【UFC158】因縁対決はGSP完勝――ニックは引退示唆
<UFC世界ウェルター級選手権試合/5分5R>
[王者]ジョルジュ・サンピエール(カナダ)
Def.3-0:50-45, 50-45, 50-45
[挑戦者]ニック・ディアス(米国)
騒然とする場内、試合はGSPの右ローでスタート。左へ回ったGSPが、ダブルレッグで即テイクダウンに成功する。ニックはクローズドガードから腰を切って、ハイガードへ。強烈な勢いでパウンドを落すGSPは、バックを伺う。ダブルに出たニックを潰し、再びバックに回ると脇の下から左のアッパーを入れていく。反対側に回り、今度は右のパンチを入れるGSP。再び逆サイドに回ると、ガードを取ったニックに右のパウンドを落す。
さらに左エルボーを入れるGSPに対し、ニックは両足を畳むが、そこにパンチを受けて背中を見せる。GSPはバックからパンチを入れ、ニックを引き寄せて立ち上がらせない。ケージに頭を寄せてニックが立ち上がっても、すぐにグラウンドに持ち込んでパンチを続ける。足はクラッチせず、リスクを少なくして試合をコントロールするGSPは、アームロック狙いを潰してテイクダウンし、初回を一方的に取った。
2R、ニックの左ローに対してGSPはローを連続で放っていく。さらにGSPが左回りからジャブを当てて、即テイクダウンへ。腰を切ると担がれそうになるニックはハイガードの状態を取れず、右のパウンドを受ける。コンスタントにパンチを落し、足を捌くGSPはここでもバックに回ると、思い切りヒザを脇腹に落す。
左側から左のパウンド、右に回って崩してハーフバックからトップをキープし、右エルボーとGSPが攻め続ける。ガードから仕掛けられないニックはバックを預けて立ち上がろうとするも、そのまま崩される展開が続く。がぶったGSP、ニックはシングルを切ってスタンドへ戻る。残り1分でスタンド戦になると、GSPはスーパーマンパンチに成功。追い足のないニックの左へ回って、右足を取りやすいポジションを取る。
ラウンド終了時に何やらGSPを挑発したニック、3Rに入っても挑発を続ける。たいしてGSPは左回りを続け、前に出てくるとテイクダウンへ。この試合初めてスプロールに成功したニックだったが、直後のダブルレッグで倒されてしまう。ケージ際で立ったニック、GSPは無理してケージレスリングを続けない。
距離をとって右ストレートからシングル、これを外して左ジャブを入れる。ニックは右ボディフックを打ち込むと左を伸ばす。GSPは左ジャブを続け、ニックの立ち技をステップバックでかわす。ショートのワンツーから距離を詰めたGSP、徐々にテイクダウンが決まらないようになってきたか。それでも右ストレートを伸ばし、左回りを続ける。と、ニックの左がヒット。GSPに疲れが見えるが、ここでダブルレッグへ。パンチからバックを取ったGSP
は、ガードを取りなおしたニックにパウンドを入れるも、このラウンドは微妙だ。
4R、オーソに構えたニック。ここでGSPは右へ回り、サウスポーに戻すと組みついていく。これを切ったニックが思い切り右を伸ばすが、届かない。接近戦のなかでシングルが取れなかったGSPは、パンチを入れて組みつくとケージへドライブ。ニックはヒザをボディに入れて右フックから左右のボディショットの連打を見せる。
棒立ち、ノーガードのニックはGSPのジャブにカウンターを合せようとする。残り2分、ダブルレッグを決めたGSPが左のパウンドを落す。ここでも背中を見せて立ち上がるニック。GSPがボディコントロールから後方にテイクダウン。残り1分、またもケージ際で立ち上がったニックはアームロックへ。GSPは自らの左足に手をやり、これを防ぐとトップを奪取。すぐにバックに回ってパンチを入れると、そのままトップでラウンドを終えた。
最終回、左を振るって前に出るニック。GSPは左を打ち込んで組みつくが、ここでもすぐにテイクダウンは奪えない。逆にケージに押し込まれたGSPだったが、押し返してヒザをボディに突き上げる。距離を取り、ニックのレンジでパンチを入れるGSPはハイキックでバランスを崩したニックから、バックを奪取。テイクダウンすることなく、寝技に持ち込むことに。残り2分30秒、バックからパンチを入れるGSPは足をフックしに掛かる。前方回転からトップを伺うニックは、2度目のトライでスタンドに戻る。
残り90秒、クリンチからヒザを打ち合う両者。ニックはボディから四つでクラッチする。ケージを背にしたGSPはクラッチを切ると、距離を取りなおす。残り1分、GSPは右ハイから左ジャブ、そして完璧なタイミングでダブルレッグに成功。最後はインサイドガードでクビを殺し、時間の経過を待つ。5秒を切って思い切りパウンドを落したGSP、ここでタイムアップ迎えるとニックはGSPの手を挙げ、そのニックの左手をGSPが観客に向かって差し上げた。
結果、文句なしの判定勝ちを手にしたGSPは「ボクシングの距離で戦いたくなかった。MMAだから。柔術も強かった。シュートボックスの距離で戦った。ニック・ディアスは良いヤツだ。僕より前からUFCで戦っていた。僕は彼のファンだったんだ」と語った。「疲れさせたかった。KOしたかった。ホールドじゃなくて、これが今のMMAだ。もう試合をすることはないだろう。言い訳じゃない。ベストは尽くした。チームのメンバーに感謝している」と引退を口にした。