【Interview】エディ・ブラボー「エリオがいなければ、今の俺は……」
【写真】LAのダウンタウンにあるTUPOUTジム内で10thPLANET柔術のスクールを持ち、指導するエディ・ブラボー。火曜日の午後9時半スタートのクラスに40名以上の練習生が集まっていた(C)MMAPLANET
6月9日(日・現地時間)、LAのUFLA内ボーリー・パビリオンで行われたプロ柔術「Metamoris Pro II Invitational」で、第3回大会で対戦することが発表されたホイラー・グレイシーとエディ・ブラボー。
10年前、サンパウロで開催された2003アブダビコンバット・サブミッションレスリング世界選手権大会で、エディが三角絞めでホイラーを破り、彼の名とツイスター、ラバーガードは世界に広まった。あれから10年、10thPlanet柔術を全米に広めたエディに、ホイラーとの再戦について尋ねた。
――6月のメタモリス柔術で、ホイラー・グレイシーと10年振りの再戦が発表されました。
「そうなんだけど、まだ正式な日程は知らされていないんだ。12月だっていう話も聞くけど、俺には分からない」
――なるほど。早く決まって欲しいですね。ところでエディが最後に現役としてマットの上に立ったのはいつになりますか。
「2003年のアブダビだよ」
――まさにホイラーと戦ったサンパウロでの世界大会ですね。確か2005年は大会直前に負傷し、出場がなりませんでした。
「その通りだ。数カ月後にフロリダのサブミッションの大会のスーパーファイトでATTのマルコ・パフンピーニャと対戦する話もあったけど、ハリケーン・カトリーナがちょうど襲来してイベント自体がキャンセルになった。この時、俺は35歳だった。アブダビのためにハードトレーニングを日々、続けていた。アブダビには自らのケガで出ることができなくなったけど、パフンピーニャとの試合に向けて、またハードトレーニングを課していた。
その試合もなくなったとき、これから年を取っていくんだから、自分のジムをしっかりと作り上げないといけないって思うようになったんだ。支部の展開も始め、ジムの拡張は順調だった。その間、ずっとホイラーからはリマッチしたいという要望があった。
でも、俺はジムをしっかりと拡充させたかった。ホイラーとの再戦はいつだって受けることができる。ただし、ジムの拡張がまず、俺のプライオリティだった。自分自身、家族の生活を守ることが第一だ。43歳になった今、10thプラネットは思ったように広まった。間違った選択ではなかったと自信を持っていうことができる」
――だから、この時点で……。
「今、より大きな舞台でホイラーと再戦する。35歳のときに思い描いた人生が、パーフェクトに実現するんだ」
――ホイラーとはメタモリスのノーギ・ルールで戦うのですか。
「そうだ。サブミッション・オンリー、ノーポイント、20分間の試合タイムで戦う」
――43歳のエディ、48歳になるホイラー・グレイシー、フィジカル的にはエディがずっとリードしているように感じます。
「ホイラーは、ずっとグレイシー・ダイエットを行なってきたんだから、グッドシェイプだろう。彼は酒もやらない、スモークもしない。きっと彼のボディは35歳ぐらいをキープしているに違いない。ノー・ドリンク、ノー・スモーク、パーフェクト・ダイエットだ(笑)。
俺はドリンク、スモークに悲しくなるぐらいバカげたダイエットを繰り返している(笑)。きっと俺のボディはホイラーよりも衰えているよ」
――見た目のボディは、エディの方がマッチョですよね。
「俺だってトレーニングはしっかりとやっているからね。ただ、ホイラーだってトレーニングを欠かすようなことはないだろう」
――ホイラーは、エディのような大きなケガをしたことがないかもしれないですね。
「背中も治りきっていないからな。でも、リマッチを戦いたい気持ちの方が痛みより強い。確かに俺の背中は常に問題があるし、フィジカル・テラピーにも通っている。ただし、背中が原因で、ホイラーと戦わないなんて選択肢はなかった」
――そのような状況で、ホイラー・グレイシーと戦う意義は何なのでしょうか。
「意義が何かなんて考える必要がない。ホイラーと戦うことは、全てにおいて意義がある。ずっと再戦したかったしね。何よりも一番の理由は、俺がグレイシー・ファミリーを尊敬しているということだ。エリオ・グレイシーがいなければ、今、ここで君と話している俺はいない。俺と話している君もいないんだ」
――確かにその通りですが、〝俺様″エディからそのような言葉が聞かれると思いもしませんでした。感動すら覚えます。
「何言っているんだ(笑)。エリオがいなければ、このスクールもない。エリオ・グレイシーがMMAを創造したんだ。エリオ、ホリオン、UFCがMMAを創った。俺が彼らを尊敬しない理由が見当たらない。今、そんな俺の技術をグレイシー・ファミリーも研究している。素晴らしいことだ。彼らも俺から学ぼうとし、俺は彼らを尊敬し続けている」
――以前はそんな風には言っていなかったですよね(笑)。
「なかったな(笑)。それは彼らが俺をリスペクトしていなかったからだ。それに今だって、何もグレイシーの全てを俺も尊敬しているわけじゃない。ヒーロン、ヘナー、ハレック(ホリオン・グレイシーの息子たち。ハレックがメタモリスをプロモート。ホイラーは彼らの叔父にあたる)、彼らは偉大だ。ホージー・グレイシー(ホリオンの長女ハビエル・バスケス夫人)は素晴らしい人間だ。ヘンゾ・グレイシーのことも大好きだ。
ただし、ヘンゾ以外のグレイシー・バッハの連中は今も俺を嫌っている。マーシオ・フェイトーザを初め、多くのグレイシー・バッハの連中は俺のことが嫌いなんだ。ホイラーと戦う、この試合。彼らは俺の技術を学ぶためにも、マットに上がる。彼らはスマートだからね」