【Interview】ここまでのAwayって? 清水俊裕リトアニアでの敗戦を語る
【写真】ZSTでは変身ベルト&ポーズで“ZSTのライダー”として知られている清水。今回は初の海外遠征としてリトアニアに渡り、イグナス・バリサスと対戦した(C) TAKUMI NAKAMURA
10日(土・現地時間)リトアニア・ビリュニスにあるシーメンス・アリーナで行われた「Bushido Lithuania」。同大会にZSTから清水俊裕が参戦し、来日経験のあるイグナス・バリサスと対戦した。
結果は2R2分54秒、清水がバリサスの三角絞めに捉えられ、レフェリーが試合を止める形で敗戦となったが、フィニッシュ自体、それまでの経緯ともにアウェーの洗礼を受ける試合だった。
Text by Takumi Nakamura
――今回、初めてリトアニアで試合を行なってきた清水選手です。
「はい。主戦場にしているZSTからリトアニアでの試合のオファーをいただきました」
――兄の清水俊一選手がセコンドについていましたが、通訳なしの2人で遠征されたそうですね。不便はなかったですか。
「どちらもリトアニア語が話せるわけではないので、片言の英語と身振り手振りで何とかコミュニケーションをとっていました。試合までの準備という部分で特に困ったことはなかったです」
――今回の試合は顔面パウンドのないZSTルールでの試合だったんですよね。
「はい。ルール的なやりにくさはなかったのですが、リングマットが固かったり、ブレイクのタイミングが日本とは違ったりして、やりにくいところもありました」
――対戦相手のバリサスは来日経験もある選手で、レミギウス・モリカビュチスを彷彿とさせるようなストライカーです。作戦的には、やはりテイクダウン有きのものだったのでしょうか。
「ひたすらタックルに入って寝技に持ち込むという作戦でした。それで相手を疲れさせて、どこかのタイミングで極めようと考えていました」
――その狙い通りにテイクダウンに成功し、何度も腕十字の態勢まで持っていけたそうですが、なかなか極め切れなかったと伺っています。
「試合が終わって改めて思ったのは、ディフェンスが上手いというよりも、こちらが技を仕掛けた時に逃げるのが上手いという感じでした。こっちも勝ちを急いでしまって動きが雑になり、そこで何回も逃げられた感じはあります(苦笑)」
――清水選手のスタミナはいかがでしたか。
「体力やスタミナには自信があったんですけど、タックルを繰り返して、寝技で逃げられるうちに僕も疲れてしまいましたね。バリサスの消耗も分かっていたのですが」
――2Rも基本的には1Rと同じ展開で、ロープ際で腕十字を仕掛けたところで、バリサスの体がロープの外まで出てしまい、ブレイクとなってしまいました。
「場外逃避か微妙なところだったと思いますけど(苦笑)、上手くルールを使われたかなと感じました。自分としては気にせず、試合に集中しようと思ったんですけどね」
――バリサスが首だけを絞める三角絞めのような技で、レフェリーが試合をストップしてしまったと。
「何と言ったらいいんですかね…まず技そのものは特に極まっていなかったんですよ。固定されているだけというか。だから息が出来なくて苦しかったわけではなくて、動けなかっただけなんです。それでバリサスの足のクラッチが外れるのを待っていたのですが、それをレフェリーが首を絞められて落ちたと感じ違いしたみたいで(苦笑)」
――なぜ止められなかったのかは分からなかったという感じですか。
「試合が終わった時は『えっ!?』と思いました。日本だったらレフェリーが『ギブアップか?」と聞いてきて、どういう状況か分かるのですが、リトアニア語で話しかけられても、ちょっと何を言っているのか分からなかったです…。試合後に抗議しても、なかなかこっちの言いたいことが伝わらなくて、それも込みで海外で試合をする難しさだなと思いました」
――清水選手にとっては初めての海外遠征だったんですよね。
「はい。試合裁定の部分では納得のいかないこともありましたが、通用する部分もあったと思うし、もっと練習を積んでやらなければいけないことも分かりました。あとはもうちょっと英語も話せるようになりたいです(苦笑)」
――ZSTはリトアニアやカザフスタンに選手を派遣していますが、今後もチャンスがあれば海外で試合をしたいという気持ちはありますか。
「それはありますけど、今年は2勝2敗1分と勝ち越せなかったので、まずは国内で戦績を重ねて勝率を上げたいですね。それから海外での試合を考えたいと思います」
【清水×バリサス 詳細】
11月10日 Bushido MMA HERO’S 12
イグナス・バリサス(リトアニア)
Def.2R2分54秒 by リバース・トライアングル(?)
清水俊裕(日本)
試合開始直後にダブルレッグダイブでテイクダウンを奪った清水は、サイドからマウントへ。腕十字を仕掛けると、バリサスはスラムを見せ、ここを逃れる。バリサスのローにテイクダウンは合わなかった清水だが、直後に組みついて倒すことに成功する。
再び腕十字を仕掛けた清水だったが、背中をつけると同時に腕を引抜かれる。前蹴りから組みついた清水、バリサスはがぶりを見せるもあっさりと下になる。清水が腕を取る際に、リバーサルに成功したバリサスが立ち上がる。即、テイクダウンを奪った清水は足を捌いてパス、マウントから腕十字を執拗に仕掛けると、ロープ際で頭を越えてきたバリサスの体がロープの外へ。
ここでブレイクを命じたレフェリーは、試合をスタンドから再開させる。続く清水のテイクダウン狙いにヒザを合せたバリサスにリトアニアのファンが大声援を送った。
2R、組みついていった清水をいなすバリサス。バリサスが豪快な後ろ回し蹴りを見せるのと、清水のダイブ狙いは同時で空振りに。ここでグラウンド状態の清水に蹴りを入れたバリサスに注意が与えられる。
直後にスタンドの攻防で、またもアッサリとテイクダウンを奪った清水は、自ら後方に倒れこみヒールを仕掛ける。そのままトップをキープした清水に対し、バリサスはガードから腕十字へ。立ち上がって腕を引抜いた清水はパスへ。ここでサイドを取ろうとした清水に対し、バリサスが下からしがみつくように腕を挟まない足で絞めを仕掛ける清水は右腕をバリサスとの間に入れ、腹を押して体を起こそうとするも、レフェリーは試合をストップしてしまう。
タップもせず、落ちてもいない清水は結果的にレフェリーの技量不足で一本負けという形になってしまった。