【AJJC2016】アダルト紫帯フェザー級出場、宇野薫<02>「もう胃が痛いです(苦笑)」
【写真】「道場に来るたびに、新鮮な気持ちでいられる」という宇野。彼の格闘技観、そして人生観そのものに感じられる言葉だ(C) MMAPLANET
10&11日(土・日)に東京都足立区の東京武道館で行われる国際ブラジリアン柔術連盟=IBJJF主催のアジア柔術選手権2016(Asian Jiu-Jitsu Championship 2016)に出場する宇野薫インタビュー第2弾。
アダルト紫帯フェザー級に出場する宇野が、3年間の一般道場生として感じたブラジリアン柔術観とは。そして、アダルト紫帯フェザー級というガチな戦いに臨む心境を語った。
<宇野薫インタビューPart.01はコチラから>
──ブラジリアン柔術に特化した部分では、技術的に理解度が宇野選手の方が低いことがあったとしても、宇野選手ほどフィジカルを鍛えてきた道場生はほとんどいないと思います。やろうと思えば、力ずくで相手を封じ込めることもできますよね?
「そのために道場に来る必要はないですから。ノーギでもないですし、着を使ったコントロールやグリップを習っているので。逆に力だけじゃダメっていうのを柔術で勉強しています。
柔術のクラスに出るようになって、寝技に対してよく考えるようになりました。ただガムシャラにやるのではなく、どこの筋肉を使えば効果的に技が掛かるかなど。それこそ、植松君が体のメカニズムをよく知っているので、引き方、抑え方を含めて指導してもらったことをしっかりと頭で反芻するようになったんです」
──それはMMAに通じる体術としての柔術だと思います。ただし、競技柔術はそれこそモダン柔術と呼ばれるような技術が存在します。
「ハイ。そこに関しては、ネクサセンスに入門してから3年間、一緒に練習してもらっている人達のなかにそういう柔術を得意としている人もいますし。普通に経験してきました。やっていけば、やるほど柔術の面白さが分かってきたと思います。
それは時々出稽古させてもらっているカルペディエムでも経験することです。あとインスタグラムやSNS系で技の動画をチェックするようになりましたね。いろいろ、驚くのと同時にここでも考えることが増えました。
もちろん、全ての技がデキるわけではないですし、試合で使える、使えないというのはありますが、そこも含めて経験だと思っています。だからチャレンジしたい。チャレンジすることになったと思います」
──それを道場生として一から習い始める。やはり感心するばかりです。
「いつかはやりたいと思っていたことだったので。MMAはずっとできるわけじゃないです。対して、柔術は色々な年齢層、そして色々な方が夢中になっている。むしろ年齢が高い方が熱心だというのもあり、そういう方たちが練習を続けることができる格闘技の良さを知りたかったですし、トライしてみたかったんです。
実際に続けると、色々な良さが分かるようになってきました。それが柔術を始めた動機でもあり、続ける要因になっていますね。今も道場に来るたびに、技に関しても攻撃面や防御面、その両方で発見があって新鮮な気持ちでいられるんです。
ただ、今でもMMAの練習もちゃんと取り組んでいます。以前のように気を張ってやることはなく、自分のコンディションを考慮して練習するようになりました。柔術もMMAもテンションが変わることなく楽しんで練習できるようになったと思います。
あくまでもMMAの一環として柔術を習ってきて、そのなかで教わることが多くて楽しんでいる感じですね。ブラジリアン柔術の練習で習ったことが、MMAやノーギのときに意外と使えたりして。そこを考えるのも面白いです」
──そのように柔術に取り組んできて、実際にコンペティションに出ようと決めたのはいつぐらいからですか。
「ワールド・マスターもそうですし、ずっとタイミングがあえば出たいと思っていました。アジアに出ようと思ったのは、ZSTのグラップリング戦が終わってからですね。植松君に『出てみたいです』と伝えました」
──ワールド・マスターも勝負は勝負ですが、ラスベガスへ行って試合をするというだけで、凄く記念になることです。一方、アジア選手権でアダルト紫帯に出る……これはガチだなぁと。
「もう胃が痛いです(苦笑)」
──本当ですか(笑)。スイマセン、笑ってしまって。だってUFC世界ライト級王座をBJ・ペンと戦った宇野薫ですよ。
「いや……もう、変に動画とかチェックして、この選手が紫帯なのかとか考えてしまって。あんなに強い人が出てくるのにどうしようって焦りまくっています」
──それはやはり、負けたくないという気持ちも働いているからではないですか。
「負けたくないというか、負けちゃうんじゃないかっていう気持ちですよ(苦笑)。そっちの不安が大きいです」
──それもやはり勇気のいることですよね。ケガをしてでも爪痕を残したいっていう対戦相手だっているかもしれない。
「そうですね……」
──これから茶帯、黒帯になって世界を獲るんだっていう若者からすれば、『この野郎、宇野薫に負けていられるか』っていう意気込みを持つでしょうしね。
「そういったところに足を踏み入れてしまう自分がいる……そんな不安と同時に楽しみにしているところがあります」
<この項、続く>