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【ADWP】アブダビ・ワールドプロ2015展望<01>超激戦区85キロ級、実現するかロ×キーナン

Keenan vs Lo【写真】三度、激戦を繰り広げるのかキーナンとロ。この対戦が実現しない可能性を秘めた激戦区85キロ以下級だ(C)MMAPLANET&IBJJF

22日(水)から25日(土)にかけて、アラブ首長国連邦アブダビのザイード・ スポーツシティ内のIPICアリーナにて、アブダビ・ワールド・プロフェッショナル柔術チャンピオンシップ2015が開催される。

アブダビ王族から出資を受け、09年より毎年開催されているこの大会。特筆すべきは各帯各階級の入賞者に賞金が出されることだ。今年は男子アダルト黒帯各階級の優勝者には9000ドル、無差別級の優勝者には30000ドルが授与される(青帯各階級の優勝者には3000ドル、紫帯には5000ドル、茶帯には7000ドル)。

それを狙って世界の強豪達が参加するため、ワールドに次ぐメジャーな柔術世界大会となっている。そして今年は階級分けに変更が行われるため、去年までとは違った組み合わせが見られそうだ。このプレビュー第1回では男子アダルト黒帯の軽・中量級の見所を紹介したい。

【写真】ジョアオの対抗馬には、誰が上がってくるのか。現時点でその一番手は因縁のジャンニ・グリッポだ(C)MMAPLANET

【写真】ジョアオの対抗馬には、誰が上がってくるのか。現時点でその一番手は因縁のジャンニ・グリッポだ(C)MMAPLANET

【65キロ以下級】
本命は、昨年の64キロ以下級を制したミヤオ兄弟の弟ジョアオ(シセロ・コスタ)か。昨年の世界柔術ではルースター級(57.5キロ以下)で戦ったミヤオだが、カイオ・テハかブルーノ・マルファシーニが出て来ない限り同階級では敵無しだろう。だからこそ、この65キロ以下級は勝負論的に面白いものとなったといえるだろう。

対抗場として注目されるのは、先日のパン選手権のフェザー級を制したジャンニ・グリッポ(アリアンシ)。ミヤオ兄弟と同系統のモダン柔術の使い手のグリッポは、昨年11月のプロ柔術大会コパ・ポジオのスーパーファイトにて、ギ無し時間無制限サブミッションオンリーのルールでジョアオと対戦。ダブルガードの攻防が延々と繰り広げられ、見る者にとってあまりにも退屈な展開となったため、主催者がルールを変更して1時間で試合をストップするという前代未聞の結果に終わっている。道着着用の今回、ジョアオとの再戦が実現したらどのような攻防となるのか。怖いもの見たさという要素も大きくなるが、注目だ。

さらに、昨年の70キロ以下級にてグリッポを倒して優勝したレオナルド・サギオロ(BTT)もこの階級にエントリーしており、これまた再戦が楽しみだ。日本からは、11年に世界柔術茶帯ライトフェザー級準優勝の実績を持つ桑原祐太(ALIVE)もエントリー。健闘を期待したい。なお昨年の本大会で不可解な判定負けを喫したジョアオの兄パウロの名前は、今のところエントリーリストには見当たらない。

【写真】連覇なるか、サトシ。5月のワールドを見据える上でもレプリとの戦いが最難関か(C)MMAPLANET

【写真】連覇なるか、サトシ。5月のワールドを見据える上でもレプリとの戦いが最難関か(C)MMAPLANET

【75キロ以下級】
昨年76キロ以下級を制した日本のエース、ホベルト・サトシ・ソウザ(ボンサイ)がエントリー。いわゆるモダン柔術からは距離を置き、積極的に仕掛ける柔術を信条とするサトシは、昨年12月にはREAL 1にてMMAデビューを白星で飾っている。ここは是非連覇を果たし、悲願の世界柔術制覇に向けて勢いを付けてほしいところだ。

そのサトシの最大の壁として立ちはだかるのが、世界王者のルーカス・レプリ(アリアンシ)。昨年の世界柔術では、準決勝でサトシを、そして決勝ではJT・トレス相手にニースライド・パスを連続して決めて大量点差を付けての優勝を果たしている。去年はこのレプリに胸を合わされ上体を殺され、何度もパスされてしまったサトシが、今年はどんな対策を講じてくるのかが見所だ。

さらにこの階級には、名優マリオ・ヘイス(アリアンシ)も参戦。パン柔術ライト級出場はこの日のためだったのか──衰えを知らぬ闘争心と超攻撃型柔術を堪能したい。

【写真】アンドレ・ガルバォン、レアンドロ・ロ、キーナン・コーネリアス、ホムロ・バハウ、タルシス・フンフェリーズ、ヴィクトー・エスティマ、クラーク・グレイシー、クラウジオ・カラザンスとんでもないメンバーが集結する硬度100パーセントの階級だ(C)MMAPLANET

【写真】アンドレ・ガルバォン、レアンドロ・ロ、キーナン・コーネリアス、ホムロ・バハウ、タルシス・フンフェリーズ、ヴィクトー・エスティマ、クラーク・グレイシー、クラウジオ・カラザンスとんでもないメンバーが集結する硬度100パーセントの階級だ(C)MMAPLANET

【85キロ以下級】
強豪中の強豪がひしめき合い、最激戦区というべきこの階級。中でも特筆すべきは、昨年の82キロ以下級を制した世界最強の中量級柔術家、レアンドロ・ロ(シセロ・コスタ)。世界柔術ではライトからミドルに階級を上げても勝ち続け、さらに無差別級やプロ柔術大会のヘビー級グランプリに挑戦を続ける超人ロだが、先日のパン選手権無差別級ではヘビー級のベウナウド・ファリアにまさかの一本負けを喫している。今回は盛り返したいところだろう。

そしてこのロと同階級に、キーナン・コーネリアス(アトス)がエントリーしているのがファンにはたまらないところ。ロとコーネリアスは、昨年の世界柔術の無差別級にて激突。コーネリアスが新開発のワームガードでロを捕獲し、その動きを封じた上で新型のシーソーゲームに持ち込み勝利したこの試合は、世界中に衝撃を与え、柔術技術発展史に名を刻むものとなった。

しかし、その後のニューヨーク・オープンでは、ロが驚異的な身体能力とバランスを活かしてワームガードを封じて雪辱に成功している。今回も両者の戦いが実現したら、いかなる未知の攻防が見られるのか。まさに世界中の柔術ファンが待望する一戦だ。

さらに、有り余る実績を持ちながら未だ強くなり続けているアトス創始アンドレ・ガルバォンや、やはり世界王者にしてスパイダー・ガードの名手ホミーニョことホムロ・バハウもこの階級に参戦する。ホミーニョは昨年同大会の88キロ級ではコーネリアスに辛勝したものの、決勝ではガルバォンのスイープに敗れている。その上無差別ではコーネリアスの新戦法の前にラペルを捕獲され、膠着戦に持ち込まれ雪辱を許しており、階級別での勝利の印象が薄れてしまった。今年はその存在を世界にアピールしたいところだろう。

その他タルシス・フンフェリーズ(アリアンシ)、ヴィクトー・エスティマ(グレイシー・バッハ)、クラーク・グレイシー(クラーク・グレイシー)、クラウジオ・カラザンス(カラザンスBJJ)までエントリーしているこの85キロ以下級こそ、今大会の最注目階級と言っていいだろう。

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