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【Grachan30】北海道の地下格上がり、バカまじめMMAファイター=飯田建夫「グラチャンから海外へ」

Tateo Iida【写真】1991年1月22日生まれ、26歳の飯田。プロ戦績は4勝1分だ(C)GRACHAN

13日(日)、東京都大田区の大田区産業会館PIO開催されるGrachan30。ホームを大田区に定め、最初の大会に北海道から飯田建夫が出場し、原井徹と対戦する。


2015年のアマチュア修斗全日本大会で優勝、その極めの強さを見せつけた飯田と所属するマルス・ジムは、会場となった小田原アリーナでかなり注目を集めていた存在だった。

――原井戦が迫っていた飯田選手です。アマチュア修斗で2015年にウェルター級(※ライト級)で優勝した飯田選手ですが、あの全日本では地下格闘技から、アマ修斗への挑戦という風に会場でも話題になっていました。

「地下上がりだから、嫌がられていたと思います」

――いえ、佐藤ルミナさんも『真剣に格闘技をやるということでアマ修斗から出てきてくれたんです』と嬉しそうに話していましたよ

「あぁ、そうなのですか……それは嬉しいです」

――今、ご本人も言われた通り地下格闘技上がりということですが、MMA、そして地下格闘技との出会いはどのようなモノだったのでしょうか。

「もともと柔道をしていてのですが、高校の時に顧問と折り合いがつかず退部し、ボクシングやキックをやるようになったんです。中学の頃とかにPRIDEを見ていてMMAに興味を持っていたので。

そしてキックボクシングのジムで練習しているときに、地下格闘技の試合があるって聞いて、出てみました。ルール的にはMMAで頭突きが許されているような形で、MMAグローブを付けたものでした。打撃はキックで習ったこと、そして寝技は柔道時代に見つけたモノで勝負していました」

――首都圏、大阪、名古屋あたりでは格闘技と地下が明確に違いを設けることも可能だと思うのですが、地方へいけば、その境界線は微妙だと思います。

「自分の場合は情報自体も少なく、格闘技人気も落ちている頃で何から始めたら良いのかも分かっていなかったです。ただし、当時は年間10試合以上のペースで試合をし、強い相手と戦うこともありました。なので自分は地下格闘技での経験が今に役に立っています。

ただ、その最中から練習仲間と一緒に自分たちも強くなり、プロになりたいという気持ちになり、最初は道志というチームでやっていたのですが、元WBC世界バンタム級12位の平大門トレーナーの協力もあり、マルス・ジムを立ち上げたんです。

この時にちゃんとやるならアマチュア修斗からだろうと、出場することになりました。普段は65キロで戦っているのですが、あの時は当日計量なのでウェルター級で出場して優勝できました」

――札幌や北海道ではアマMMAよりも、地下格闘技の方が試合数も多いという状況なのでしょうか。

「北海道はアマチュア修斗など、アマ大会の開催はとても少なくて……。地下と分類されることもあったのですが、格闘技の練習をしている人間しか出ないD-スパイラルという大会をマルス・ジムが開いていて。これは、選手しか出ない大会なんです。

今はD-スパイラルや山本喧一さんが主宰するPFCというアマチュア大会があります。地下格闘技から、しっかりとした競技の大会になってきました。自分は地下大会を最初から経験して、プロにステップアップした最初の人間になると思います」

――そもそも人に見せて行う地下格闘技が大きく広まったのも、アマ大会が頻繁に行われている首都圏からですしね。それをいえば地下すらなかった都市だらけでしょうし。そんななか飯田選手はアマ修斗優勝後、昨年7月の新人王トーナメント出場以外はD-スパイラルとGrachanの合同興行、そしてGrachan xWardogとグラチャン系でキャリアを積んでいます。

「修斗の新人王戦は初戦でドロー、優勢ポイントで次に残れたのですが、肩鎖関節を脱臼してしまい辞退する形で、次の試合まで1年欠場することになったんです。

今回、グラチャンに出場するのは岩崎(ヒロユキ)代表とはD-スパイラルが合同大会を開いたり、マルス・ジムの阿仁鬼選手も出場しているというのもあります。何より北海道の選手を東京に呼んでくださることに凄く感謝しています。しかも対戦相手の原井選手はタイトル戦を2度も戦っていますし、大きなチャンスです。しっかりと勝って、次につなげてグラチャンのフェザー級チャンピオンになりたいです」

――チャンピオンの阪本洋平選手は高谷裕之選手への挑戦をアピールし動向が定かではありません。

「阪本選手へ挑戦できなければ、大澤茂樹選手と戦いたいですね。グラチャンといえば大澤選手という印象のある看板選手ですし、ぜひ戦ってみたいです。僕らは決して試合機会が多くはないですから、一つ一つの試合を大切にしていきたいです」

――グラチャンというイベントは、ここから巣立っていく大会でもあります。

「グラチャンのフライ級チャンピオンの鈴木隼人選手がONEに出場しましたし、自分もグラチャンの王者になって海外へ行きたいと思っています」

――HEAT王者からUFCへ進んだストラッサー起一選手、そしてグラチャンからONEへ進んだ鈴木選手。ステップアップ方法が多角化してきました。

「今回、鈴木選手がONEと契約したのは、僕にとっても凄く励みになりました」

――では次の試合、どのような試合をファンに見てほしいと思っていますか。

「僕は基本、寝技中心でテイクダウンから関節技を取りに行くスタイルです。しっかりと極めを狙うので、そこを見てほしいです。原井選手の動きも研究していますし、せっかく東京に呼んでもらえるので、結果と試合内容をもって応えたいという気持ちが強いです」

――いや、本当に一つ一つの質問に丁寧に返答してもらってありがとうございます。MMAPLANETでは飯田選手のことを、ゆうパックの松本人志さんが演じる、バカまじめ男ばりのバカ真面目MMAファイターと命名させていただきます。

「いや……勿体ないです。でも、真面目が詰まらないというような試合にならないよう頑張ります。必ず日本のトップ選手になり海外へ行こうと思いますので、応援して下さる方がいてくれればよろしくお願いします」

■Grachan30対戦カード

<バンタム級/5分2R>
中村謙作(日本)
キム・ウージェー(韓国)

<68キロ契約/5分2R>
昇侍(日本)
ジェイカブ・グルゼゴーゼック(ノルウェー)

<ライト級/5分2R>
阿部右京(日本)
長岡弘樹(日本)

<バンタム級/5分2R>
手塚基伸(日本)
ジョン・ダウン(日本)

<バンタム級/5分2R>
井関遼(日本)
吉田哲之(日本)

<ウェルター級/5分2R>
秀虎(日本)
竹川光一郎(日本)

<バンタム級/5分2R>
ライダーHIRO(日本)
米山千隼(日本)

<フェザー級/5分2R>
原井徹(日本)
飯田健夫(日本)

<フライ級/5分2R>
植木新(日本)
高山ユウゴ(日本)

<75キロ契約/5分2R>
長谷川拓也(日本)
武士正(日本)

<フライ級/5分2R>
吉岡弘晃(日本)
佐々木洋(日本)

<64キロ契約/5分2R>
浦辺俊也(日本)
小林亮太(日本)

<バンタム級/5分2R>
佐藤洸杜(日本)
山本拓也(日本)

<フライ級/5分2R>
天野哲宏(日本)
長澤伸昭(日本)

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