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【2014WJJC】加古拓渡 「チャンスをモノにできなかった……」

2014.06.20

Takuto Kako

【写真】現実的な目標としてベスト8入りを掲げていた加古拓渡 (C)MMAPLANET

1 日(日・現地時間)に幕を閉じたワールド柔術チャンピオンシップ。世界の頂点が争われたトーナメントには黒帯の部にも多くの日本人柔術家が出場した。

日本のベリンボロ使い加古拓渡(GSB)もベスト8を目標にライトフェザー級に出場も、1回戦敗退に終わった。超トップでない外国勢をの競り合いに勝てない現実を、大会翌日にジャンジャック・マチャド柔術アカデミーで出稽古を行った加古に尋ねた。

――今回のワールド、初戦敗退だったのですが、どのように結果を捉えていますか。

「そうですね……、まずエントリーリストを見た時、ベスト8に入ることを目標とすれば、易しくはないけど割とチャンスがあると思いました。去年より人数も少なく29人の参加者で、10人が日本人。日本人同士で当たる可能性も高いのが、ちょっと嫌でした。せっかくのワールドなので有名な選手、有名じゃなくても海外の選手と戦いたかったので。

正直トーナメントの全体的にレベルは少し落ちたとも思いました。ただ、仮に日本人選手と戦うなら、トップ選手と比較すると勝機も増える。1回戦とか2回戦で日本人同士の対戦になるかもしれない。そういう風に考えると、例年よりも2日目に残るには易しい状況だったんです。

結局、トーナメント枠が決まると、僕は2回戦まで日本人とは当たらないブラケットでした。相手はブラジル人、知っている名前ではあっても、チャンピオンクラスではない。メダリストクラスでもない。チャンスかと思いましたし、日本人との試合でもないのでモチベーションも高い状態でした。

でも、結果的にはそこも手が届かなかったというのが、自分の現状でした。競った試合はできたけど、届かない。ワールドプロの時もそれは感じていて、アミール・シャントレっていう有名だけどトップより下の選手。ワールドだとベスト8に入るか入らないか。運が良ければ3位に入る――そういう選手とやってアドバン差で負けました。そこそこゲームにはなったけど、もう1回やれば必ず勝てるかといえばそうではない。

01【写真】一度はリバーサルでトップを取り、ポイントをリードした加古だったが……(C)MMAPLANET

今回はトーマス・リスボアっていう名前は知っているけど、そこまで知られていない選手と初戦で戦いました。ベスト8になった選手なのですが、最初に畳みかけられてアドバンを一気に3つ取られてしまいました。ダブルガードプルからの起き上がり、パスガード、チョークのアドバンを一度に3つ取られ、何とか態勢を整え直すことはできたんです。そこからスイープは最初に取れたのですが、返されてアドバン分足りなくて。最後もスイープを仕掛けたのですが、門脇チョークっぽい変形のRNCが得意なようで、返し際にバック崩れのような状態かチョークを狙ってきました。絞めは入っていなかったのですが、それが微妙に首下も残っていたので、スイープのポイントが入らずに試合は終わってしまいました。あれが入っていれば勝てた――という試合でした」

03【写真】試合後が終わると、加古は思わず頭を抱えてしまった(C)MMAPLANET

――もちろん、期待外れの結果になってしまいました。

「正直、あそこに勝たないと……。今回は僕にとっては易しいトーナメントのはずだったのに、そこも取れなかったといいう悔しさは凄くあります。チャンスをモノにできなかったです。もう一つ、乗り越えることできれば……。もちろん、2回戦もあるのですが、勝っていればそこでバラタ、ハファエル・フレイタスという1階級下のトップどころと戦っていたんです。バラタも競った試合でリスボアに負け、そういう現状を見た時に自分の立ち位置が見えたかなと」

――その立ち位置というのは?

「トップ選手にボコられたわけではないのですが、トップ8には微妙に届かない」

――来年、ベスト8を目指す前にワールド出場資格を手にする必要が出てきました。

「そうですね。だから、まずはアジア・オープンですね。アジア・オープンで優勝すれば、ワールドに出ることができます」

――ただし、そうなるとアジアで出場枠を確保してしまおうと従来よりも、来日ブラジル人が増える可能性があります。

「そうなんです。それもありますし、去年アジア・オープンで優勝しているのですが、今年2位でもギリで届かないんです(苦笑)。アジア・オープンはポイント係数こそ高いですが、前年度扱いになってしまって、ポイントは結局のところ低くなってしまうんですよね。

まぁ、ポイント計算ばかりしてもしょうがないので、自分のスキルをあげて、とにかくアジアを取りに行きます。それが取れない場合はポイント獲得と、ワールドでない目標を持って他の大会に臨むかはまだ決めていないです。

とにかく自分の立ち位置が分かったので、変わらずやるだけです。あとはコンディション的に良い状態で臨みたいです。ワールドプロの日本予選から続いて……、体重を維持していれば良いのですが、どうしても普通の体格に戻ってしまうので、この間隔で減量を繰り返すのは厳しくはあります」

――柔術の試合で食えるわけでもないなか、プロ格闘家のようなフィジカルを作っていく、そんな日常が必要になってくるわけですね。

「減量はもう少し長いスパンをかけてやった方が良いかなと思います。ワールドで減量は一段落して、国内の大会はフェザー級で出て、アジアはライトフェザー級に出るつもりです。ただポイントを考えると、ミヤオ兄弟のような選手が来てライトフェザー級に出て、フェザー級に出ないならフェザーにするかもしれない。あまりそういうことはしたくないのですが、ワールドに出るためにそういうことも必要になってくるかもしれないです。アジアまでは全日本も含め、フェザー級に出ます。とにかく、またワールドにチャレンジしたいです」

加古拓渡は6月22日(日)に東京都練馬区の光が丘体育館で開催されるJBJJF主催「第15回全日本ブラジリアン柔術選手権大会・黒帯フェザー級に出場、初戦でX-TREM柔術アカデミーの奥田照幸と対戦する。同階級はワールド出場組では塚田市太郎(DAMM FIGHT JAPAN)も出場、両者が対戦するとすれば決勝戦ということになる。

僅か3週間のインターバルで全日本に出場するワールド帰国組はルースター級が澤田真琴(DRAGON’S DEN)、ベスト8だった芝本幸司(トライフォース柔術アカデミー)、ライトフェザー級が同じくワールド・ベスト8の金古一朗(ポゴナ・クラブジム)、山田秀行(デラヒーバジャパン)、中塚靖人(リバーサルジム新宿Me,We)、ライト級がチャールス・ガスパー(IMAPCTO JAPAN BJJ)と細川顕(アライブ)等。2015年に向け、早くも再スタートを切ることになる。

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