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【UFC234】散り際の美学など存在せず。アンデウソンは勝利に拘り、アデサニャに判定負けも現役続行宣言

<ミドル級/5分3R>
イスラエル・アデサニャ(ニュージーランド)
Def.3-0:30-27.30-27.29-28
アンデウソン・シウバ(ブラジル)

豪州のファンがスタンディングオベーションで迎えたアンデウソン。サウスポーに構えたアンデウソンに対し、アデサニャが左ローを蹴る。アンデウソンが左に回ると、その動きを封じるようにアデサニャが右ジャブを放つ。アデサニャの左ハイをキャッチにしにかかったアンデウソンは、バックハンドを避けて一気に前に出る。

ここでアデサニャが右を当て、下がったアンデウソンに右、そしてヒザのフェイクから右をヒットし腰を落とさせる。笑みを浮かべたアンデウソンのワンツーは空振りに。ここで、なぜかレフェリーが両者がマウスピースがはめているがチェックする。再開後、右を当て合った両者、直後にアデサニャがワンツーをヒットさせる。フグトルネードばりのスピニングバック・ローキックを見せたアンデウソンはオーソに構えたところでジャブを被弾。直後の左ハイをスウェイでかわす。

サウスポーに戻し、回転フェイクから前に出たアンデウソンに対し、アデサニャは左ハイ。今度はダックでかわしたアンデウソンに向かって、アデサニャが左手を突き出して「来い、来い」と挑発したところで初回が終わった。

2R、アンデウソンはスピニングバックキック、前に出て来たアデサニャにカウンターの右を打ち込む。さらに左ミドルを当てたアンデウソンは、右ミドルを捌きノーガードで下がる。その手には乗らないとばかりに、指を立てて横に振り間合いを取り直したアデサニャがパンチをまとめていく。と、アンデウソンは最初の2発が顔面に触れたが、その後の攻撃はノーガード&ヘッドムーブでかわす。

続くアンデウソンの後ろ回し蹴りをよけたアデサニャが右を当てる。ハイはまたもダッキングでよけられたアデサニャがここでショートの連打を打たれて真っ直ぐ下がる。接近戦で詠春拳ムーブを見せたアンデウソンは、パンチを2発入れた直後に右ストレートをヒットさせる。ケージに詰まったアデサニャは、首相撲で体を入れ替えて間合いを外すと右をヒット。

アンデウソンは中間距離より近い位置でプレッシャーを強め、打たれても打ち返していく。左手でボディを守り、右手を伸ばす構えのアンデウソンには、アデサニャの蹴りがしっかりと見えているようだ。前に出てボディ、ショートアッパーを入れたアンデウソンが後ろ回しの下段蹴りをよけられたところで時間に。

最終回、シウバ・コールのなかアデサニャが左ローを入れるが、アンデウソンは続くローをキャッチし、タイナーから飛びヒザを狙う。サークリングでかわしたアデサニャがケージ中央を取り、ケージに詰まったアンデウソンから距離を取り直す。

アンデウソンは金網を背負ってここで戦えとマットを指さすと、アデサニャが前に出ていく。しかし、手を出すことはなくサウスポーで動きを止め、オーソに戻したアデサニャが下がる。今度はアンデウソンが前に出る。前蹴りを見せたアデサニャは左ローから、左ハイへ。見抜いていたアンデウソンは、サイドの構えでノーガードに。誘いに乗らないアデサニャも、蹴りのフェイクを見せる。

右ボディを当てたアンデウソンに対し、左ストレートを届かせたアデサニャが右ハイを繰り出す。ブロックしたアンデウソンだが、手数に劣る。ボディを入れたアデサニャが右ハイ、ブロックしたアンデウソンに左ストレートを当てる。パンチを被弾すると、ノーガードで戦局を遮断するアンデウソンは、後ろ回し蹴りの押収を見せ、試合はタイムアップを迎えた。

43歳、アデサニャに倒しに行く戦いをさせず、ポイント争いに持ち込ませたアンデウソン。豪快に散れば良いというありがちな美学とは正反対、やられず勝利を諦めない姿勢を見せ続け0-3の判定負けとなった。

勝利者インタビューで言葉に詰まったアデサニャは「ディス・イズ・クレイジー。これは……僕にとってマイケル・ジョーダンとバスケットボールをするようなものなんだ。それがリアルになった。凄い1週間だったよ。人の手にはコントロールできなことも起きる。でも僕らはやった。アンデウソン、ありがとう。感謝している」とレジェンドと握手。

そしてケージサイドでベルトを持つケルヴィン・ガステラムに対し、「ケルヴィン、ベルトを下ろせよ。本当に。次は何が起こるか、とにかくその口を黙らせる」と話した。

一方、アンデウソンは深々とファンに頭を下げ、「凄くハッピーだよ。まず神に感謝の言葉を伝えたい。ここに来られて、もう一度ベストを尽くす機会を与えてくれた。僕は自分の仕事が好きなんだ。この試合がタフになることは分かっていた。この階級の選手は本当に強い。でも、これが僕の人生で、僕のハートだ。戦い続ける。それが僕の気持ちだから。ここに来てくれた一人、一人の人にありがとうと言いたい。皆、愛している」とアンデウソンは現役続行を宣言。今後についてはホームタウンのクリチバで試合がしたいと話した。


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