【UFN28】ジャカレ戦に挑む岡見勇信。参謀:磯野元に聞く(01)
【写真】VTJ03を前に、アライアンスMMAで出稽古を行う所英男ともロールする岡見勇信の参謀・磯野元氏(C)MMAPLANET
9月4日(水・現地時間)、ブラジルのベリオリゾンテで開催されるUFC Fight Night 28でホナウド・ジャカレと対戦する岡見勇信。
その岡見は7月1日から、サンディエゴのMMAアライアンスでキャンプを張っている。今回、MMAPLANETでは7月末から現地で岡見に合流した参謀:磯野元氏に岡見の調子、MMAアライアンスでのトレーニングについてインタビューを試みた。
――磯野さんがアライアンスMMA入りしたのは、いつですか。
「7月29日ですね」
――岡見選手は一足先にサンディエゴに来ていたということですね。
「彼は7月1日から来ています。僕もできるだけ早く、サンディエゴ入りしたかったのですが、その前に一ヵ月ほどオレゴン州で登山をする目的で、米国に滞在していたので、滞在日数的な問題とか道場的な問題もありまして(笑)」
――頂柔術をそれだけ空けていたと……。
「あのう……、まぁ色々とあるんです(笑)」
――道場主がずっといない……(笑)。
「道場主がいない……。詭弁に聞こえるかもしれないですけど、道場主というのはあくまでも人間関係とか、社会の仕組みのなかでのポジションなんです。道場の本質は柔術にあります。僕のいない間に、道場のなかで柔術が行われなくなるのであれば、絶対に道場は留守にしません。でも、僕がいなくても皆がちゃんと柔術をやっている。
僕にとって柔術とはそういうもので。そういう風に取り組むものだと、かなり理解してくれている人間が育ってきてくれています。だから、僕が道場にいる、いないという部分は正直なところ、全く気にしていないです」
――それはまさに磯野さんの格闘技観が表れているのですが、道場を空ける間は他の人に指導を任せるわけですし、収入など心配はしていませんか。
「これは何を誰に言うとかじゃないのですが、慧舟會にいる時にずうっと格闘技でシンドイ思いをしてきているので、収入のことは全然、なんてことないですね(笑)。色々な考え方があると思うんですけど、僕は幸いなことに日本社会は豊かだと思っています。真面目な人がいて、不真面目な人がいるなかで、凄く豊かな社会ができている。
そこで皆さんが住みやすい社会を創ってくれたなかで、僕もなんとか暮らせてきました。この年(40歳)まで、格闘技や柔術に関わって来て――、この1カ月や2カ月、道場で手に出来る収入なんて、長い目で見ると小さなものですよ。そういった部分に目がいって、自分がやってきたことを放り出したくないっていう気持ちが凄く強いです」
――素晴らしい考え方ですね。それだけの想いをもって、合流した岡見選手の状態、磯野さんから見て如何ですか。
「今回は新しい取り組みがいっぱいあるんです。勇信自身がタイトルマッチというモノに再び辿りつくためには、勝ち方も問われているという意識があるようなんです。選手がそういう風に考えるのは、当然だと思います。ただ、サポートする側とすれば、勝ち方よりも勝つことが真っ先に来てしまいます。
生まれ持った性格はパッと変わることはないので、よりダイナミックなことができ、同時に堅実な戦い方がしっかりとベースにある選手になっていくのであれば、凄く良いことだと思います。だから、新しいことに取り組む一つのきっかけになるでしょうし。
体に関しては……減量の水抜きであったりだとか……水抜きって凄く苦しいものなので、達成感があるんです。本来、減量で達成感を持ってもしょうがないんですよ。だけども達成感を感じるモノがあって、そこにキツイ要素があると、選手ってやらなければいけないと思う部分が出てくるんです。そのせいで、体重に関しては前から、そこまで重くする必要がないんじゃないかと思っていました。
それよりも、オフの時の食生活をもう少し摂生して、減量期に入った時点で体脂肪が少ない体を作った方が、大事なことじゃないのかっていう話をしてきてんです。今回のトレーナーさんが、体重を大きなアドバンテージと捉えていない方で、成長ホルモンの分泌をたくさんさせて、代謝を活発にして脂肪を燃やす――というメニューが多いんです。
それと岡見夫人がサンディエゴに帯同されていて、本当に三食、しっかりと作ってくれています。そのおかげで、僕の見たところ、肉体的な仕上がりはドイツで2010年10月に戦ったネイト・マーコート戦以来、凄く良い状態になっています」
――あの時も当時、ガールフレンドだった夫人がポートランドに出向き、食生活の面でサポートしていたのでしたね。
「そうです。可能であれば、彼女にお願いして常に勇信の海外での試合前のキャンプについてきてもらった方が良いはずだって話していたんです。でも、これまでは彼女であっても、結婚をしていたわけじゃないので、そういう風に海外にずっと来てもらうわけにはいかなかった。それが、もう結婚もしたし、可能になったんです。その作ってもらっている食事が、本当に素晴らしいんです。
練習が終わると、この2カ月間借りている家に戻って、少し休憩して食事をしっかり摂って、十分に睡眠を取る。で、朝起きると練習を始める2時間半前に食事をちゃんと食べ終わっている。完全なルーティンができているんです。肉体的なコンディションは本当に良いと思います」