日本を発ち、5年間の予定で柔術漬けの日々を送るためにニューヨーク、ハーレムに移り住んだ。この間、ブラジルで3週連続でトーナメントにも出場し、マルセロ・ガウッシア柔術で朝から昼過ぎ、夜と1日に2度マンハッタン・ミッドタウンとハーレムの行き来をしていた。

体を休めることも踏まえ、生活のリズムができ、充実の日々を送っていた嶋田のインタビューをパン柔術前に行う予定だったが──新型コロナウィルスの拡大により、米国では日常が大きく変わってしまった。


──NYで待望の柔術漬けの生活を送っているはずだった嶋田選手ですが、そちらの様子はどのような感じですか。元々パン柔術に出場する予定だったと聞いていましたが。

「ハイ、チケットも取って出発まで1週間になってパンが中止になりました。僕自身も日本のニュースしか見ていなくて、米国がどうなっているかとかチェックするような空気でもなかったんです。

3月12日まで普通に練習していて、それが夕方に『明日から3月いっぱいは休館する』という通達があったんです。でも、その時ですらNYは普段と変わりなかったですし、そんな事態になっているのかっていうぐらいの認識でした。

それがもう1日、1日と騒ぎが大きくなり、3月16日にトランプ大統領のガイドラインが発表されてからですかね……一転しました。道場が閉まっている間は、家の近所のスポーツジムでウェイトをやっておこうと軽い気持ちで──柔術の練習できなくても、体を動かしてムンジアルまで気を抜かずにいこうという感じでいたんです。

そうしたらスポーツジムも閉鎖されてしまって……でも、家の周りは人も歩いているし、マスクをしている人も全然少なかったです」

──言ってみると、普段と変わりないけど人が集まることだけはダメになったというような。

「ハイ。それがパン柔術用にミッドタウンのクリーニング屋さんにパッチを縫い付けてもらうために出していたので、引き取りに行ったんです。ジムの近くにあるお店に」

──マンハッタンの中心街へ。

「そこで街の変わりように衝撃を受けました。地下鉄に乗っても1割ぐらいしかマスクをしていない状態だったのですが、とにかく街の人の数はもう激減していて。1/30ぐらいしかいなかったように思います。

飲食店もテイクアウトできる店しか開いていないのはミッドタウンもハーレムも同じで、椅子はテーブルの上に乗せられているような感じです。テイクアウトとデリバリーだけですね、営業していたのは。

で昨日、22日(日・現地時間)にボストン柔術に所属されているタダシ・タカシマさんのクィーンズのお宅に招かれていて。そうしたら、夜の8時以降は外出禁止になりました。タカシマさんの家からの帰りは、本当にもう街は人っ子一人いないような状況で」

──食事とかはどうなっているのですか。

「生活必需品の買い物をすることは許されていて、スーパーもやっています。何か品薄になるってことは、僕の近所ではなかったです。それにジョギングも、人と距離を空けてなら良いということになっていているのですが、あまり外に出たいとは思えないです」

──まるで他人事だった米国が、一気にそこまで様変わりするとは。日本とも様子が本当に違いますね。こちらは外出も外食もいくらでもしています。

「それで道場の休館も3月いっぱいだったのが、5月末まで閉める可能性が高いという方針になりました」

──まるまる2カ月半、ですか!!

「でも、こっちにいるとまだまだ延びるんじゃないかと。終息する気配なんてないですよね」

──それは日本も同じだと思います。ここから、もう一段階か何段階か拡大するというのが大方の見方です。

「もう練習とかいう感じでなく、ここにいると自分が感染する可能性が高いと思います。日本にいてもそうかもしれないですけど、やはりこっちで感染するのと日本だと違いますしね」

──そうですよね。でも米国は誰もが検査できたのではないですか。

「それが……症状が出た人だけになって。10日以内に医療器具が足らなくなるという話のようです。映画のようなパニックが起こるのかなって感じですね」

──それは、もう柔術どころではない……と。

「休館はMGだけではないでしょうし。僕は結構、感染する可能性があるという認識でいます。州知事が『40パーセントから80パーセントの人間が感染する可能性がある』と言っている状況ですしね」

<この項、続く

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