【ADCC2017】最大激戦区88キロ級─04─、シャンジの重心の低さに台風の目ジョーンズ敗れて4位に
【写真】結果はメダルを逃したが、勝ち上がりはまさに金メダル級の活躍を見せたクレイグ・ジョーンズだった (C)SATOSHI NARITA
9月23日(土・現地時間)と24日(日・同)の2日間、フィンランドのエスポーにあるエスポー・メトロ・アリーナでアブダビコンバットクラブ(ADCC)主催の世界サブミッション・レスリング選手権が行われた。
2年に1度のノーギグラップリングの世界最高峰の舞台で行われた戦い。今回はクレイグ・ジョーンズの活躍もあり、最大激戦区となった88キロ級の3位決定戦の模様をレポートしたい。
<88キロ以下級3位決定戦/10分1R>
シャンジ・ヒベイロ(ブラジル)
Def. by 2-0
クレイグ・ジョーンズ(豪州)
これまでの試合同様にシッティングガードを取ったジョーンズに対し、シャンジもすぐに座って対応。するとジョーンズはハーフで足を絡めてニーシールドを作ってからの仕掛けを狙う。シャンジは重心を低くし、ジョーンズの両足ごと腹でつぶすように圧力をかけていく。ジョーンズは体勢を立て直して、足でシャンジをはねあげようとするが、ベースを取って対処されてしまう。
また低い態勢を取ったジョーンズの下攻めに対し、シャンジは座り込んで対処。これによって、ロやサンタナ戦で見せたような足首を取ってのアキレス腱固めのグリップを作れない。ならばとハーフから潜り込もうとするが、シャンジは低く頭を使いブロックし、またジョーンズの首を抱える等で無難に防御していく。
両者譲らない攻防が続き、本戦残り2分少々となったところで、ジョーンズは低い体勢のシャンジの背中越しに足を回し、ワキに入れてのファーサイドの腕十字(いわゆる「チョイバー」の形)狙い。一瞬腕を伸ばされかけたシャンジは、背中を見せて立ち上がる。そのシャンジをジョーンズが追いかけてバックに付くと、そのまま逃げるシャンジとともに場外に出てしまった。
中央からの再開。元の形からのリスタートに関し、何やらアピールするシャンジに対し、背中に付いたジョーンズは面倒になったのか、不完全なグリップから再開を受け入れてしまう。すると再開後、シャンジにそのグリップをすぐに切られ、文句を言ったジョーンズだが後の祭り。試合はスタンドからの仕切り直しとなり──引き込みがマイナスポイントとなる──加点時間帯に入っているため、ジョーンズは座り込んでの攻撃ができない状況に追い込まれる。
立ち技の攻防が再開すると、ジョーンズのセコンドが「Craig, your wrestling is good!」と連呼し励ますが、これは本人がレスリング勝負を得意としていないことを明かしているようなもの。残り1分のところでシャンジがシングルレッグに入ると、ジョーンズは三角絞めを狙ってか高々と跳ぶ。
シャンジは三角は貰わずにガードの中に。これで2点を獲得してみせた。時間のないジョーンズは足狙いを見せるが、シャンジは低いベースで対処。立ち上がったジョーンズはテイクダウンを狙うが、シャンジに防がれて試合終了となった。
ロ&サンタナという超大物から次々と一本を奪い、今大会最大のアップセットを起こしたジョーンズ。キーナン戦では大差で敗れたものの、さらなるレジェンド=シャンジ相手に堂々と渡り合いバックまで取りかけたことで、その下からの仕掛けが超一級品であることを証明した。
何よりブレイク後の再開ポジションにブラジル人並にこだわっていたら、メダル獲得の可能性もあったかも…そんなことまでも思わせる活躍ぶりだった。