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【ADCC2017】99キロ超級 動かざること山の如しのサンチェスが動き、ブシェシャに下る

Almeida【写真】ホジャー・グレイシーが現役引退した今、名実ともに世界最強グラップラーとなったブシェシャがアブダビ最重量級を制した (C)SATOSHI NARITA

9月23日(土・現地時間)と24日(日・同)の2日間、フィンランドのエスポーにあるエスポー・メトロ・アリーナでアブダビコンバットクラブ(ADCC)主催の世界サブミッション・レスリング選手権が行われた。


2年に1度のノーギグラップリングの世界最高峰の舞台で行われた戦い。今回は99キロ超級決勝戦の模様をレポートしたい。

01初戦で関根秀樹を破ったオーランド・サンチェスは強力なベースを生かし、ゲイリー・トノンの師匠筋であるトム・デブラス&ジャレド・ドップの2人にレフェリー判定勝ち。2年連続で決勝の舞台に駒を進めた。

02もう一方の準決勝では、今年の世界柔術最重量級&無差別級王者ブシェシャことマーカス・アルメイダが、サイボーグ=ホベルト・アブレウと対戦。両者譲らない立ち技の攻防を延長まで続けたが、残り2分のところでニータップでサイボーグをなぎ倒したブシェシャが、一度は距離を取って立とうとしたサイボーグに雪崩の如く突進して覆いかぶさって2点を先取。さらに終了寸前にダメ押しのダブルレッグを決め、前々回大会の無差別級決勝の借りを返すことに成功した。

かくして最重量級の決勝戦は、おそるべきアグレッシブさを誇る最強の柔術家ブシェシャと、下にならない力とトップキープだけで前回大会を制したサンチェスという、異なるスタイルが真っ向からぶつかり合う注目の一戦となった。

03<99キロ超級決勝/20分1R>
マーカス・アルメイダ(ブラジル)
Def. by 3-0
オーランド・サンチェス(米国)

04試合開始時から引き込みがマイナスとなる決勝戦。他の階級と同じく、立ち技の攻防が続く。試合が動いたのは4分過ぎ。上背で大きく劣るサンチェスが、ブシェシャの頭を掴んで引き落としてがぶることに成功。しかし、その後サンチェスがバックを狙って動いたとことで、ブシェシャがシングルに入りサンチェスの巨体をテイクダウン。さらにブシェシャは、スクランブルを試みたサンチェスのバックを奪取した。ただしまだ加点時間帯には入っていないため、ポイントはつかず。

そこからチョークを狙っていくブシェシャ。その長い足を持ってさえ、サンチェスの巨大な胴に四の字フックを入れるのは難しいようだ。前回、今回のこの大会を通しておそらく初めて下になったサンチェスだが、冷静に首のディフェンスをしながら、体をずらしてゆくと、やがて立ち上がることに成功する。体格とレスリング力で柔術家の攻撃を無化するイメージが強いサンチェスだが、自身柔術黒帯の技術を持っていることをしっかり見せつけた。

05試合は加点時間帯に突入。両者の頭がぶつかってサンチェスが出血し、包帯を巻く場面を挟んで、お互い積極的に前に出てテイクダウンを狙い合う立ち技の攻防が続く。残り1分半となったところで、前進して組み付いての投げを狙うサンチェス。しかし背中でグリップを作りきれずに前方に崩れると抜け、ブシェシャにがぶられてしまう。

06「ヒザを付いたままでいるな! 立て!」というセコンドの指示に従ってサンチェスは立とうとするが、そこでブシェシャはがぶりのプレッシャーをかけたまま長い足を伸ばし外側から掛けてバランスを崩すや、あっという間にバックに回ってフックを完成させた。残り1分のところでついに3点を先制したブシェシャ。最後までスクランブルを狙うサンチェスだが、ブシェシャはそれを許さず、試合終了に。その場で抱き合い、健闘を讃え合った両者は、立ち上がるとともに大きく両手を挙げて歓声に応えた。

07昨年、柔術技術を完封するトップキープ戦法でADCCを制したサンチェスをブシェシャが制したことで、柔術家たちの溜飲を下げるような結果となった今回の重量級決勝。ただし、ブシェシャの2度に渡るバックテイクは、サンチェスが昨年以上に積極的に攻め込んだ、つまりあえてブシェシャの領域に飛び込んできた結果であることも否めない。

もし、サンチェスが昨年のようなルール上の勝利だけを目指したら、どうなっていたのか。白熱の好勝負は、グラップリングルール設定の難しさを改めて考えさせるものでもあった。

なお3位決定戦は、アブレウがドップを延長の末レフェリー判定で下した。

■99キロ超級リザルト
優勝 マーカス・アルメイダ(ブラジル)
準優勝 オーランド・サンチェス(米国)
3位 ホベルト・アブレウ(ブラジル)
3位 ジャレド・ドップ(米国))

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