【Pancrase311】暫定女子ストロー級王者・藤野恵実「乗っていない神輿がどんどん先にいっている感じで」
【写真】チャンピオンとしての、藤野の言葉を聞くことができた (C)MMAPLANET
8日(日)に東京都江東区の新木場スタジオコーストで開催されたPancrase311のメインで藤野恵実が暫定ストロー級クィーン・オブ・パンクラシスト王座決定戦でチャン・ヒョンジを下し、その腰にベルトを巻いた。
ついに念願を叶えた藤野、大会終了後に彼女の言葉を聞くと──まだ王座奪取の実感はなく、プレッシャーから解放されてホッとした彼女がそこにいた。
──とにもかくも、おめでとうございます。
「ありがとうございます」
──この相手だし、プレッシャーがあろうが勝ってもらわないと困る。そんな気持ちだったのですが、試合直前になって、こちらまで緊張してしまっていました。
「アハハ八。私は意外と普通だったんです。試合前のプレッシャーの掛かり方は尋常ではなかったですが、試合は普通に入ることができました」
──相手が足を使ってきて、藤野選手の勝利を願うばかりに『追え』とかっていう声も会場から出ていました。
「ハイ。どこのコーナーにいてもセコンドがいました(笑)。捕まらないなぁとは私も思っていたのですが、津田の指示が『無理に突っ込むな』というものだったので、そこに従っていました。で、1Rが終わってから『これで良い?』って聞いたんです。そうしたら『これで良い。入れる時だけ入れば良いから』ということだったので。
客席から聞こえてきた多くの声が、普段から一緒に練習をしている仲間の声で、知っている声が多かったです。その声だと普段の動きを知っている人からのアドバイスなので、しっかりと聞くようにしてしましたね」
──チャンも2Rになると、あの距離を維持することが難しくなってきました。
「組んだ方が絶対に勝ち目があがるので、相手に組ませたかったです。ストライカーが組んでくるということは、こっちのプレッシャーが掛かっているということですしね。ああなったことで戦いやすくなりましたね。
ただ組んでみないと力は分からないので。見た目も力はありそうだったし、実際に腕を挟まれたりしても抜けなくて」
──ゴゴチョーク、かなり入っていたように見えたのですか。
「極めたかったです。でも2Rだし、腕がパンパンになるのは避けたくなりました。ただ3Rで極めることは決めていて、実際に3Rの前に『ここで極めよう』という指示が出ました」
──しっかりと獲れました。
「完全にホームで戦っていたし……この後に打ち上げまで入っていたから、やっぱりプレッシャーでしたね(笑)。負けたらお通夜になるじゃんって。でもまだチャンピオンになった実感はなくて、とりあえず試合は終わったなという感じで……喜びよりも、皆の前で勝てたことにホッとしています」
──津田さんがこれまでで一番疲れた表情、そしてホッとした顔を試合後に見せていたように感じました。
「私より津田のことを見ていますよね(笑)」
──いえいえ……。
「試合中も怒られなかったので、ちょっと珍しかったです。皆が盛り上がっていて、私自身のテンションは変わっていなかったのですが……そこについていけていなくて(苦笑)。乗っていない神輿がどんどん先にいっている感じでした」
──そうやって周囲を巻き込むことができたのも、プロとして素晴らしい成果だと思います。
「有難いことですけど……アウェイの方が、気が楽だって思ったこともありましたね(笑)」
──アハハハハ。
「これで終われるのか……な、とか」
──まぁ、そこは一度喜びに浸ってから考えてください。
「暫定王座ですし、ヴィヴィが返上するのか。エジナからは『手首が治ったから、ベルトを獲ったら挑戦するから』って言われていますしね(苦笑)。
まぁ、『次はKOするで』っていう気持ちもあります。今日の試合も1Rは向こうにつけているジャッジもいたし、それを想うとまだまだだっていう気にもなりますしね。
でも続けるかどうかは、津田と話さないといけないです。『お前は絶対に辞めない』って言われていますけど」
──ゆっくり休んで、話し合ってください。
「明日も仕事なんですよぉ。打ち上げ終わってから、仕事です(笑)」
──祭りが終わるという感じですね。ではROAD FCに出るようになってから、ずっと応援してくれていたMMAPLANETの読者に皆さんに一言お願いします。
「その前に……女子格は嫌いだと言っていたのに、取材してもらったことが本当に嬉しかったです」
──……。
「前も言いましたがパンクラスで女子がメインという、これまでありえなかったことを普通にさせてもらえて……それが認められたということなのかは今も分からないですが、それでも普通にこの試合を皆さんが見てくれたことが嬉しかったです。続けてきて良かったと思います。ずっと応援してくださってありがとうございました」