【on this day in】6月08日──2009年
【写真】当時も今も大人な雰囲気がある2人。はしゃぎまくるアリアンシ応援団のなかでも明らかに大人な態度を今年も見せていた。ファービオやマリオ・ヘイスとは大違い(C)MMAPLANET
World Jiu-Jitsu Championship2009
@カリフォルニア州ロングビーチ、カリフォルニア州立大ロングビーチ校ピラミッド
「ムンジアル、ワールド、世界柔術――。どんな呼び方をされようが、ブラジリアン柔術の頂点に位置する世界大会が今年で20度目の開催を迎えた。こうやって振り返ると、競技柔術の歴史も結局のところグレイシーから生まれ、グレイシーから独り立ちしたMMAのように非常に歴史が浅いことに気付かされる。そして、MMAと同様にマットの上で繰り広げられる戦いは日進月歩というか、とにかく変化し続けてきた。特にMMAが柔術の技術だけでは勝てないようになって以来、柔術も競技柔術に特化した技術が生まれ、そのバリエーションは増加し続けている。個人的に柔術の良さは下になった人間が、上を取り返したことにポイントを与える点にあったと今も思っている。ただし、あくまでもひっくり返すのであって、ぐるぐる回って足を抜いて立ち上がるというものじゃない。パスにもいけない姿勢で上にいても、ポイントを与えるのはどうにも好きになれない。まぁ、『昔は良かった』というクチの意見で、何も時代に趨勢には関係ないことだ。それでも、ひっくり返してパスし極める柔術家が好きだ。僕にとってその代表がマルセリーニョとコブリーニャだった……のかもしれない。2009年のムンジ、コブリーニャは4度目のペナ級優勝を果たし、マルセリーニョはメジオ級の頂点に3度立つこととなった。あれから6年、今年の世界柔術でマルセリーニョは現役を退きアリアンシ応援団の第一列で指示を送っていた。コブリーニャはレッグドラックを50/50で防いだ末にハファ・メンデスに敗れ、自らの記録を破る5度目のフェザー級優勝となる星を献上した。時代は確実に変わる。ハファやミヤオ兄弟、キーナンが次世代に敗れるような頃、自分は何時間もカメラを抱えてマットサイドに2日間、陣取っていられるだろうか……。まず、無理だなぁと思う。それこそが時が流れるということだ――なんて言ってしまうほど、往生際は良くない。ガタガタになるまで追い続けるぞ――、いや、追い続けるつもりです」
on this day in──記者生活20年を終えた当サイト主管・髙島学がいわゆる、今日、何が起こったのか的に過去を振り返るコラム。自ら足を運んだ取材、アンカーとして執筆したレポートから思い出のワンシーンを抜粋してお届けします。