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【UFC97】アンデウソンが9連勝で5度目の王座防衛

(C) ZUFFA■第11試合UFC世界ミドル級選手権試合/5分5R
[王者]アンデウソン・シウバ(ブラジル)
Def.5R終了/判定
[挑戦者]ターレス・レイチ(ブラジル)

【写真】この試合のポイントでもあり、唯一の勝機でもあったレイチのテイクダウン。だが、2Rに一度成功した以外に王者をマットに寝かせることはできなかった (C) ZUFFA

距離を取ったままの両者。だが、オクタゴン中央に陣取るアンデウソンは完全に待ちの状態だ。と、左ジャブを放つ王者、ステップバックをした挑戦者は遠い距離からジャンピングニーを見せる。プレッシャーをかけたアンデウソンは、レイチをケージ際まで追い込むが、上手く間合いを取り直し試合はオクタゴン中央へ。

動きの少ない展開に、場内からはブーイングが起こる。右ローから組みつこうとしたレイチに、アンデウソンはムエタイ流体捌きでレイチの試みをかわしていく。体を上下に振るレイチだが、アンデウソンはつられることはない。と、右ローで足をはらわれ、グラウンドとなったレイチ。ここは乗ってこない王者に対し、立ち上がるとすぐに組みついて引き込む。倒れないようにパンチを落とすアンデウソンに、レイチは胸を合わせて打撃の距離を取らせないようし、1R終了を迎える。


2R、早くも疲労を感じさせるレイチ。相当な打撃のプレッシャーのなかでの戦いは、予想以上にスタミナをロスさせるようだ。軽く左ハイを見せたアンデウソンに、直後、レイチがテイクダウンに成功する。首を殺し、ハーフを抜け出そうとするレイチに対し、アンデウソンは彼特有の四の字フックをガードで見せる。オープンになったところで立ち上がり、足を払ってパスを狙った挑戦者だが、王者は三角絞めを仕掛け、レイチのバランスが後方にむかったとろで素早く立ち上がった。

スイッチしオーソドックスに構えたアンデウソンだったが、何を仕掛けるわけでもなく再びサウスポーへ。距離を詰めて、ハイを放った王者だが、これも力は入っていない。5Rを睨んだ世界戦、両者ともじっくりと試合を組み立てており、そのまま2Rを終えた。

3R、やや距離が詰まった両者。テイクダウン狙いから引き込んだレイチに、アンデウソンは付き合わない。組みつこうとしたレイチを首相撲に捉えようとしたアンデウソンの指が目に入ったようで、レイチは引き込んだが、そのまま試合は進みブレイクがかかる。

スタンドへ戻ったレイチは、シングルからダブルに切り替える得意のテイクダウンを仕掛けたが、これもアンデウソンは切って、スタンド戦を望む。疲れが見えるレイチは、二度、三度とバランスを崩し引き込みを見せるが、王者が付き合うはずもなくいたずらにジャッジの心象を悪くしてしまう。

レイチが精神的に疲れ、スタミナをロスするのを待っていたかのように、アンデウソンの打撃の回転数が上がる。

4R、両者にとって未知のラウンドが始まる。サイドキックを見せる王者に、その蹴り足を掴み損ねる挑戦者。アンデウソンの前蹴りのスピードがアップするが、コンビネーションや仕留めにかかる動きは見られない。レイチの周囲を回るように左ローから、ノーガードで挑発する王者に対し、レイチは成す術なく打撃の餌食になり始める。

必死にテイクダウンを狙うも、粘りがなく引き込んでしまうレイチ。やや弛緩した空気が流れるなか、最終ラウンドが始まった。必死にシングルレッグを連続で見せたレイチだが、アンデウソンの対処は万全でトップをキープする。引き込んでも、パンチを避けるために距離をとり、タイトなガードワークに持ち込めないレイチと、寝技に付き合わないアンデウソン。カナダのファンは“退屈だ”という大合唱のあと、GSPコールを両者におくる。

勝利は決定的な王者は、無理して攻めることなく、試合を流しに掛かる。そのまま試合は終了し、場内は大ブーイング。文句なしの判定勝ちを収めた王者アンデウソンは、死角こそないが、面白味もないファイトに終始し、5度目の王座防衛、そしてUFC新記録となる9連勝を果たした。

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