【Pancrase353】天弥を相手に、防衛戦。ライト級KOP雑賀ヤン坊達也「まぁ負けないですよ」
【写真】大きな舞台、再び海外へチャレンジするために力のある相手と戦う。この姿勢が特別になりつつある日本の格闘技界だ(C)TAKUMI NAKAMURA
27日(日)に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE 353で、ライト級KOPの雑賀ヤン坊達也が天弥を相手に防衛戦を行う。
Text by Takumi Nakamura
昨年9月のライト級KOP選手権試合では久米鷹介をKOして王座防衛に成功したヤン坊。Road to UFCでの敗戦からの再起戦=久米との防衛戦というタフなシチュエーションでの一戦だったが、この試合を乗り越えたことはヤン坊にとっても大きな成長につながった。
そして今大会では急成長を遂げている若手筆頭の天弥との防衛戦。久米戦とは異なるシビアな一戦となったが、こうした試合を勝ち続けることがチャンピオンとしての強さであり、新たなチャンスにつながっていくとヤン坊は語った。
まずはあの試合から振り返っていただけますか。
「久米さんのフィジカルが半端なく強かったのと、それに対応できたというのがどちらもありますね。で、2Rのあの場面で倒せる打撃を出せたというのは、それまで辛い練習をやってきた成果が出たなと思いました」
――2R開始直後のフィニッシュでしたが、ああいった結末は想定していましたか。
「正直判定になると思っていました。自分としてはコツコツ打撃を当ててポイントをとって…という展開を想定していたんですけど、あのタイミングで左フックが当たりました」
――あの瞬間はここで試合を終わらせようと思って追撃したのですか。
「判定を想定しつつも、チャンスを待っていた感じなので、あの場面は『来た!』と思って、そこで一気に詰めた感じですね」
――まさに会心のKO勝利での王座防衛でしたが、ヤン坊選手としてはRoad to UFCでキ・ウォンビンにKO負けしてからの再起戦という試合でもありました。再起戦が王座防衛戦、しかも挑戦者が久米選手というのは、かなりタフなシチュエーションだったと思います。あの時はどんな心境で試合まで過ごしていたのですか。
「去年のRTUで結果を残すことができず、フィジカル面を見直さないといけないと思ったんです。それでトレーナーにも相談して、もう一度自分を作り直そうと思っていた時期に久米戦の話をもらって。正直なところ、RTUの負けから自分を作り変えているタイミングで、フィジカルモンスターみたいな久米選手と戦うことに迷いはありました。それで一日待ってくださいと返事をしたのですが、僕自身久米さんとやりたい気持ちもあったし、ここで断ったら男じゃないなと思って、やりますと応えましたね」
――逆に久米選手と戦うというスイッチを入れたからこそ、自分を成長させられることも出来ましたか。
「それはありますね。自分はスイッチを入れると、一気に集中できるタイプなので、そういうスイッチを入れることはすごく大事なことだと思っています。あのタイミングで久米選手に勝てたことは自信にもつながりました」
――今日間近でヤン坊選手を見て、かなり身体が大きくなっている印象があるのですが、実際に通常体重は増えていますか。
「今は80キロくらいなので、10キロほど減量しています。以前と比べると減量の幅は大きくなっているし、昔の試合を見ると俺ってガリガリだったんだなと思います(笑)。これ以上身体が大きくなって体重を落とすのが難しくなれば、もう一つ階級を上げることも視野に入れないといけないのかなとも思いますが、自分があと何年格闘技をできるか分からないですけど、今のところはまだ問題ないのでライト級でやっていこうと思います」
――そして今大会では天弥選手を挑戦者に迎えての防衛戦となります。天弥選手にはどんな印象を持っていますか。
「バリバリイケイケなストライカーで、そこに若さと勢いが入ってくる印象です。そこはちょっと怖いですが、まぁ負けないですよ」
――前回の久米戦とは異なるシチュエーションでシビアなマッチメイクが続きます。チャンピオンである以上、こういった試合を乗り越えなければいけないと思っていますか。
「チャンピオンって大変な立場ですよね(苦笑)。毎試合その時その時で一番強い選手が挑戦してくるので。でもそこで勝ち続けられるからこそチャンピオンなんだとも思います」
――言える範囲で構わないので、どういった部分を意識して試合を迎えようと思っていますか。
「一つ一つの反応や集中力を研ぎ澄ませて、僕の場合はスタミナもつける。相手は若いので、その部分で負けないようにしたいと思います。うちのジムにいる若い子を見ていても、ずっと動き続けている印象があるので、その動きについていかないといけない。今回はその部分も徹底的に仕上げていくところかなと思っています」
――今言葉に出た“集中力”は今回の試合で特に大事になってくる部分でしょうか。
「そうですね。どちらが先に自分の打撃を当てるか?という試合になると思っているので、あらゆる場面で気が抜けない感じですよね」
――ヤン坊選手もこれまでのキャリアのなかでKOするために必要な集中力に自信がついてきた部分はありますか。
「僕自身、当て勘に関しては人と違うものがあると思っているのですが、年齢とともに瞬発力は多少落ちてくると思うので、そこをどうカバーしていくか。それを今自分でも探している最中です」
――その一つがフィジカル的な向上にもつながってくるのでしょうか。
「フィジカルトレーニングは2年前から始めて、体の使い方も見てもらっているので、そこでどういう成果が出るのか楽しみです。自分でも体の変化は感じているので、今回の試合で(フィジカルの成果を)少しでも出せたらいいなと思います」
――今回の防衛戦を含めて、ここからどのようなキャリアを作っていきたいと思っていますか。
「この試合に勝って防衛することは絶対条件として、僕は年齢も年齢なので、目の前に来たチャンスを掴んで、自分が戦うステージを上げていきたいと思っています。もちろんその中に世界の舞台というのもありますし、日本でもまだRIZINでは一度も勝っていないので、そういう部分にもリベンジしたいと思っています。いずれにしても目の前に来たチャンスを掴まない限りは前に進めないので、一試合一試合を確実に勝ち続けていくつもりです」
――より良いチャンスを掴むためにも、ベルトを持ち続けることや勝ち続けることは重要になってきますね。
「ものすごく大事だと思います。そしてベルトを持っていたとしても、つまらない試合しかしないチャンピオンだったら、どこからも声がかからないと思うんです。だから自分は勝ち方にもこだわってバンバンKO勝ちして、見ている人たちに『ヤン坊、やべえな』とか『ヤン坊の打撃が日本一じゃない?』と思わせたい。自分をそこまで持っていきたいし、自分はそれが出来ると思っているので、試合でそれを証明していくつもりです」
■視聴方法(予定)
3月27日(日)
午後1時00分~U-NEXT