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【UFN157】UFC初陣。アラテンヘイリ、ダナー、チョン・ダウン&パク・ジョンヨン──あすなろ戦記──

UFN157【写真】バタゲレル、アラテンヘイリ、チョン・ダウン、バク・ジョンヨンが我慢の時を経て、同時に勝利を重ね世界最高峰に辿り着いた (C)MMAPLANET

31日(土・現地時間)、中国広東省深圳(シェンチェン)のユニバーシアード・スポーツセンターで開催されるUFN on ESPN+15:UFN157「Andrade vs Zhang」。

メインは5月に衝撃的なスラムでローズ・ナマジュナスを破りUFC世界女子ストロー級王者となったジェシカ・アンドレジが、中国人ファイター初となるUFC世界王座挑戦権を得たジャン・ウェイリを相手に初防衛戦を戦う。


セミでは現在7連勝中のエリゼウ・カポエイラが中国MMAを牽引してきたリー・ジンリャンと対戦するなど、中国大会らしい上位カードとなっている。と同時に日本からの出場は魅津希1人だが、これまで日本やアジア太平洋圏でキャリアを積んできたファイター達の名前を目立つのも今大会の特徴だ。

Heili Alatengオープニングファイトに出場するアラテンヘイリは、2015年に韓国のROAD FCが中国企業から資金得ることで実現した中国進出により、母国や韓国のロードの大会で常連だった選手だ。フライ級に落として戦ったチョ・ナムジン戦でドロー、続く朝倉海戦では29秒=ヒザ蹴りで敗れると、バンタム級に戻して2連勝としたところでロードと中国の関係が切れ、今回の試合が1年3カ月振りの実戦となる。

Batgerel vs Kara-France対するバットゲレル・ダナーはキャリア6勝1敗のモンゴル人ファイターで、キャリア3戦目にLegend FCで今大会にも出場するカイ・カラフランスとの壮絶な殴り合いを制し、一気に注目を集めるようになった。しかし、この勝利をステップとしたかったダナーだが、レジェンドFCの活動停止とともに順調なキャリアアップの道を失してしまう。

ロードFCやONEへの度重なる働きかけにもオファーはなく、2011年のデビューながら試合経験が7戦という事実こそが、彼が置かれていた厳しい状況を端的に表している。デビュー以来、年に1度のファイトをかろうじて続けてきたダナーだが、2015年11月から昨年5月まで試合はなかった。2年半ぶりのファイトで4年2カ月ぶりの勝利を得ると、2カ月後にも母国のMGL-1で白星を得て、ついには世界最高峰で戦う機会を得た。

Jung Da-Un vs Yuto NakajimaまたTOP FCからHEATを主戦場とし、ライトヘビー級王者になったチョン・ダウン。HEAT王者からUFC進出は、ストラッサー起一以来だ。HEATではヘビー級でも戦っていたチョン・ダウンは、アジア圏の重量級には珍しいボクシグ&レスリングのスピーディーな連動を見せ、寝技でも抑えて殴ることに長けたウェルラウンダーだ。無敗のロシアン=カディス・イブラヒモフを相手に持ち味が発揮できるか。

Park Jun-Yong vs Animal Kojiそのチョン・ダウンがアラン・ボドウの持つHEATライトヘビー級王座に挑戦予定が、王者の負傷欠場でノンタイトル戦を戦った2017年12月23日に、ミドル級王者エンリケ・スギモトのベルトに挑む予定も──チャンピオンの欠場でANIMAL☆KOJI(しくわこうじ)と戦ったパク・ジョンヨンも、今大会でアンソニー・ヘルナンデスと相対する。

HEAT後の1年半の間に豪州、台湾、ロシアの大会で勝利を続け、7連勝としたところでパク・ジョンヨンはZUFFA首脳の眼鏡にかなった。これら7つの勝利にはPXC時代にPFLでブレイクしたレイ・クーパー3世=ブラダボーイをアナコンダで破った一戦も含まれている。母国でホームと呼べる戦場を持たずに、2年以上も韓国で試合をしていないパク・ジョンヨンは海外の単発契約の試合で結果を残して、ついに夢への一歩に踏み出す。

チョン・ダウンは日本のインディーから世界進出への道を切り開いた。アラテンヘイリ、バタゲレルは共に戦う場を失った厳しい経験を経てのUFCデビュー。人生の逆転を賭けた闘志と覚悟を彼ら4人は見せてくれるだろう。そして、そんな4選手のオクタゴン登場とその道程──あすなろ戦記──は、今も同じような状況にある日本人選手にとって、指針となり得るはずだ。

■ UFN157対戦カード

<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者] ジェシカ・アンドレジ(ブラジル)
[挑戦者] ジャン・ウェイリ(中国)

<ウェルター級/5分3R>
エリゼウ・カポエイラ(ブラジル)
リー・ジンリャン(中国)

<フライ級/5分3R>
マーク・デラロサ(米国)
カイ・カラフランス(ニュージーランド)

<フェザー級/5分3R>
ルー・ジェンホン(中国)
マフサル・エヴォエフ(ロシア)

<女子フライ級/5分3R>
ウー・ヤナン(中国)
魅津希(日本)

<ウェルター級/5分3R>
ソン・ケナン(中国)
デリック・クランツ(米国)

<ミドル級/5分3R>
アンソニー・ヘルナンデス(米国)
パク・ジョンヨン(韓国)

<バンタム級/5分3R>
アンドレ・スークムタズ(米国)
スムダーチー(中国)

<ライトヘビー級/5分3R>
チョン・ダウン(韓国)
カディス・イブラヒモフ(ロシア)

<ライト級/5分3R>
ダミール・イスマグロフ(カザフスタン)
チアゴ・モイゼス(ブラジル)

<女子バンタム級/5分3R>
カロル・ホザ(ブラジル)
ララ・プロコピオ(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
⇒ バットゲレル・ダナー(モンゴル)
アラテンヘイリ(中国)

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