【Pancrase】酒井代表、2019年の所信表明?? 40分に渡る質疑応答。「スポンサー金額は過去最高です!!」
【写真】色々な想いがあることは想像が難くないなか、酒井代表が極めてクールに言葉を続けた(C)PANCRASE
1月31日(木)、東京都新宿区のパンクラス事業本部で開かれたPancrase303&Pancrase304に関する会見のなかで、パンクラス酒井正和代表が、2019年の所信表明にも似た質疑応答を行った。
ONEというアジアの大砲が、しっかりと足場を創り日本への進出を始めたMMA界にあって、パンクラスは多くの選手が流出したという事実もある一方で、UFCが頂点であった時代のJ-MMAに絶えず話題を提供し、リードしてきたのが酒井代表とパンクラスであったことは間違いない。
その酒井代表が見据える2019年のパンクラスとは。
「2017年はディファ有明でやっており、ある程度のパンクラスのパッケージが出来上がったことで黒字に転じました。昨年はある意味、ゼロからスタジオコーストでさせてもらい12月の決算で4桁の経常利益を確保することができました。スタジオコーストにおけるビジネスモデルがパンクラスとしてできたかと思います。
そのなかで課題もありますが、2018年のパンクラスはスポンサー獲得で目標額にも達しましたし、2019年のスタートは2月17日にレベルスさんとPancrase REBELS RING.01という新しい試みをやらさせていただき、チケットもほぼソールドアウトになっています。それだけ期待されているのかと思いますが、MMAとキックがパッケージになっている大会が世界でも増えているので、そういう形でやらさせてもらっています。
3月もソールドアウトしてしまうと思います。4月は久米選手のタイトル戦があり、今ボリュームアップしているところです。日本の格闘技業界はパンクラスの例を挙げると……『色々な選手がいなくなって空洞化』という話も出ています。私としては、そういう意識は持っていないです。逆にパンクラスにとってチャンスの部分もあるので、選手の育成をどんどんしていきます。今まで緩やかだったものを今後は計画性を持って進めていけば良いと思っています。
大会数は他の団体さんより多く、年間11大会を開きます。ここに対して選手が出られるようにマッチメイカーの坂本と話し、やっていければと。3月大会ではISKAさんのレフェリーを招聘し第3機関が裁くという試みもあり、パンクラスの新たなパッケージを……2017年、2018年にできなったモノを構築していければと思います」
上記の酒井代表の言葉に続き、40分近くに及んだ質疑応答の模様は以下の通りだ(要約)。
──修斗がONEのパートナーとなり、DEEPとDEEP JEWELSはRIZINとの結びつきが強いです。そのような状況のなかで、パンクラスの今後の路線をどのように考えておられますか。
「修斗さんのパートナー提携は英断だと思っています。なぜ、私達は興行を打っているのか。別に儲かるわけではないです。育った選手が良い稼ぎができるようプロもアスリートとして確立できるために修斗もDEEPも、私もやっています。
DEEPさんにはRIZINという舞台があり、地上波TVのある大会に進出することで選手の環境が変わります。一方で修斗さんに出ている選手が、世界最高峰になるような勢いのあるONEで活躍すれば……。日本のマーケットとは違う、世界のマーケットを考えると面白いですし、選手に選択権ができるのは3年、4年前では考えられなかった。そういう意味でもあれぐらいの提携内容でないと、中途半端になります」
──ONEでもRIZINでもない、3月大会の田中選手の出場のように、その2つが目標でない選手たちに集まってきてほしいという気持ちをお持ちですか。
「そうですね……プロのMMAファイターがお金を稼げるわけですから、その分レベルが上がらないといけないです。それがこれからの3、4年で確立していくと思います。今回の田中選手の件は、その前段階です。
世界的な部分で、日本は遅れています。ようやくそういう波がくるようになったので、パンクラスとしては……どちらかというとONEチャンピオンシップさんと提携の話があれば、当然話をしていきますし、その内容によっては有りだと考えています。選手がどこに行きたいのか。ただし、選手自身がまだ追い付いていないので、私達運営側がソレを創ってあげる。例えばUFCは日本大会も無くなり、放送も無くなった。
それによってUFCの浸透度は薄れています。だから時系列で追いかけているなかでいうと、修斗さんは良いタイミングで行った英断だと思います。日本でONEが開催され、プロモーションも始まり、チケット発売も始まった……いよいよやるぞという段階で……そういうことを踏まえて、パンクラスとしては何が最適なのかを判断したいです。
ONEにはウチから選手も数多く行っていますし、活躍してほしいです。ONEのタイトルを取って、世界にアピールしてほしい。そういう想いが自分のなかで強いです。選手が稼げるなら、それで有りなので。
今、日本の格闘技団体で選手が食えていける団体はない。それができるように僕は6年前からやってきましたけど、日本は特別な国です。MMAに対し、企業、国がスポーツとして見てくれない。そこをこの1年頑張ってどうなるのかといえば、ならない。僕は6年前からやっていますから。
そういうことを考えると、世界の大きな団体……資金力があり、資金調達能力があり、格闘技団体でなくしっかりとした会社組織である大会で選手が戦ってくることで可能性が変わって来る。
年収も変わって来るでしょうし、環境も変わって来る。3年後、4年後を見据えたら何をしないといけないのかというジャッジメントの時になっていることは分かっていますし、3月にONEが日本に来ることは良いことだと思います」
──話があったラスベガス大会は?
「考えていないです。そういう悠長なことを言っていられなくなりました。ONEが日本にやってくるという情報が入り、国内を固めることが大切だと。ベガスではやりたかったですし、箱も抑えていた。でもタイミングがくればやらせてほしいとお断りを入れた感じです。
今年の後半とかも急激に変わってくると思います。ONEの日本大会が終わってから、何か新しい地殻変動のようなモノが起こるような気がします。MMAもキックも。4月以降に相当変わって来る。そこは見据えていきたいです。
ONEが日本をとても大切にしている。ようやく日本のことをリスペクトしてくれる団体が本腰を入れて来る。実際、修斗さんに行ったように資金を投下している。これは何か変わりますよ。話があるなら僕は話して、想いを伝えます。そこはやりたいです。
共通しているのは選手……選手を高いレベルに持っていって……あとはキックボクサー、マーシャルアーツに関わっている選手を高いステージに持っていく。そういう部分に対して、チャトリCEOは純粋というかピュアだと感じます」
──チャトリCEOと話す場合はレベルスも含めてということになりますか。
「そこは分からないです。どういう取り組みをしていくかなので。これまでもピラミッド構想のように選手が、他に出て行けるという試みはやってきました。WSOFがそうです。向こうに問題があり頓挫しましたが、あの時も選手がベガスで戦い、その映像が世界に拡散されるということが目的だったんです。
それがRIZINさんでいえば地上波ですね。選手の環境が変わってくる。今回、それが何かというとONEなんです。そういう意味ではピラミッドがあるのかと。次に何を目指すのか、田中選手のように明確な選手ならの良いのですが……そうでない選手も多い。ブッカーさんがいて、急に参戦するような。そういうことでない、しっかりとした流れのなかで結ばれて、日本人選手が一つでも多く勝てるような環境を創っていければ良いと思います。
MMAは日本の文化、心技体を持った武道の国の日本の選手が這い上がっていくチャンスはONEしかないと僕は思っています。チャトリCEOのことをとてもリスペクトしていますし。そういう考えを持つ、代表者はとても大切かと思います」
──今年のパンクラスの軸となるタイトル戦等など骨子となる部分はどのように進行されるのでしょうか。
「変わらず、です。去年はあまりタイトル戦を組めなかったですが、今年は1大会1タイトルマッチでいこうと思っています。格闘技業界が良い風に変わってきているので、盛り上がってくると思います。2019年も始まったばかりですけど、大きなスポンサーも獲得できました。
これまでにない感触を肌感で感じています。2019年の4月以降、変わってきます。余談ですが、ONEチャンピオンシップ・ジャパンの秦社長ともお会いしましたが、良い意味で日本の格闘技は面白い展開になってくると思います。マイナスってことはないです。
またAbema TVさんの影響力も大きいですね。格闘チャンネルができたことで……統計は取っていないですが、KO勝ちが増えるだとか、放送が一本入っただけで色々なことが変わったと思います。色々な流れが変わったのは、Abema TVさんがあったから。そこは凄く思っています。
代理戦争とかイチ・ファンとして俺、視ているから(笑)」
──パンクラスのチャンピオンになったら、ONEと契約という話も?
「それも面白いんじゃないですかね。下部組織ではなく、選手が次に行けるという事実は大きいと思います。次のステージで、オプションで次にこんなことができるというのがあれば選手も変わって来る。その情報をAbema TVで取れる。それを選手が持つことができる……選択権が増えたということは非常に良いことだと僕は単純に思っています。
ホント、田中選手のように1試合でもウチはウェルカムなので。RIZINに上がっている選手が来てくれても、ウチは一向にかまわないです。パンクラスはパンクラスなので。
地上波といっても独立系のMXで放送し、WSOFとの提携など仕掛けてきましたが、何でも上手くいくというわけではないです。格闘業界に対し、日本の企業はそこまで振り向いてくれない。それはそういうものだと認めながら、如何にスポーツ化、私たちがやっているのはスポーツだと訴えかけられるかです。
でもですね、ウチは今スポンサー金額でいえば、全盛期を上回っています」
──全盛期というのは船木選手たちがいた時代ですか。
「ハイ。あの頃は放映権料がありましたが、協賛金という部分では過去最多です。そういう意味では、固定したビジネスモデルとしてチャンスはあるかと思います。だからといって3000千万、4000千万、5000千万という賞金でどうのこうのということをやろうとは一切思っていません。
選手が戦える、完全実力主義として戦えるフィールドを与える。その方針は変わらないです。世界標準を掲げ、選手の進める道を増やすという意味では、ONEチャンピオンシップは買いだということです。
なんか最近はマスコミの人と話していなかったから、たくさん喋ってしまいましたね(笑)。パンクラスは黒字で、スポンサー獲得は過去最高だと、しっかりと書いてくださいね(笑)」