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【TUF23】絶対王者ヨアナ・イェンジェチック×最強チャレンジャー=クラウジア・カデーリャ

Claudia Gadelha【写真】インヴィクタFCに出場した時は長髪だったカデーリャ。この時は浜崎朱加に勝利している(C)INVICTA FC

8日(金・現地時間)にMGMグランド・ガーテンアリーナで開催されるTUF23 Finale「Team Joanna vs Team Claudia」。メインは今シーズンのコーチ対決=ヨアナ・イェンジェチックにクラウジア・ガデーリャが挑戦するUFC世界女子ストロー級選手権試合が組まれている。

英語が母国語でないファイター同士でシーズンを乗り切った両者、この2人は2014年12月に一度戦い、ヨアナがスプリット判定勝ちを収めている。その後、ヨアナは圧倒的に力を見せつけ2015年3月に世界女子ストロー級王座を奪取、これまで2度の王座防衛に成功している。一方、昨年8月に非UFC女子ファイター最強と目されたジェシカ・アギラーを寄せ付けず判治勝ち、その後TUFコーチの大役を射止め、ベルトが掛かった再戦するチャンスを手にした。

暴力的なまでの強さを見せるヨアナは、特に組んで倒してくるファイターを相手にした時はその試合展開は目を背けたくなるほど凄惨な戦いとなる。テイクダウンから寝技を命綱とする女子ファイターの多くは、立ち技格闘技で培ってきたヨアナの打撃戦を避けて組み技に持ち込みちたい。

しかし、ヨアナはスプロールに優れ、倒された時もスクランブルでスタンドに戻る術を身に着けている。加えて、テイクダウンに欠かせない接近戦で見せるヒジやヒザの破壊力がバカにできない。組んでも自分のフィールドに持ち込めないばかりか、エルボーとヒザで疲弊した結果、離れられるとさながらサンドバッグのようにパンチや蹴りを受け続けることになる。

その典型的なファイトに持ち込まれたのが前王者のカーラ・エルパルザと初防衛戦の相手ジェシカ・ペネだった。対して2度目の防衛戦の挑戦者だったヴァレリー・レタノーはストライカーで強引に組みに行くことがなく、打撃戦では勝ち目はなかったが前者のように傷だらけになることはなく、5Rを戦い切っている。

いずれにせよ、世界戦で危なげなく勝利してきたヨアナが、11勝0敗のキャリアで最も苦戦した相手がカデーリャであることは間違いない。ノヴァウニオン所属のカデーリャは柔術ベースでテイクダウンができ、かつ打撃ではヨアナに敵わないとしても、決して怯むことなくパンチを交換してみせた。なにより、誰よりもヨアナからテイクダウンを奪っている。

前回の試合では初回にクリンチからワキを差し上げ、2Rにはダブルレッグとボディロックで2度、最終回もボディロック&ヨアナの左ワキを差してヨアナにガードポジションを取らすころを強いていた。

前述したとおり1-2で敗れたカデーリャだが、初回の終了10秒前に右アッパーを被弾しダウンを喫していなければ、判定勝ちをモノにしていたに違いない。ただし、この試合でもヨアナは寝技に屈することはなかった。初回は肩固めからエスケープしスタンドに戻って前述した右アッパーを決め、2Rもスクランブルからケージ際の組み合いでは逆にカデーリャを金網に押し込み、打撃の間合いを取り直すことに成功している。

最終回は長い時間で背中をマットにつかされたヨアナだが、終盤にスタンドに戻り打撃で反撃するまで持ち直している。例え右アッパーのダウンがあったとしても、裁定が割れたように2Rか最終回をトップのままで終えていれば、ヨアナの政権は誕生していなかった可能性は高い。

カデーリャは誰よりもヨアナの打撃の圧力に負けず、組み技から寝技に持ち込むこと成功し、ヨアナは彼女の庭に持ち込まれながら生きながらえた。

アッパーを被弾しないために、思い切り頭を寄せていくファイトでヘッドバットとなり、流血に追い込まれるほど気の強さを見せ、ヨアナの恐れることがなかったカデーリャにとって、今回の再戦の肝はトップキープだ。

ケージを使わせないでトップをキープするには、思い切り振りかぶるパウンドを控えめにして、しっかりと抑え込むことも重要になってくる。逆にケージ際で立ち上がれそうになると、スタンドに戻る覚悟でパンチを放っていくべき。そうすれば、ヨアナも打撃での反撃を試みて、組みへの警戒が弱まるだろう。

カデーリャが勝つには、とにかくハードワークが欠かせない。組んで倒す、倒しても立たれる、それ以前に組むまでの打撃戦でダメージを受けることもあるだろう。ケージに押し込んでもゼロ距離打撃(=ヒジ&ヒザ)が待ち受けている。それでもカデーリャは執拗に組み続け、自らが疲弊する以上にヨアナを削り、寝技で仕留めるしかない。

とにかく気持ちの強い両者の対戦、その気持ちが途切れるのは体力が消耗し、判断力が鈍った時。つまり、どちらが先に相手を疲弊させることができるるか。5Rという長丁場を考えた時に、先仕掛ける勇気を持つと同時に逃げ切るスタミナ、さらには自分の試合ができないときの選択肢の多さ──が、女子ストロー級頂点の戦いの明暗を分けることになる。


■ TUF23現時点での対戦発表カード

<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者] ヨアナ・イェンジェチック(ポーランド)
[挑戦者] クラウジア・ガデーリャ(ブラジル/1位)

<TUF23ライトヘビー級T決勝/5分3R>
アンドリュー・サンチェス(米国)
TBD

<TUF23女子ストロー級T決勝/5分3R>
アマンダ・クーパー(米国)
TBD

<ライト級/5分3R>
ロス・ピアソン(英国)
ウィル・ブルックス(米国)

<フェザー級/5分3R>
チェ・ドゥホ(韓国)
チアゴ・タバレス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ジョアキム・シウバ(ブラジル)
アンドリュー・ホルブルック(米国)

<フェザー級/5分3R>
グレイ・メイナード(米国)
フェルナンド・ブルーノ(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
ジョン・モラガ(米国/6位)
マテウス・ニコロウ(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
セザール・フェレイラ(ブラジル)
アンソニー・スミス(米国)

<ライト級/5分3R>
ジェイク・マシューズ(豪州)
ケビン・リー(米国)

<ウェルター級/5分3R>
リー・ジンリャン(中国)
アントン・ザフィア(豪州)

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