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【UFN83】川尻達也、殴り合い不可避のベルムデス戦へ。接近打撃戦の活用法

Kawajiri vs Bermudez【写真】キャリア最終飛行へ、最高の滑走としたい川尻にとってのベルムデス戦だ (C)MMAPLANET

21日(日・現地時間)、ペンシルバニア州ピッツバーグのコンソルエナジー・センターで行われるUFC Fight Night 83「Cowboy vs Cowboy」で川尻達也がデニス・ベルムデスと対戦する。

昨年6月のデニス・シバー戦で3度目の網膜剥離、そしてクレイ・グィダ戦の敗北から復活を果たした川尻は、12月にジェイソン・ナイトを破りオクタゴン2連勝中だ。前回のナイト戦こそ、ミルサッド・ベキッチの負傷欠場で結果的に力の差を見せつける勝利を挙げた川尻だが、毎回のように──過去最強の相手、日本では名前がないが実力は確か──というファイターとの戦いがUFCでは続く。

ベルムデスもその例に漏れず、そして過去最強という枕詞にも完全に当てはまる。1986年生まれ、29歳のベルムデスはTUF14 準優勝(つまりUFC初戦は敗退)から、7連勝を飾ったフェザー級の実力者だ。これまでマックス・ホロウェイジミー・ヘッテスクレイ・グィダという強者にも勝利している。

UFCで喫した3つの敗北はTUF決勝のディエゴ・ブランダォン戦、リカルド・ラマス戦、そして昨年7月のジェレミー・スティーブンス戦ということになる。ブランダォン戦はダウン奪ってから一気呵成にパウンドを狙ったところでガードからの腕十字を取られて敗北。先のスティーブンス戦は体重オーバーで、体力温存ができていた相手と真正面から打撃、テイクダウンの攻防を繰り広げたものの、パンチにヒザを合わされKO負けを喫した。つまり、プロとして価値観はそれほど落としていない黒星ということができる。

自分の良さを出せずに敗れたのは、ラマス戦のみ。相手の光を消すファイトを信条とする川尻にとって、非常にタフなマッチアップとなる。ベルムデスはD-1レスラーで何度も豪快なスラムを決めているようにレスリングが当然、強い。そして、受けも強い。加えて中間距離や接近戦での打撃戦で引くことがなく、いわゆるMMAのテイクダウン距離でなく、レスリングに近い距離で相手の懐に飛び込むことができる。

頭を付けたような状態からのテイクダウンが可能にあるのも、先に挙げたように接近戦でパンチやヒザ蹴りを躊躇なく放っていくことでできるからこそ。反面この距離で戦うことで、どうしても相手も受けるという一面も持っている。よって、どのような相手と戦っても好勝負になるということでUFC首脳の評価も高い。加えてその接戦を勝ち切る強さをベルムデスは、2度のスプリット判定勝ちでも証明している。

川尻としては接近戦での殴り合いを避け、自分のタイミングで組んでケージレスリングからトップを奪う──そしてしっかりと抑えることが主眼となるが、ベルムデスがそれを許してくれるかどうか。本来は避けたい殴り合いに応じて、ここに打ち克つことが川尻にも必要になってくるだろう。

だからこそ、今回は川尻にも必ず訪れる打ち合いの局面で歴戦の勇者ぶりを発揮してもらいたい。川尻は打撃戦を控え、削り合いに持ってくるという頭がベルムデスにもあるはず。だからこそ、ベルムデスが望む距離で川尻が予想以上の強さを見せつければ、現行の川尻スタイルに持ち込みやすくなる。

あくまでも目指すは組んで、削って倒すスタイル。ただし、ベルムデスはヤワな相手ではない。殴り合いに勝つためでなく、削り合いに持ち込むためにJ-MMAで見せた打ち克つ片鱗を見せる。そんな川尻の底力に期待したい──いや、底力を見せつけてようやく勝てる……、ベルムデスはそれだけの力を持っている実力者だ。

■UFN83対戦カード

<ウェルター級/5分5R>
ドナルド・セラーニ(米国/5位)
アレックス・オリヴェイラ(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
デレック・ブルンソン(米国/13位)
ホアン・ジュカオン・カルネイロ(ブラジル/15位)

<バンタム級/5分3R>
コディー・ガーブラント(米国)
アウグスト・メンデス(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
デニス・ベルムデス(米国/8位)
川尻達也(日本/12位)

<ミドル級/5分3R>
クリス・カモージ(米国)
ジョー・リッグス(米国)

<ライト級/5分3R>
ジェイムス・クラウス(米国)
シェーン・キャンベル(カナダ)

<ウェルター級/5分3R>
アレックス・ガルシア(カナダ)
ショーン・ストリックランド(米国)

<ミドル級/5分3R>
ダニエル・サラフィアン(ブラジル)
オルワレ・バンボゼ(米国)

<ミドル級/5分3R>
トレバー・スミス(米国)
レオナルド・アウグスト・レレコ(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ジョナビン・ウェブ(米国)
ネイサン・コイ(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
マリオン・ルノー(米国/12位)
アシュリー・エヴァンズスミス(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ローレン・マーフィー(米国)
ケリー・ファゾルズ(米国)

<ヘビー級/5分3R>
アンソニー・ハミルトン(米国)
シャミル・アブドゥラヒモフ(ロシア)

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