【UFC98】ビッグファイト制したヒューズ「続けるよ」
■第10試合 ウェルター級/5分3R
マット・ヒューズ(米国)
Def.3R終了/判定
マット・セラ(米国)
【写真】ウェルター級王者対決は、倒されて→ガードというちょっとしたクラシカルな試合内容に。現役続行のヒューズ、敗者セラともに現時点でトップを再び狙うのは厳しいように感じる (C)ZUFFA
ロッキーのテーマソングで入場したセラ、そんな彼をオールスタンティングで迎える観客。一方のヒューズの入場曲であるカントリーソングが流れると大きなブーイングが起こる。
左ストレートから踏み込むヒューズに、大コールを背にしたセラは右ボディ。続いて、前に出てきたヒューズに右ボディから突っ込んだセラの頭がヒューズに直撃、直後に左フックをヒットされると、早くもヒューズがダウン状態に。スタンドでパンチの追撃を狙ったセラに対し、組みついてテイクダウンを狙ったヒューズ。しかし、ここでもパウンドを浴び、ガードを強いられる。
直後にシングルレッグでテイクダウンを奪い、セラが立ち上がるために時間を費やすなど、まずは最初のピンチを乗り越えたヒューズは、直後に左ミドルから組みつき、そのままテイクダウンを奪った。サイドからバックグラブの状態となり、ヒューズがパンチをセラの顔面に放っていく。マウントに移行する際に立ちあがったセラだったが、場内にはヒューズ・コールが起こる。再びヒューズが組みついたところでホーン。ポイントはセラと思われるが、勢いではヒューズがイーブンに戻したといえる1Rだった。
両者、肩で息をする2R、前に出るヒューズの顔面をセラの左がかすめていく。組みついたヒューズは、テイクダウンからパスを狙いつつパンチを合わせる。ハーフから左ボディを落とすヒューズは、セラの動きに合わせて執拗にパスを仕掛ける。右パウンド、右エルボーを落とすヒューズだったが、手数が少なくブレイクに。直後に2Rが終了し、ポイントもヒューズが取り返した。
ある意味、スタミナの温存のように見えたセラ、最終ラウンドが始まった。これまでの左ストレートから、右フックに変えて前進するヒューズ。セラの右も見えている。パンチから組みつき、ケージにセラを押し込んだヒューズが、怒涛の押し込みで再びテイクダウンに成功する。ラバーガードを仕掛けるセラだが、ヒューズが足首を掴んでおり、クローズガードに戻す。今度は反対側の左足でラバーを仕掛けたセラが三角へ移行するも、ヒューズは素早く立ち上がって足を解き、ここでもパスを狙っていった。
この試合2度目のブレイクがかかり、スタンドで再開へ。因縁の試合は最後の90秒を迎える。ヒューズの右ジャブに、『アゴはここだ』とばかり指さすセラ。逆転のフックは不発に終わったが、組みついてきたヒューズを後方に崩し、トップからパウンドを落とす。シッティングからのシングルで体が伸びそうになったヒューズが立ち上がったところで、試合終了。勝敗はジャッジの判断に委ねられた。
結果は三者とも29-28で、マット・ヒューズ。ブーイングも当然のように起こったが、試合を支配した時間を考えれば妥当なジャッジといえる。引退を噂されたヒューズは、「続けるよ。でも、この試合でフリーエージェントなんだ。ダナ、今笑っているけど、これから話し合おう」と語ると、セラはライト級転向を振られても、「人生で一番エキサイティングな試合が終わったばかりだし……」と言葉を濁した。
OB戦とも揶揄されたビッグファイト、勝者ヒューズ、敗者セラ――。現時点での彼らの力量が本当の意味で見えるのは次の試合といえる。