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【ONE108】圧巻の勝利とパフォーマンス。クローリーに圧勝した平田樹「色々な人に迷惑をかけて……」

Itsuki Hirata【写真】試合翌日、リングの上とは違う人格の持ち主のような平田樹の姿だった (C)TAKASHI IGA

7日(金・現地時間)にインドネシアはジャカルタのイストラ・セナヤンで行われたONE108「Warrior’s Code」で、平田樹がナイリーン・クローリーから圧巻のTKO勝ちを収めた。

ハイドレーションに苦しみ、当日計量でもパスできずキャッチウェイト戦となった平田は、まるでそんなことがなかったかのようにリング場でクローリーを圧倒した。

もちろん計量失敗は良くない。イコール・コンディションの前提を覆した白星は、体重を守って手にした勝利と同じ価値を与えてはいけないともいえる。と同時に、その状況で自らの失敗を気にすることなく、試合が成立した時点で相手を叩きのめす精神がファイターには必要だ。

(C)MMAPLANET

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計量に対して、どの国の選手よりも清廉潔白な日本のMMA界──だからこそ、何事もなかったかのようにクローリーを蹂躙し、インターバル中にダンスを披露する平田に驚きを禁じ得なかった。

日本のMMA界になかった、新しい生き物の誕生を見たような気すらした。

見るモノを驚愕させた平田に試合翌日、ファイトウィークを振り返ってもらった。


──最初に平田選手に謝らせてください。水曜日に体重を落とせていない状況で、インタビューをお願いし了承してもらったのですが、あそこまで事態が深刻だったことに気付かずに申し訳ありませんでした。

「いえ、そんな全然大丈夫でしたよ(笑)」

──まだセコンドの横田さんも現地に入っておらず、メディアの対応などで「ノー」といえない状況だったのではないかと。そこを察することができなくて。だらだら汗を流している状況だったのに……と。

「普通にアップして、汗を流していただけなので(笑)。あの時は体重は問題なかったですし、尿酸値だけで。自分の感覚では体は動くけど、数字は分からないから……。でも、あんなに風に体重は大丈夫でも、ハイドレーションがダメで水分を補給して、また体重が増えてというのを繰り返すことになるとは……。

もう、2回目もパスしなかった時は『試合、したくねぇなぁ』っていう気持ちにもなりました。裏に行って、食っちゃおかなぁって(笑)」

──平田樹がそういう風に思っていたと!! それは追い込まれてたいたということですか。

「こんな未完成で試合に出たくないという気持ちはありました。でも、回りの大人の人たちが試合当日も朝から集まって私のために動いてくれて。それでもハイドレーションはパスしなくて、水を飲んで体重オーバーという形でキャッチウェイトでしか試合ができない。それも相手が条件を飲んでということだったので……」

──まぁクローリー陣営も試合を断ることはないと思っていましたが、契約通り創れなかったことで申し訳ないという気持ちがパフォーマンスに影響しないかと危惧しました。

「契約のことなので私がやることじゃないのですが、なんか条件面でやり取りしているようだったので『コイツ、やる気だな。ならぶっ倒してやる』って切り替わりました。私はお金なんていらいから、戦いたかったです」

(C)MMAPLANET

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──それであの圧巻のパフォーマンですか。試合開始前、あれだけ厳しい表情をしていたのに、直前に笑顔になったのを自分で分かっていましたか。

「いえ、まるで分かっていなかったです(笑)」

──2Rを終えてのあのダンスは?

「あれはもう盛り上がってきて。自然と……(笑)。そうしたら横田さんにコーナーに戻ってこいって言われて(笑)。相手は寝技を嫌がっていたし、もういけると思って3Rも戦っていました」

──いやぁ、技術云々ではなくパフォーマーとして桁が違うのではないかと。こんな日本人選手はこれまで見たことがないという風に感じました。

(C)MMAPLANET

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「でも、寝技は殆ど柔道のままだし。3Rにダブルレッグでテイクダウンを取れたのは良かったですけど、もっともっと技術力を上げないといけないです。

それに本当に色々な人に迷惑をかけてしまって……、相手も試合を受けてくれたので終われば本当に感謝の気持ちしかないです。

だからこそ、こんなことが2度とないように尿酸値や減量のことを勉強して、練習面でも色々と見直して、もっと強くならないといけないと思っています」

──次、いつぐらいに試合をしたいですか。

「4月か5月、ケージで戦いたいです」

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