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【UFN75】ジョシュ・バーネット「UFCで感じられないモノを魅せる」

Josh Barnett【写真】一般マスコミも多かったため、この日は久方ぶりに青い眼のケンシロウ・モードになっていたジョシュ・バーネット (C)MMAPLANET

2日(木)、東京都新宿区のパークハイアット東京で9月27日にさいたまスーパーアリーナで開催されるUFC Fight Night JAPAN 2015=UFN75「Nelson vs Barnett」の記者会見が行われた。

同大会のメインでロイ・ネルソンと戦うのはジョシュ・バーネット。MMAだけでなくプロレスのリング、そして教え子たちのセコンドとして、日本と関わりが深かった彼がUFCという舞台で日本のファンに魅せたい戦いとは。

決してノスタルジックでない。ジョシュのプライドが迸った。

──ジョシュ、君は常に日本の格闘文化の特徴について、を絶対に屈服しない精神的な強さを語っていますが、お笑い芸人との絡みでは一味違う日本人の一面を見ることができたのではないですか。

「彼らもファイターと同じだったよ(笑)。絶対に諦めない、やり続ける。不滅の精神の持ち主だ、凄いよ(笑)。本当に楽しくて、もっと笑いたかった。なんか、オヤジギャグのようでね。イノチィ、ファイアーって昔、僕も言っていたように。そういうバカげたギャグが面白いんだ」

──日本ではスベッているけど、それが芸になる場合があります。

「そう。それ、だ(笑)。凄く楽しかった。コメディアンになるにはストロングハートは欠かせない(笑)」

──ハハハ。ところで日本でのMMAの試合は随分と久しぶりになります。

「DREAMで2008年だったと思う(※正確には2010年3月のマイティ・モー戦以来、5年半振りの日本での試合となる)。また日本でMMAを戦えて凄く嬉しいよ。僕にとってはプロレスリングもファイティングも同じだけど、UFCで戦うってことに意味がある。ファンが普段からUFCでは感じられないことを、僕は魅せることができる。

今のUFCでは以前のような総合格闘技を感じることが余りできない。僕は古いやり方、昔のスタイルを披露するつもりだ。本来のMMA、ベストなファイト、ベスト・エンターテイメントを見せたい」

──その辺りの日本の総合格闘技というのは、ロイ・ネルソンを始め米国人MMAファイターには分かりづらいモノだと思います。

「全く別モノだからね。米国のMMAは結果が全てだ。誰が勝って、誰が一番か。そして誰が何を話したか──ばかりだ。もちろん、日本でも誰が強いかは重要だし、チャンピオンの価値は絶対だよ。同時にテクニック、スキル、ファイト、パーソナリティにも価値を持っている。単なる勝ち負けではなくてね。

ただ勝利という結果でなく、そのために必要な力強い内面を大切にしている。そう中身を重要視しているんだ、日本の格闘技は。勝つだけじゃない。ただ勝者になるだけじゃ、日本の人々から愛される存在にはなれない。ただ勝つっていう気持ちだけじゃだめだ。そうではない精神力が問われる。

僕は日本で長い間戦い、レスリングもやってきた。ここでキャリアを積み上げてきたんだ。こういうのは……他の国のファイターに説明は難しいんだよ。自分で経験しないと、決して学べないことなんだ」

──ファイターが置かれている環境も米国と日本では違います。もちろん、米国のファイターの世間的認知度は日本より上です。ただし、格闘技としてUFCの記者会見でも技術面や減量などが話題になることは滅多にありません。ばかりか、そういう質問をすると周囲のメディアから厳しいというか、呆れられたような視線が感じられます。

「分かる、分かる。『お前、何を聞いているんだ』って感じだよね。『次、どうやって戦う?』、『次は誰と試合がしたい』って質問ばかりだ。ファイターの返事も同じものばかり。『キックの世界王者が相手だ。どう戦う?』と尋ねられ、『おお、そうだね。グラウンドに持ち込みたい。でも、スタンドでもぶっ倒せる』ってね。そんなの答じゃないよ。

何が日本で戦っていて素晴らしいかといえば、ここは自由だってこと。パンクラス、戦極、PRIDEでも、いってみればアルティメット・クラッシュ(新日本プロレスが開いたMMAイベント)も。日本では主催者は戦う舞台を用意し、あとは『ゴー!!』と言うだけ。リングに向かい、相手を倒すために好きに戦えば良い。思ったようにできるんだ。

米国は、違う。『〇〇を飲むな』、『〇〇はするな』、『言っていいのは〇〇だけ、それ以外は口にするな』って方向性が決められている。本来はバックステージで、BGMが流れ出し、歩き始める。それで十分なのに。周りから『行け、行け』なんて叱咤激励はいらない。向こうに行ってろってね。僕の時間なんだ。戦うのは僕なんだ」

<この項、続く>

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