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【RFC28】福田力に勝利、新ミドル級王者チャ・ジョンファン<01>「右フックを合わせることを」

MMA STORY【写真】ROAD FC新ミドル級王者チャ・ジョンファン。左はフェアー級王者のチョ・ムギョム、その右がキム・ミンウの愛弟子たち(C)MOOzin

31日(日・現地時間)、韓国ソウルのチャンチュン体育館で開催されたROAD FC 28で、チャ・ジョンファンが福田力を2R2分37秒TKOで破って新ミドル級王者に輝いた

苦節10年、ケガを繰り返し、一時は現役を退き指導者に専念することも考えた。バチバチの殴り合いが信条というファイターが中量級から重量級では今も主流の韓国MMA界にあって、抜群の距離感とディフェンス能力、そして戦略をもって戦うチャ・ジョンファン、新チャンピオンに勝因を尋ねた。

──タイトル奪取、おめでとうございます。改めてROAD FCミドル級王者になった気持ちを教えてください。

「ウェルター級の選手だったのに、ミドル級のタイトル挑戦の機会を与えてもらえ、チャンピオンになれました。勝利が決まった瞬間は本当に夢のようでした。プロになって10年が過ぎましたが、タイトル挑戦はこれが2度目でした。初めて挑戦したとき(※スプリットMCウェルター級王座)は選手生活2年目で7、8年の歳月を経て、こうして2度目の王座挑戦の機会に恵まれました。本当に必死に試合に向けて準備をしてきたんです」

─この試合、鍵を握っているのが距離、そしてチャ・ジョンファン選手の右ロー、福田選手のテイクダウンからのトップコントロールとみられていました。まず、作戦としてはどのような距離で戦い、どのように福田選手を崩していこうと思われていましたか。

「福田選手は本当に隙の無い選手です。僕より経験もありますし、フィジカルも強いです。今回、福田選手の試合の動画をたくさん見て、分析してきました。UFCでの試合を見ると、ほぼ判定で勝っていました。パンチは決して弱いわけではないですが、インパクトは予想していたほど強くないと思いましたので、とにかく打撃で攻めようと考えていました。そのためにもテイクダウン・ディフェンスをしっかりして、キックでもパンチでも右を使って戦うのが作戦でした」

──つまり福田選手の弱点はどこにあるという考えでしたか。

「勝つには打撃しかないと思っていました。福田選手が左でパンチを打つ時に、右フックを合わせることを考えていました。そこが福田選手の弱点だと思っていました。あとは右ローで福田選手の前足を殺すと、打撃も組みも勢いを殺すことができる。

福田選手のダーティーボクシングに捕まったり、それに付き合うと体力をかなり消耗してしまうのですが、サウスポーの構えに対して腹部を打つようにしました。またクリンチ状態に陥ると、これまで韓国の選手達はずっと捕まったり、組んだまま戦っていたので、そういう部分で自分は捕まらないようにしようと注意していました」

──最初の組みの攻防でいなされ、バックコントロールからパンチを受けました。改めて福田選手のコントロールの技術はどうでしたか。

「やはり脅威ですね。あのポジションでパンチを結構打たれるので。そういった状況での対策もしっかり練っていたんですけど、肋骨を痛めていたのであまり準備したものが出せませんでしたね」

──それでも立ち上がることができました。勝負のキーポイントとなったのは、どの局面でしょうか。

Cha Jung Hwan「打撃の展開になったときが勝敗のキーポイントとなりましたね。ずっと下がっているわけにはいかないので正面から打ち合おうと思いました」

──KO前の打ち合い、あの展開に持ち込めた時の気持ちは?

「もう打ち合うだけでした。フィニッシュ前にも一発良いのが入ったと思ったのですが、福田選手はまた打ちに来ました。最後は3発ほど軽く打って、その次に思い切り打ち込み、パンチが頭部に当たったんです」

──最後は右フックで福田選手の側頭部を打ち抜きました。手応えは?

「正直、あの時のパンチはどれも福田選手に組まれたくない一心で打っていたパンチなんです。ただ福田選手も打撃に自信を持ち過ぎていたのか少し強引……、無理やりな感じで前に出てきたので、僕のパンチが正確にヒットしたんだと思います。当たった瞬間、非常に手応えがありました」

──2RKO勝ちというのは、試合前に頭にありましたか。

「競い合ったポイントゲームになると予想していました。とにかく右の拳と足を使う練習を続け、特に右のカウンターには重点を置いてきました。KOも考えていましたが、KOを意識するとどうしても欲が出来て、逆にいつも通りの攻撃が出来なくなってしまいます。なので出来る限りのことをやろうとだけ考えていました」

<この項、続く>

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