【WJJC2019】ルースター級、橋本知之─02─ 「カイオとマイキーに勝ったブルーノに勝てる可能性は5%」
【写真】この考え方は、新たなる覚醒なのか(C)SATOSHI NARITA
5月29日(水・現地時間)から6月2日(日・現地時間)にかけて、米国カリフォルニア州ロングビーチで行われるIBJJF主催ブラジリアン柔術世界選手権の黒帯ルースター級に出場する橋本知之インタビュー後編。
柔術を究めることと、世界大会で勝つことが一致していない橋本は、米国で学ぶことについても一つの結論を出そうとしていた。誰よりも前に進んできた橋本が、世界選手権を前に語った──ブルーノ・マルファシーニとの戦いとこれからの強くなり方とは。
<橋本知之インタビューPart.01はコチラから>
──競技で勝つことを目指す上では問題ですが、一生掛けて柔術を探求するという姿勢では有りなのですが。
「ハイ。そうなんです」
──そうなると勝手ながらブルーノ・マルファシーニと決勝という流れを見ている側とすれば求めたくなります。決勝まで勝ち上がった橋本選手のクローズアウトは見たくないですし。
「ハハハハ。全然、そう思ってもらうことは構わないです。それはそれで面白いです。でも、ブルーノとやって勝てる自信は凄くないですよ。やりたいですけど、カイオとマイキーを両方倒したブルーノが決勝に上がってきて、僕が勝てるかと言われたら、ちょっと自信はないです。
その時が来たら勝ちに行くことは絶対ですが、勝算は自分のなかで5パーセントぐらいしかないです」
──テハ、ムスメシと当たりボロボロになって勝ち上がってきたとしたら?
「そういうことないですから。別に10分の試合で消耗するなんてことはほぼないので」
──それが現実だと。
「本当にレベルが高い。ブルーノは強いです。2回戦って……僕も上達はしていると思いますけど、あの体感した差を埋めることができているかといえば、全然そうは思えないです」
──一度は引退して、MMAに専念すると宣言しても以前と変わらぬ強さがあると考えていますか。
「MMAも1試合だけですし、柔術の練習をかなりしていると思います。完全にMMAの練習だけをしていたら、カイオが勝つでしょうし。だから、MMAの練習に専念しているなんてないと思います。柔術ばっかりやっているんじゃないですかね」
──MMAは去年の9月に1試合戦っただけですしね。
「それに凄くレベルの高い相手と、本格的にMMAを戦っているわけでもないし。業界的に柔術だけで食えて行けるようになっていますしね。今回から賞金も出るから……4試合勝てば70万円ぐらい貰えるのは、オイシイって思っているんじゃないかと。十分に強いですし。なら、出ないと損ですからね。だから普通にブルーノはまた出てくると思っていました」
──それでなくてもルースター級も層が厚くなってきたなか、絶対王者が返ってきたわけですね。ライバルと1階級上のチャンピオンを連れて。そのなかで橋本選手は世界を狙える位置にあります。
「どうなんでしょうね。僕がベスト4に肉薄しているレベルではあっても、そこのレベルの選手を圧倒できてもいない。本間(祐輔)さんとか松本(義彦)さんのような、ある程度トップクラスと戦える選手が日本にもいましたからね。佐々(幸範)さんとかもいたので……僕も突き抜けたいという想いはありますが、今のところそうなっているとは思えないです」
──大会前にテハやムスメシと一緒に練習することで余計にそのように思えてしまう部分はありますか。
「ありますね……。逆に日本だけで練習をしていたら、もっと調子に乗れると思います。かといって調子に乗っているから勝てるわけじゃないですし。今、思っているのは……日本の環境も良くなってきていて……米国で練習することで学べることも多いし、それは絶対に良いことです。でも自分のチームのカルペディエムの環境が良くなってきているので、自分のチームのなかでコミュニケーションをとって、目指しても良いんじゃないかという気持ちもあります」
──そこまで環境が整ってきたのですね。
「ムンジアル前にこっちでキャンプというコトを4年ぐらい繰り返しています。そこに限界を感じています。米国で来て学んでも、 結局は自分で考えて……もっと自分で突き詰めてやらないと。世界チャンピオンから学んでも限界があるなって。
だから人頼みでなくて、自分で考えないといけないと……そういう風に考えていますね」
──やはり橋本選手はライフタイムで柔術が上手くなることを考えているのですね。決して、ムンジアルの頂点に立つことではなく。
「コレに全てを賭けると思える強さもあるはずです。でも、僕はそこまで追い込めない。長い目で見てしまうことはあります。それが良いことなのか、悪いことなのかは分からないですけど」
──それこそが今の橋本知之だということで、活字にさせていただきます。
「ハイ。ありがとうございます」
──最後にパン柔術の前に肩を負傷しましたが、体調面はいかがですか。
「ケガをした時は結構ヤバかったですけど、今はかなり治ってきて調子は良い方です」