【on this day in】6月04日──2005年
【写真】この大会にイム・チビンが出ていたことも覚えていなかった。その前日の出来事はハッキリと覚えているけど (C)MMAPLANET
KOMA
@韓国ソウル
「韓国MMA界に対して長い間疑いの目を向けてきた。それは、この10年前の出来事に起因している。それ以前にもメインイベントが突如エキシビションに変更したり、イベント・キャンセルなど問題は見られた同国のMMA。ただ当事者にならない限り、対馬海峡という短い距離だが海の向こうの出来事と捉えていた。この前日ADCC後、LAに残り執筆活動をしていた僕は、飛行機内でも原稿を書き続け帰国した。成田から編集部へ向かい、翌朝までに残ったページを創り終え、タクシーで長女が通う幼稚園のバス停経由で自宅へ戻った。シャワーを浴びて即・羽田へ。インチョンからリムジンバスでソウルのホテルに到着。この前年にPRIDEファイターらを導入しツーデイズ・イベントで華々しく旗揚げしたGladiator FCの第2回大会を取材するためだ。そして……チェックインをしている最中にCMA師岡会長から大会がキャンセルさせると聞かされた。「そんな冗談」と笑って言葉を返そうとすると、マーク・コールマンが放送禁止用語を言い放ち、頭を抱えて始めた。大会がない――、それを知った僕はすぐにアシアナ航空に連絡を取り、この日の最終でも日本に戻れないかと試みた。しかし、ディスカウントチケットだったため、日程の変更さえも認められなかった。師岡さんは迷惑を掛けたと僕の宿泊費を支払ってくれようとしたが、トンずらをこいた現地のプロモーターの代わりに立て替えておいたお金を失ったのだから、そんな好意に甘えるわけにはいかない。ガラス張りのバスルームがあるファンシーな部屋で、校正のファックス用紙と睨めっこを続け、翌日、グラジエイターでなく、このKOMAというキックの大会を取材した。したけど、何も記憶に残っていない。この写真を見るまでイム・チビンが出ていたことも覚えていなかった。このトラウマを払しょくするには、ROAD FCが定期的にイベントを開催する――信頼に足るプロモーションだと思えるようになる2012年まで、7年の年月を要した」
on this day in──記者生活20年を終えた当サイト主管・髙島学がいわゆる、今日、何が起こったのか的に過去を振り返るコラム。自ら足を運んだ取材、アンカーとして執筆したレポートから思い出のワンシーンを抜粋してお届けします。