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【It’s Showtime】61kg級世界王者・山本真弘インタビュー(前編)

Yamamoto

【写真】 ハビエル・エルナンデスを4-0の激闘で下し新It’s Showtime世界61キロ級追王者に輝いた山本真弘。最終回にヒザでダウンを奪い逆転勝ちを手にした(C)BEN PONTIER/EFN

7月21日、スペインのテネリフェで行われたIt’s Showtime 59で、61kg級世界王者となった山本真弘。2010年12月にセルジオ・ヴィールセンに敗れてから1年7カ月、目標に掲げていたタイトルを獲得し、日本人初のIt’s Showtime世界王座獲得という快挙を成し遂げた。

しかし、It’s ShowtimeがGloryに買収されたことで、今後、山本が王者としてどういった進路を進むのかは見えていない。あの快挙から約1カ月、山本にタイトル獲得の喜びと共に、今後の動向について聞いた。
Text by Takumi Nakamura

――7月21日にIt’s Showtimeの世界タイトルを獲得して、この1カ月間はどのように過ごされていたんですか?

「しばらくゆっくりして実家の長崎に帰省していました。特に決めていたわけではないですけど、まとまった時間が出来たので。家族にベルトを見せたら、みんな喜んでくれていましたね」

――藤原ジムの藤原敏男代表からは今回の王座獲得についてどんな言葉がありましたか?

「藤原先生からは『よく頑張ったな』と言ってもらいましたけど、べた褒めされたわけでもなく、いつも通りの反応でした(笑)」

――では試合についてお話を聞かせてください。ご自身の試合映像は確認されましたか?

「はい。映像を見ても野宿した影響でスタミナが切れるのが早かったです(苦笑)」

――スペイン本土で一泊して会場のテネリフェ島に入る予定だったのが、マドリッドのホテルで宿泊することが出来ずにバラハス国際空港で一夜を過ごさないといけなくなったというアクシデントに見舞われたのですよね。

「だから決してコンディションは万全ではなかったですけど、海外で戦うわけだから何が起きても動じないつもりで日本を出発して、気持ちの部分では集中して試合に臨めたと思います」

Masahiro Yamamoto――試合を見ていた時は山本選手が、空港で一夜を過ごしたなんて思ってもいなかったのですが、タフなエルナンデスに体力負けせずに5Rフル戦い抜いて勝利したことに驚きました。

「確かにバテるのは早かったですけど、バテてからも動けていたと思います」

【写真】念願のベルトをその腰に巻いた山本真弘。新生K-1は59キロと63・5キロ、Gloryは欧州ではヘビー級と85キロ、70キロが中心となりそうだが、It’s Showtimeを買収したことで、61キロも何らかの形で日本では組まれていくことになりそうだが……これだけの試合をやってのけた強い日本人=山本真弘の晴れ舞台は用意されて然りだ(C)BEN PONTIER /EFN

――それはセルジオ・ヴィールセンに敗れてから取り組んできたフィジカルトレーニングの成果ですか?

「そうですね。外国人選手に当たり負けしない体を作るのはもちろん、スタミナをつけるトレーニングも続けていて、ラウンド間のインターバルで息を戻すようなトレーニングもやっているんですよ。

だからスタミナ的にアップしている実感もありました。ただ、あの試合は本当にすぐバテてしまって、いつもの僕はあんなものではないです(笑)」

――技術的にはボディ攻め、特に三日月蹴りがよく決まっていましたね。あれは事前に狙っていた技だったんですか?

「1R途中から『入りそうだな』と思って蹴ってみたら、どんぴしゃりのタイミングで入ったんですよ。それで三日月蹴りはどんどん蹴っていこう、と。

試合前から狙っていたというわけではなくて、試合中に閃いて、そこから狙っていたという感じです」

――今までの試合で山本選手が三日月蹴りを蹴っている場面があまり記憶にないのですが、実は空手時代の隠れた得意技だったりしますか?

「いや、そういうわけじゃないですよ(笑)」

――例えば総合やキックの選手で三日月蹴りを練習していて相手の肘を蹴って怪我をしたという話をよく聞きます。

「う~ん、それはちゃんと狙って蹴ってないんですかね…」

――だからこそ、三日月蹴り=簡単に蹴ろうと思って蹴られる技ではないと思っていたのです。

「自分の場合は空手の頃から足のスナップを効かせて蹴るような前蹴りが得意だったんですよ。もとから前蹴りを三日月蹴りっぽく蹴っていて、軌道や蹴り方を少し変えれば三日月蹴りになるだろうという感じで」

――それが試合中に閃いたというのは、山本選手も意外だったんじゃないですか?

「そうですね。やはり小さい頃から練習していたものなので、体に染みついているんだなと改めて思います」

(この項続く)

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