【on this day in】5月02日──2014年
【写真】激闘がそのまま顔に残る上田とビビアーノ(C)MMAPLANET
ONE15
@フィリピン・マニラ、レミントンホテル
「手抜きかと思われるけど、本来は何も書く必要はない。この両者の顔、互いに相手の顔がこんな風になるまで殴り合っていた激闘から数時間後には、1枚の写真に収まることができる。どれだけ結果を残し、堀口恭司に勝ってもUFCから声が掛からなかった上田将勝。Bellatorを最後の挑戦の場に選んだが、悔いが残る敗北ゆえ、現役続行を決めた。UFCが無理なら、オクタゴンを主戦場としていないファイターの中で最強の男と戦うことを目標に定めた。それがビビアーノ・フェルナンデスだった。ビビアーノはUFCと交渉中にONEを選択、上田の話題になると、苦虫を潰したような表情をしていたショーン・シェルビーが、真っ赤になって怒りを露わにするような行動に出た。ソン・ミンジョン、ジェンズ・パルバー、ケビン・ベリンゴンを倒して、ビビアーノと戦う権利を得た上田。この夜、毎ラウンドのようにテイクダウンを奪われ、バックマウントも何度となく許した。ビビアーノは自らの蹴りで足を負傷し、支えがなければ歩けないほどのダメージを受けていた。目標だったビビアーノの肉体に爪痕を残しつつも完敗を喫した上田の気持ちは、引退に傾いていた。そのことをビビアーノ本人に伝えた。ビビアーノ以外の誰もが、『もっとできる』という反応を見せていたが、彼だけはただ頷いて、『すぐに決める必要はない』と呟いた。ファイターは殴り合っても、傷つけ合っているわけじゃない。格闘技の素晴らしさは、この1枚の写真で分かってもらえるだろう。なのに要らない駄文を書き過ぎてしまったようだ……」
on this day in──記者生活20年を終えた当サイト主管・髙島学がいわゆる、今日、何が起こったのか的に過去を振り返るコラム。自ら足を運んだ取材、アンカーとして執筆したレポートから思い出のワンシーンを抜粋してお届けします。