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【Asia Open】初日。加古拓渡がLF級優勝!! 中量級日本勢苦戦。カラザンスは世界レベル披露。

Kako vs Yoshioka【写真】吉岡大を破り、決勝進出。そしてライトフェザー級で優勝した加古拓渡。

国際ブラジリアン柔術連盟(IBJJF)主催の「アジアオープン柔術選手権」が、今週末8~9日(土~日)の2日間、愛知県名古屋市港区の愛知県武道館で開催されている。
text & photo by Hiroyuki Kato

その初日=8日(土)はアダルト黒帯が行われ、国内勢トップは当然として、アブダビプロを4度制したクラウジオ・カラザンス、昨年の世界柔術3位アブラハム・マルテなどワールドクラスの選手が登場した。

Shibamotoまず最軽量ルースター級では、IBJJFプロリーグにも参戦した芝本幸司がシード選手として準決勝から登場。昨年のアブダビ日本代表にも選ばれた徳島柔術所属の吉岡崇人を相手に、モダン柔術家らしく寝込みのレッグドラッグからバックを奪い送り襟絞めで勝利した。決勝はスピードが持ち味の戸所誠哲になり、爆発力のある動きの速さに序盤こそ苦戦を強いられるも、中盤から完全に芝本ペースとなりスイープ、パスガード、最後はまたバックからの絞めで、アジア3連覇を達成し世界大会出場権を手中に収めた。

Kakoライトフェザー級では、ワールドのみに出場を絞っていた吉岡大が、資格獲得のため久々に国内大会に参戦。しかし、準決勝で名古屋が地元である若手黒帯筆頭=加古拓渡戦にて、マイナスアドバンスを重ねポイントを与えてしまう。残り時間1分で、ハーフで足が抜ければ吉岡の逆転という展開になるが、加古も意地で抜かさせず。アドバン一つ差で加古が吉岡越えを達成。加古は勢いのままに決勝で、日本最年少黒帯である山田秀之を破り、日本代表の称号を得た。まずは国内最強を示した加古、世界への戦いが始まる。

Paiva国内トップ&ワールドクラスの柔術家が集まり最大激戦区になったフェザー級。前年度王者の塚田市太郎も2回戦で破れ、決勝に勝ち上がったのは欧州大会の表彰台常連なエジ・ハモスと、長身から繰り出す三角絞めが持ち味のイザッキ・パイヴァという海外勢となった。過去の実績的にはハモスがパイヴァの上を行くが、試合はパイヴァが終始長い手足を駆使したスパイダーガードでコントロールし優勢に進めた。そして、最後はバックから絞めで一本勝ちしパイヴァが優勝。欧州、パンの前に彼もまた世界のチケットを手にしたく、懸命に戦った。写真は初戦で岩崎正寛を破ったパイヴァ。

Satoshライト級では地元ALIVE所属・細川顕は1回戦で無名のアイク・ブルートに敗れる波乱が起った。決勝はサトシ・ソウザ、クラウジオ・カラザンスの弟子を破った金子竜也の一戦=ワールドの再戦となった。序盤こそ金子の柔道技に付き合っていたサトシが、引き込んでからペースを握る。1分過ぎに送り襟絞めで一本、ワールド3位の実力を見せつけた。

ミディアムヘビー級ではクラウジオ・カラザンスが登場。3人の巴戦になったが、カラザンスは省エネといえるほどの試合の組み立てを見せた。引き込んでから手首固め、十字絞めを狙い続け、きっちり2連続一本勝ち。実力差があるからこその試合運びであった。

スーパーヘビーには本来75キロ前後を主戦場にするマルコス・ソウザが、決勝でも体重差をものともせず田川秋星を相手に大量23ポイントを奪ってから腕十字。12月23日に開催される『REAL.1』での王者防衛戦に弾みをつけた。

ウルトラヘビーでは本来70キロで戦うチャールズ・ガスパーが重い階級で確実にポイントを狙いにエントリーしたが、相手が世界3位のアブラハム・マルテになる不運。大人と子供と表現できるほど体格差があり、引き込んでも技が通じないまま、ガスパーは絞めで敗れマルテが世界柔術チケットを獲得した。

Calasansオープンクラスでは、サトシ、マルキーニョスなどが欠場。決勝はこれぞ国際大会というべきクラウジオ・カラザンス、アブラハム・マルテという豪華な一戦に。長身のマルテが引き込み、カラザンスはパスができず膠着状態になるが、ニヤパスで頭部を固めてから足を抜きサイドで3点、下になってスイープを決めて5点リードする。後半はマルテがデラヒーバフックからのスイープを2度決めて5-4まで迫るが、カザランスも決死の形相で最後は逃げ切りアジア二冠達成した。

これまでワールド常連だった中重量級の日本人黒帯も、優勝や上位進出を逃し、来年の世界柔術出場に厳しい状況に。今後、アジアも今大会のように日本勢にとって厳しい状況が続く、茨の道となりそうだ。

■ アジアオープン柔術選手権、アダルト黒帯の部結果

【ルースター級】
優勝 芝本幸司(トライフォース柔術アカデミー)
準優勝 戸所誠哲(パラエストラ)
3位 吉岡崇人(徳島柔術)

【ライトフェザー級】
優勝 加古拓渡(GSB)
準優勝 山田秀之(デラヒーバ)
3位 チェ・ウォンキ(ジョンフランクル)
3位 吉岡大(東京イエローマンズ)

【フェザー級】
優勝 イザッキ・パイヴァ(サイコー柔術)
準優勝 エジ・ラモス(ATOS)
3位 ジョルドン・トーマス(カベリーニャJJ)
3位 塚田市太郎(ダムファイトジャパン)

【ライト級】
優勝 サトシ・ソウザ(ボンサイ)
準優勝 金子竜也(パラエストラ)
3位 高本裕和(PGN東大和)
3位 アレックス・ギスバート(カラザンスJJ)

【ミドル級】
優勝 ホドリゴ・カポラル(ATOS)
準優勝 ジェイソン・コールフィールド(ノヴァウニオンオーストラリア)
3位 ペ・スンザン(トライフォース柔術アカデミー)
3位 川添晃史(グレイシーバッハ)

【ミディアムヘビー級】
優勝 クラウジオ・カラザンス(ATOS)
準優勝 ジュリアン・カジエール(グレイシーバッハ)
3位 ソノダ・ヴィニシウス・ケンジ(小川柔術)

【ヘビー級】
優勝 エリオット・ケリー(イエマソBJJ)
準優勝 ジョン・ホーウォン(ジョンフランクル)
3位 チアゴ・シオカワ(小川柔術)

【スーパーヘビー級】
優勝 マルコス・ソウザ(ボンサイ)
準優勝 田川秋星(福住柔術)
3位 マイケル・バーガー(ウィル/マチャド)

【ウルトラヘビー級】
優勝 アブラハム・マルテ(ヤマサキ)
準優勝 チャールズ・ガスパー(Impacto Japan BJJ)

【無差別級】
優勝 クラウジオ・カラザンス(ATOS)
準優勝 アブラハム・マルテ(ヤマサキ)
3位 ホドリゴ・カポラル(ATOS)
3位 ジョン・ホーウォン(ジョンフランクル)

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