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【UFC132】ドミニクが激戦制し、涙の王座防衛

<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者]ドミニク・クルーズ(米国)
Def.判定3-0:50-45、49-46、48-47
[挑戦者]ユライア・フェイバー(米国)

グローブを合わせずに背を向けたドミニク。厳しい表情でユライアを睨みつける。いきなり右を打ち込んだドミニクに対し、ユライアは右を返す。オーソからサウスポーにスイッチしたドミニクに組みついたユライアは、大きくチャンピオンを抱え上げるが、テイクダウンを奪えない。

ケージに押し込んで離れ際のエルボーも空振りに終わったが、距離を潰すファイトはドミニクのスイッチに対して有効だろう。サウスポーから右ロー、スイッチして左ローを入れようとしたドミニクに、ユライアは右をヒットさせる。蹴り足をキャッチされるが、上手く距離を取り最初の3分を攻勢に進めた。

右ストレートと、右ローのコンビネーションで前に出たユライアにドミニクは左を見せるがクリーンヒットはしない。一方、ユライアはオーソからローを入れたドミニクに対して真っ直ぐ距離を詰めるが、テイクダウンを奪えない。

ユライアもまた、左へ回りながらサウスポーへ、そしてオーソにスイッチするという新しい攻めを見せ、離れ際に左エルボーを多用する。「パーフェクトラウンド」というセコンドが語る形で1Rを終えたユライアは2Rになっても自然とスイッチを取り入れた構えを見せる。


距離を詰められないドミニクだったか、左フックから右を打ちこんでいく。オーソから右ロー、離れて左フック、サウスポーから左ローを見せたドミニクだが、ここでユライアの右がヒット。

ドミニクはボディから右フックを決める。ユライアはダブルレッグで距離を詰めるが、ここは詰めきれない。ドミニクは左ハイ、右ローを入れてリズムを掴みに掛かる。さらに左ジャブを伸ばし、アッパーを打ち込む。これにユライアは前に出て右を打ち込む。バランスを崩したドミニクだが、すぐに立ち上がり前に出てくるユライアからダブルレッグでテイクダウンを奪った。

背中を見せて立ち上がったユライアに、ドミニクはハイからロー、さらにストレートを打ち込んで、このラウンドは取り返したか。3R、やや口を開き気味のユライアに対し、王者ドミニクもやはり口が半開きの状態だ。

ドミニクの前蹴りをいなし、前に出るユライアは右ローを繰りだす。続いて左のフライングニーを見せたドミニクに、ユライアが距離を詰めて右を打ち込む。ドミニクのテイクダウン狙いを切ったユライアは、低いガードからアッパーを放つ。

ドミニクもアッパーからパンチを2発、さらに蹴りと畳み掛け、ユライアのテイクダウン狙いを切る。ユライアは前蹴りから組みついてバックを奪う。ドミニクにスクランブルの状態でスイッチからトップを奪われたが、すかさず立ち上がってスタンドへ戻る。

左ハイから右ストレートを放ったドミニクは、単発の攻撃がほとんどない。再び右を伸ばしたドミニクに対し、ユライアは下がらないという対応を見せ、ダブルレッグを切り、シングルもカット。ノンストップアクションの3Rが終わった。

4R、ドミニクの右ヒザ、ユライアの前蹴りが序盤から激しく交錯すると、ドミニクの右フックが連打でユライアの顔面を襲う。ユライアの右ローがヒットし、直後の右でドミニクがダウン。すぐに立ち上がったドミニクだが、ダメージは隠せないか。

ユライアも疲れから、動きが落ち、カウンター狙いが目立つという激しい闘いに。ユライアはテイクダウン狙いから、アッパーを見せる。近距離でヒザ蹴りを見せたドミニクは、右フックから左ミドルをヒットさせる。

ここでドミニクがダブルレッグからニータップ、ユライアは尻餅をつくもすぐに立ち上がる。右フックを当てたドミニクにユライアも右を返す。ともにガードが低くなり、振り回すパンチが目立ってくるなか、ドミニクのテイクダウン狙いをユライアがことごとくカットしていく。

コンビネーション、ヒット率ではドミニクだが、バランスを崩すシーンも多く、ジャッジがユライア有利と取っていることも十分に考えられる。最終回、フライングニーからパンチを連打したドミニクにユライアもパンチを返す。するとドミニクがダブルレッグからバックを奪う。

ユライアは正面を向き、距離を取り直す。再び、テイクダウンを合わせたドミニクにユライアはギロチンを見せる。残り3分、フェイバーコールのなか、ドミニクのテイクダウンが決まる。

立ちあがったユライアは、ここでまたテイクダウンを許すも、瞬時に立ち上がりケージを背にする。カウンター狙いのユライアに対してドミニクも慎重になり、手数が少なくなる。残り1分、両者が荒いフックを繰り返す中、ドミニクがテイクダウン狙いで猛攻を掛ける。最後の10秒、ドミニクのテイクダウン狙いをユライアが切ったところで、タイムアップ。

試合終了と同時に、両手を突き上げた両者。ユライアがダウン気味のダウンを奪った1Rと4R、ドミニクの手数、クリーンヒットが多かった2R&3R。テイクダウン合戦はドミニクが制したが、ユライアも立ち上がり続けた5R。

ジャッジの裁定は――。50-45、49-46、48-47でドミニクに。直後にヒザをついたドミニクは、目に涙を浮かべて「サポートしてくれたファンに感謝したい。ユライアはパンチも速く、ニータップも切られた。神に感謝したい」と笑顔で話し、なぜか青帯を誇示した。

一方、敗れてなおファンの声援を集めるユライアは「タフファイトだった。ドミニクにおめでとうと言いたい。勝ったと思ったけど、僕が裁定はできないから」と、やや目を泳がせながら語った。

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