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【Interview】チャン・ターウェイ<02>「MMAと摔跤。現状に眼を瞑っていては進歩はありません」

Shuai Jiao【写真】今年の春に行なわれた欧州摔跤国際カップでチャン氏率いる台湾チームは個人戦で1位が2人、2位が1人、3位で2人を輩出するも、国別では6位。元祖の意地を見せて欲しい(C)Taipei County Shuai Chiao Association

未知の中国武道、摔跤。台湾のベースに武道である摔跤、スポーツである摔跤の普及、伝承に務める常達偉(チャン・ターウェイ)インタビュー後編。

大陸を代表する摔跤の指導者であった祖父・常東昇(チャン・ドンシェン)の遺志を継ぐチャン・ターウェイにスポーツ競技である摔跤のルールに続き、さらに武術的要素があることを踏まえたうえで、MMAとの関連性を尋ねると、非常に前向きかつ自信のある意見が聞かれた。

なお現在発売中のFight&Life Vol.44では、ここで採り上げたチャン・ターウェイと共に散打、MMA、そしてブラジリアン柔術各分野を取材。MMAと武術の接点についてレポートした「Fight&Life 格闘紀行=台北編」が掲載されています。
<常達偉(チャン・ターウェイ)インタビューPart.01はコチラから>

――では、組技競技としての摔跤はどれぐらいの人がトレーニングしているのですか。

「5万、6万人でしょう」

――なるほど、それだけの競技人口のあるスポーツ摔跤のルールを教えてもらえますか。

「スポーツ摔跤は9ポイントを先制した者の勝利となります。投げは背中からきれいに落せば2ポイント、投げた方がしっかりとした姿勢を保っていると3ポイントになります。ヒザや手をついた場合などは、1Pです。投げを仕掛けても、先にバランスを崩し、手足をマットに着くとポイントを失います。この辺りは散打とも同じです。散打の選手は、摔跤の練習もしています。

擒拿(※ここでいう擒拿は関節技か)も許されていますが、投げへの連係でないと使えません。つまり、投げ、関節とも一本はありません。経穴も攻撃できますが、ポイントにはならないです。力を奪い取ること、動きを制限することで投げに繋げることができる。そのための経穴への攻撃です。パンチは反則で、蹴りはヒザより下のみに当て、バランスを崩すことを目的にしている場合のみ許されます。足払いのようなもので、蹴りでダメージを与えるものではないです」

──試合場は、どのような形状なのですか。

「円形マットを使用して戦います。選手はサークルの外に出されると、1ポイントを相手に献上します。ただし、押し出すことを目的とした動きにはポイントを与えられません。円の移動を利用して、崩しながら外に出したときはポイントとなります。ボディバランスを崩すことを重視しています。だから、功夫の最終形なのです。もちろん、道着を掴むことはできます。指を掴むことはできないです。寝技もありません。足以外をマットにつけた場合は、ポイントを失い、スタンドに戻ります」

──試合タイムは?

「試合時間は2分×2Rで、インターバルは30秒です。2Rを通して、9ポイントを獲得した者の勝利となります。18歳以下と以上では階級は違いますが、男女とも8階級を設けています」

【写真】子どもたちが摔跤の稽古に励む(C)Taipei County Shuai Chiao Association

【写真】子どもたちが摔跤の稽古に励む(C)Taipei County Shuai Chiao Association

――摔跤の練習生は、スポーツ摔跤だけでなく、武術としての摔跤も学ぶのでしょうか。

「本来は両方のスタイルを稽古するべきでしょう。ただし、多くの場合はスポーツ摔跤の大会に出なくなった者が、武術的な摔跤の稽古を始めるというケースが多いです。私達も若く精神的に成熟していない者には、余りコンバット・スタイルの摔跤を指導したいとは考えていません。彼らは体力に任せて動くからです。武道的な摔跤に引退はありません。人生を掛けて、修得するものなのです」

――個人的にそれぞれの武道、それぞれの競技格闘技を尊敬していますが、武道的な動きがMMAで見られた時は格別な想いになります。摔跤の動き、テクニックがMMAで見られることはありますか。武道的摔跤には打撃が許されており、スポーツ摔跤は円の動きの投げ、崩しが中心です。摔跤の動きは、MMAでも有効でないかと期待してしまいます。

「ブラジル人ファイターや、米国人ファイターのなかには、既に摔跤をMMAに生かしている者もいます。中国武術のマスターのなかには、実戦でなく型ばかりを追求している者もいます。そしてMMAを忌み嫌い、MMAは野獣の戦いのようだとくさす者もいます。私はそれは違うと思っています。2人の人間が、ケージのなかで向かい合って戦う何でもありの実戦です。摔跤は既に戦闘格闘技として、数々の経験を重ねてきました。MMAは知力と体力、それまでの経験値を全て使って戦う素晴らしいファイトだと私は理解しています。

摔跤は長い歴史があります。しかし、現状に眼を瞑っていては進歩はありません。だから、私はMMAを研究することも大好きです。これまで欧州には10カ国、支部ができています。しかし、日本には旅行でしか行ったことはないので……日本の武術をもっと知るためにまた、日本語の勉強をし直さないといけないですね(笑)」

22日発売のFight&LifeVol.44には摔跤などが紹介されたFight&Life格闘紀行・台湾編が掲載されています。

現在発売中のFight&LifeVol.44には摔跤などが紹介されたFight&Life格闘紀行・台湾編が掲載されています。

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