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【ONE31】韓国バンタム級の裏番長キム・デファン「嘲笑がすぐに尊敬心に変わるでしょう」

Kim Dae Hwan【写真】ビビアーノ・フェルナンデス戦以来、10カ月振りのファイトとなるキム・デフォン。立って良し、寝て良しのそのファイトは要注目だ (C)MMAPLANET

4日(日)、マレーシア・クアラルンプールのスタジアム・プトラで開催されるONE31「Tigers of Asia」。同大会には中止された上海大会で日本の岡嵜康悦と対戦予定だったキム・デフォンが出場する。

中国人ファイターのテン・リーグゥーが相手となってしまったが、このキム・デフォンは昨年12月のビビアーノ・フェルナンデスの持つONE世界バンタム級王者に挑戦した際に、その実力者ぶりを見せつけた。

立って良し、寝て良しのウェルラウンダー。韓国バンタム級は日本と同様に最も層が厚く、実力者がひしめいている。UFCと契約中のカン・ギョンホ、ROAD FC王者イ・ユンジュンン、そしてROAD FCの秘蔵っ子で前ONE世界王者のキム・スーチョル。そんな3選手と比べても遜色ないキム・デフォン、韓国バンタム級の裏番長に話を訊いた。

──キム・デフォン選手のニックネームであるオットギとはどういう意味なのでしょうか。

「オットギとは韓国のロリー・ポリー人形(ロシアのマトリョーシカ、日本でいえば起き上がりこぼし)で、どれだけ倒れようともすぐに立ち上がるという意味のニックネームなんです。つまり、どんな状況だろうが試合中は倒れない、必ず勝利を勝ち取るという意味になります」

──なるほど。その絶対に倒れない男と格闘技の出会いは?

「自分はチョルラナムド(全羅南道)のクレ(求礼)郡の出身で、生命力豊かなチリ(智異)山が控える抜群の自然環境の中で成長しました。そして育った街ではボクシング、テコンドー、シルム、柔道、サッカーに野球がとても盛んだったので、自然と格闘技を始めるようになったんです」

──そんな環境でキム・デフォン選手はどのような格闘技歴を積んできたのですか。

「まずテコンドーの代表となり、長い期間キックボクシングの試合に出ていました。その後、散打の代表にもなっています」

──なぜ、MMAを始めるようになったのですか。

「本当にK-1 MAXのブアカーオに憧れていました。だから、自分もK-1で活躍したかったのですが、K-1自体の活動が下火になって出場は叶いませんでした。なのでMMAという舞台で自分の力を皆に示したくなったんです」

──どこのジムでMMAを始めましたか。

「兄のクッチェ・ジムでMMAを始めました。過去、現在、そして未来もずっとこのジムに所属し続けるでしょう。これまで数々の成功をクッチェ・ジムで収めてきましたが、今後さらなる成功を皆に見てもらえるはずです」

──2011年10月GLADIATORに来日し、日本でも戦っています。

「日本は昔からずっと、格闘技の精神が受け継がれている国です。基本的に海外から出場するファイターのこともリスペクトしてくれます。あの会場の雰囲気はちょっと羨ましかったですね。何より日本の人はとても親切でした」

──その後、母国でROAD FCにも出場しましたが、1試合だけで再びグラジエイター、そしてONEに活躍の場を目指しました

「ROAD FCは自分にとってはあくまでも韓国のMMAプロモーションで、何十とあるアジアのプロモ―ションの一つでしかないです。ONEはアジア最大で、世界を相手に戦うことができます。バンタム級を見てもビビアーノ・フェルナンデスを始め、国際的なファイターが契約している。そんな場所だから、戦っていたいんです」

──上海で戦う予定だった岡嵜康悦選手、キム・デフォン選手共にビビアーノの王座に挑戦し敗れました。

「岡嵜はビビアーノに立ち技、寝技とも圧倒されていました。私の場合はビビアーノを仕留めに行き、彼を慌てさせることができた。勝てた試合だったけど、ビビアーノが巡ってきた最後のチャンスをモノにしたんです。岡嵜はゾンビのように絶対に試合を諦めないです。でもちょっと年を取り過ぎていますし、怖い技や気を付けるべき点はないです。自分の方が打撃、寝技共にスピードがあり、力強いです。そして、若いからスタミナもあります。だから、私はどんな対戦相手がやってきても試合をフィニッシュできるんです」

──言い切りましたね。この試合がまたいつの日が実現することを願っています。ところで韓国MMA界は日本と並びバンタム級は厚い層を誇っています。他の韓国人バンタム級トップファイターと比較して、キム・デフォン選手はどこが優っていると考えていますか。

「う~ん、カン・ギョンホはミスター・パーフェクトというニックネームが示す通り、パーフェクトファイターです。でも、時々試合中に集中力を切らすことがあります。

イ・ユンジュンはキャリアの初めの頃は打撃で戦っていたのが、このところ寝技で試合をフィニッシュできるようになり、より楽に勝てるようになりましたね。ただ、寝技はもっと上達させる必要があるでしょう。

キム・スーチョル、ビビアーノに敗れてから本当に気持ちが強くなりまいた。ただ、アグレッシブに攻める以外、戦い方を知らない嫌いがあります。

日本では彼らが韓国のバンタム級のトップスリーだと思われているのですか?」

──そうですね。マニアックなファンはそのように思っているのではないでしょうか。

「ONEにキム・デフォンがいることを忘れないでほしいですね(笑)。私は試合を諦めることがない。体も強いし、正しい技術を有している。韓国で戦っているだけで、自分がベストになったなんて思ってほしくない。挑戦する気持ちを忘れてはダメです。目を広げて、自分が言っていることを受け止めてほしい。そして、なぜ自分がこう言えるのかを理解してほしい。

私はファイトマネーのために戦っているわけではないです。世界王者になり、2階級と言わず3階級でチャンピオンになることを目指しています。きっと、自分の夢を聞いても皆、笑い飛ばすでしょう。でも、その嘲笑がすぐに尊敬心に変わるはずです。まず、そこを証明していきたいと思っています」

■ONE32 対戦カード

<ONE世界ミドル級選手権試合/5分5R>
[王者] イゴール・シヴィリ(カザフスタン)
[挑戦者] ヴィダリー・ビグダシュ(ロシア)

<女子フライ級/5分3R>
アン・オスマン(マレーシア)
イリナ・マゼパ(ロシア)

<フェザー級/5分3R>
イブ・タン(ニュージーランド)
ホノリオ・バナリオ(フィリピン)

<ライト級/5分3R>
エイドリアン・パン(豪州)
ピーター・デイビス(マレーシア)

<フェザー級/5分3R>
エリック・ケリー(フィリピン)
田中半蔵(日本)

<フライ級/5分3R>
渋谷莉孔(日本)
ユージーン・トケーロ(フィリピン)

<バンタム級/5分3R>
テン・リーグゥー(中国)
キム・デフォン(韓国)

<フライ級/5分3R>
ジアーニ・スッバ(マレーシア)
マルコス・サンタナ(ブラジル)

<ババンタム級/5分3R>
メルヴィン・ヨー(マレーシア)
サイフル・メリカン(マレーシア)

<フライ級/5分3R>
アムミロ・バロス(ブラジル)
ラルウ・カタラン(フィリピン)

<ウェルター級/5分3R>
アギラン・タニ(マレーシア)
ヒシャーム・ヒバ(エジプト)

<フェザー級/5分3R>
ケアヌ・スッバ(マレーシア)
フロリアン・ギャレル(フランス)

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