【UFC195】菊野を倒したブランダォンに対し、魅せるかオルテガの温故知新MMA
【写真】胸を合わせるという意味ではなくタイトな寝技の持ち主、グラウンドでの打撃はエルボーを主武器とするオルテガ(C)RFA
2016年1月2日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのMGMグランドガーデン・アリーナで開催されるUFC 195「Lawler vs Condit」。同大会でコナー・マクレガー政権となったフェザー級戦線で、ノンランカー同士ながら注目の対戦が見られる。
それがディエゴ・ブランダォン×ブライアン・オルテガの一戦だ。ブランダォンは日本のファンにとっては9月にさいたまスーパーアリーナで菊野克紀をわずか28秒で倒した印象が強いであろうTUF14フェザー級ウィナーだ。ブラジリアン柔術黒帯ながら、キャリア20勝のうち半分の10勝がKO及びTKO勝ちのハードパンチャー。加えて柔術家らしく一本勝ちも4つを数える。オクタゴンでは6勝3敗、敗北のうち2敗はダスティン・ポイエー&マクレガーに喫したもの。
もともと両者は昨年3月にオルテガのUFC初戦で対戦予定あったが、ブランダォンの負傷欠場でキャンセルとなった経緯がある。ブランダォンはその後、ジミー・ヘッテスと前述した菊野戦の勝利で2連勝中だ。
対してオルテガはこれがUFC3戦目、登竜門RFAのフェザー級王者からUFC入りを決めたが、仕切り直しとなった初戦のRNC一本勝ちは試合後のドーピングチェックでドノスタロンというたんぱく質合成物質=筋肉増強剤が検出されノーコンテストとなった。今年6月の2度目の仕切り直しとなった一戦=チアゴ・タバレス戦でTKO勝ちし、今回のブランダォン戦を迎えることとなった。
ラッシングパワーの権化のようなブランダォン、その攻撃力は誰もが認める――と同時に、常に不安視されるのがスタミナ面だ。序盤のラッシュで体力を消耗し、動きが悪くなるというシーンは何度も見られた。一方のオルテガは護身柔術の権化でもあるヘナー・グレイシーの愛弟子で、現代MMAでは判定負けに直結するガードワークを得意とし、粘りのファイトを展開する。
T-cityの異名を持ち、その三角絞めが代名詞となっているが、世界最高峰の舞台はフィーダーショー時代に得意とした関節技が極め技になるほど甘くはない。同時に三角絞めが簡単に極まらないからこそ、オルテガのグレイシー柔術のメゾットをMMAにおいて堪能できる。ガードを取っても腰を切って腕十字から三角、腕を抜かれるのを想定して後方回転からシングルレッグという柔術的スクランブル、あるいは腕十字からフラワースイープでマウントを奪取していく。
ハーフで隙間を作りバックに移行、あるいはエルボーが定石となりつつあるUFCだが、オルテガはマウントに拘る。そして、パンチではなくエルボーを多用する。ヒーロン&ヘナーの競技柔術用の主武器=ストレート・フットロックもオルテガの得意技の一つだ。ラッシュ&スタミナが主流の現代MMAにおいて、同じ(では決してないが)柔術ベースでその王道を行くのがブランダォン。オルテガは完全に少数派となったガード&一本に拘るファイターで打撃も磨いているが、ワキが開き気味でガードが疎かになりがちなボクシングは危険このうえない。
ただし、打撃を被弾してから繰り出されることになる柔術こそオルテガのMMA。判定では不利になるのは承知の上、グレイシー柔術アカデミーで磨いた柔術、古くて新しい温故知新的なMMAを堪能したい。
■ UFC195対戦カード
<UFC世界ウェルター級選手権試合/5分5R>
[王者] ロビー・ローラー(米国)
[挑戦者] カーロス・コンディット(米国/4位)
<ヘビー級/5分3R>
スタイプ・ミオシッチ(米国/3位)
アンドレイ・オルロフスキー(ベラルーシ/2位)
<ウェルター級/5分3R>
アルベルト・トメノフ(ロシア)
ロレンツ・ラーキン(米国)
<フェザー級/5分3R>
ディエゴ・ブランダォン(ブラジル)
ブライアン・オルテガ(米国)
<ライト級/5分3R>
エイブル・トゥルージロ(米国)
トニー・シムズ(米国)
<バンタム級/5分3R>
マイケル・マクドナルド(米国/8位)
金原正徳(日本)
<ウェルター級/5分3R>
カイル・ノーク(豪州)
アレックス・モロノ(米国)
<女子ストロー級/5分3R>
ジャスティーン・キッシュ(米国)
ニーナ・アンサロフ(米国)
<ライト級/5分3R>
ドリュー・ドバー(米国)
スコット・ホルツマン(米国)
<ライト級/5分3R>
ダスティン・ポイエー(米国/12位)
ジョセフ・ダフィー(アイルランド)
<バンタム級/5分3R>
ジョー・ソト(米国)
田中路教(日本)
<ウェルター級/5分3R>
エドガー・ガルシア(メキシコ)
シェルドン・ウェストコット(カナダ)