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【UFN122】UFC上海はマゴメドシャリポフ&サリコフ、ロシアン・カンフーファイターに要・注目

Zabit Magomedsharipov【写真】ロシアはボクシング&レスリングとは一線を画したコアを有しているファイターが多く、マゴメドシャリポフの倒せる散打MMAはMust Watchだ(C) ACB

25日(土・現地時間)、中国・上海のメルセデスベンツ・アリーナで開催されるUFC Fight Night122「Bisping vs Gastelum」。マイケル・ビスピン×ケルヴィン・ガステラムのミドル級がメインの同大会、中国人ファイターが8人も出場する中で世界のMMAシーンを席巻するロシア勢にも注目したい。


強力ロシアン・ファイターの供給源といえるACBのフェザー級王者から、UFCに進出し9月のロッテルダム大会でDWTNCS出身のマイク・サンチアゴをRNCで下したザビット・マゴメドシャリポフは、その筆頭格だ。

サンチアゴ戦ではサイドキック、後ろ回し蹴りと豪快な蹴り技に加え、ケージを蹴ってのショータイムキックまで披露していたマゴメドシャリポフ。テイクダウン狙いも切り続け、ワキを潜るとバックに回りフィニッシュに結びつけた。

倒せる回転系の蹴りは、ロシアの散打ファイターの特徴といえる。このマゴメドシャリポフも散打でロシア王者に輝くこと4度、欧州選手権も制している。相手の足の裏の部分をマットに着かせるとポイントとなる散打では、中国やフィリピンのファイターは投げや足払いとのコンビネーションが冴えるが、マゴメドシャリポフの場合はボクシングとの融合で、テイクダウンを頻繁に仕掛けるタイプではない。

サンチアゴ戦ではスイッチも見せていたが、基本はオーソドックス。そして、手足とも左側――つまり前足、前手の攻撃に相当な威力がある。マゴメドシャリポフは右ストレートも伸び、KOパワーを持っているが、特に注目したいのはこの左側からの攻撃だ。

蹴りはノーモーションでいきなり顔面を狙い、当然のようにミドルやローを蹴ることができる。パンチはジャブだけでなく、勢いがあり過ぎるリードフックには相当に警戒が必要だ。一発で倒す力を秘めるこの左は、右ストレートとのコンビネーションでワンツーから3発目でダメ押しの大砲といえる威力がある。

また左のパンチのモーションと同じ踏み込みで、右後ろ回し蹴りを仕掛けることができるため、パンチのつもりでステップバックした対戦相手のボディや顔面を蹴りぬくことが可能だ。

底知れぬ可能性を見せるマゴメドシャリポフだが、それでもUFCではまだ2戦目。初戦のサンチアゴもオクタゴン初陣だったことを考えると、彼の可能性がどこまでなのか見極めるのに今回のシェイモン・モラエス戦はうってつけだ。

WSOFでマルロン・モラエスの持つ世界バンタム級王座に挑戦経験もあるモラエスは、そのモラエス対決が唯一の黒星のファイターで、UFCで4勝3敗と勝ち越しているロビー・ペラルタやジャスティン・ゲイジーとガンガンの殴り合いを演じ、KO寸前まで追い込んだルイス・パロミーノにも勝利している。

そんなモラエス戦の内容如何によっては、マゴメドシャリポフが一気にUFCフェザー級戦線の主役に躍り出る可能性もあるだろう。

また散打といえば、今回がUFCデビュー戦となるムスリム・サリコフは世界大会を5度に渡り制している正真正銘の散打スペシャリストだ。キック、MMAともに中国をメインにKLFなどで戦ってきたサリコフは、相手の蹴りを捌いて倒すという中国伝統のウーシュー・サンショウ(武術散打)と、レスリング的なダブルレッグと打撃の連動を武器にしており、マゴメドシャリポフとは一味違う動きが見られるに違いない。

MMA界の毒を持った虎の穴=ACB出身のマゴメドシャリポフ、中国で既にビッグネームのサリコフ――2人揃ってMMA戦績13勝1敗のロシアン・カンフーファイターから目が離せない。

■UFN122対戦カード

<ミドル級/5分5R>
マイケル・ビスピン(英国)
ケルヴィン・ガステラム(米国)

<ウェルター級/5分3R>
リー・ジンリャン(中国)
ザク・オットー(米国)

<フェザー級/5分3R>
アレックス・カサレス(米国)
ワン・グァン(中国)

<ウェルター級/5分3R>
ムスリム・サリコフ(ロシア)
アレックス・ガルシア(カナダ)

<フェザー級/5分3R>
ザビット・マゴメドシャリポフ(ロシア)
シェイモン・モラエス(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ボビー・ナッシュ(米国)
ソン・ケナン(中国)

<女子ストロー級/5分3R>
ケイリン・カーラン(米国)
ヤン・シャオナン(中国)

<バンタム級/5分3R>
バラット・カンダレ(米国)
ソン・ヤードン(中国)

<ヘビー級/5分3R>
チェイス・シャーマン(米国)
シャミル・アブドゥラヒモフ(ロシア)

<女子バンタム級/5分3R>
ジナ・マザニー(米国)
ウー・ヤナン(中国)

<フェザー級/5分3R>
ロランド・ディ(フィリピン)
ウリジブレン(中国)

<ヘビー級/5分3R>
シリル・アスカー(フランス)
フ・ヤオゾン(中国)

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